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[hiroic's various Review & Daily Memo] Hiroicによる映画・ドラマ・本・芝居・四方山などに関するれびゅー
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作/デボラ・ラヴィン
作・演出/倉森勝利
構成/小松と倉森勝利ブラザーズ
ReviewWriteDate:2001/6/5
LastUpdate:2001/6/5

Cast:
小松和重(ダンダダ&ダンダダJr)/児玉信夫(キャムゼル王子)/皆川猿時<大人計画>(妖精&マタハチ)/矢沢幸治(ジロー)/ユセフ・ロットフィ<劇団テヘラン>(ハジメ)/久ヶ沢徹(マックスシュメリング&マックスベア)/久米淳子(母&サファイア)/平田敦子(ヒラタグレース)/佐藤貴史(タヘイ&兵士)/大政知己(オドアケル国王)/倉森勝利(チンク)
柿本景<カムカムミニキーナ>(アルク)/川岸陵(妖精)/佐渡島明浩(兵士)/松村秀憲(兵士&神父)/梅里紗希<元氣プロジェクト>(侍女ヌガー)/賀屋直子(マルガリータ夫人)/黒澤なるみ<女豹>(侍女シーラ)/タケウチヤスコ(侍女ルーラ)/π子(侍女ナヌー)/古島弘美(クレシア)/かなやす慶行(兵士)
2001/5/6~2001/5/13 @本多劇場

Date:
2001/5/12 14:00 K7
Note:
サモ・アリナンズプロデュース18弾



ヒトコトReview:

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謎のかぶりモノ劇団に潜入
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児玉さん客演にて初めて足を踏み入れることとなった、サモアリナンズ。
場所は本多劇場──代々木上原の駅で電車が来ないと青ざめるその時のお時間は開演15分前。
下北の駅からおばさん若者を蹴散らして走ること1分、ぎりぎりセーフで開演前着席。
パンフ買おうと思ったのですが台本しかないらしい。
手元のチラシに配役が書いてあるものの、そんなものを見るヒマなく開演・・・


■わけわからんラストに首をひねるわたしは劇団の思うツボなのか・・・

お話はコスチュームもの、色んなお話がごったまぜなサモアリ風りぼんの騎士。
前半はストーリーが動かなくてただひたすら内輪受けっぽい笑いが気になったのが
後半にきてやっとストーリーにのってきて多少感情移入して見はじめたら──終わってしまった。(笑)
「な、なんだったんだ? 今の」
驚くわたしの前でカーテンコールが繰り広げられる。
てことは──終わりなのね。
なんてところで終わるの~!!!
ラストに近づき王道メロドラマになるかと思いきや、いきなり平手くらわされたら夢でした状態。
これってサモアリの思うツボ?
でもわけわかんないのがツボっていったい・・・
ああいう場合、多少ベタでもハッピーエンドが好きです。
ベタに作りすぎたらベタなラストじゃ陳腐なんだけど(『いとしの儚』参照)・・・難しいところです。
わたしはいっそのこと強引にでも「キャムゼル王子は生きていたてラストでサファイアを助け、ダンダダJr顔サファイアとキャムゼル王子抱き合う~」ぐらいのばかばかしさがよかったですわ。
んでマックスベアとヒラタグレースの間にも変な愛が生まれちゃったりとかさ。
だいたい、ダンダダJr=サファイアも別にダンダダの子じゃないだから呪いなんて関係ないじゃーん。

それにしてもわたし、最初誰が主人公かわかんなかったんですよね。
ダンダダが主役とは・・・
あらかじめサモアリの座長の顔覚えているわけないし、
開演間際に滑り込んだからチラシの配役なんて見ちゃいないし。
主役ってほら、もっと「俺は主役だ~!!!」て感じで出てきません?(確認口調)
オープニングのダンダダと友達?兵士2人のやりとりは単なるお笑いの導入部分だと思っていました。
にしちゃあ、長いぞこのシーン。
みんな大爆笑してるけど、わたし全然おもしろくないんだけど、なんなのこのシーンは!!!
(「こいつらサクラか?」と思わせるほどでかい声で「わっはっは」と笑う観客席、特に男性陣に驚くわたし)
ダンダダが呪いをかけられるまで・・・気付かなかったんですよ、主役が誰か。
まさか・・・この人主役だった? みたいな。


■なにをもってかぶりモノとするか

「かぶり物劇団のくせに、かぶりモノじゃないじゃん」
なんて思ってみていたわたしは、多分ばかです。
わたしの中でのかぶりモノってカツラとかじゃないんです。
着ぐるみなんです。多分。(あーはずかしい)
で、途中着ぐるみさんが出るまで「かぶりモノなんてないじゃん」なんて思ってみていた。
申し訳ありません・・・


■キャムゼル王子考

自己申告で言うところの身長187?のキャムゼル王子。(笑)
ほんとに身長高かったらカッコよすぎで笑いになんないから、これでいいです。
顔は太りやすいのかなーと思っていましたが、パンツぱんぱんでしたね、児玉さん。
わたしも人のことを言えた義理ではありませんが、見られる職業ではないからよいとして、あと3キロのダイエットをすすめます。
まあ、コロコロしたたまおさんも好きなんですけどね。
オスカル風のカツラということで期待していましたが、ほんとまあ、オスカルだわ。
あの衣装でも平然と存在していられるってのはそれはそれですごいですよね。
よく考えるとコメディやっているたまおさんは、初めてみたわけです。
なんだかんだ言いながらやはり目は常に追ってしまいました。
ダンダダJrとのキスシーンはかなり笑わせてもらいましたわ。
うーん、女性とのラブシーンって縁がないねえ。(『SANCTUARY』をもってラブシーンとしていいのかわたしは疑問なんで)カーテンコール、みんなで軽く踊っていましたが、ここでも一人リズムがずれるたまおさん。
うー、やっぱリズム感ないなあ。


■各キャストについて

お気に入りはマックスベア! 久ヶ沢さん。
マックスシュメリングと同一人物とは終わるまで気付きませんでした。
なんで「お気に入りはマックス父とマックスベア」とか思っていたという。(笑)
ロビーにもいたらしいんですが、すっぴんじゃ顔わかんない~。
あとチンク役の倉森さんがいい感じ。
同じ妖精役の皆川さんのシーンの笑いがまったく笑えず引きモードに入っていたわたしとしては
チンクの存在はかなり頼もしく見えたのです。。。

拍手

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作/デボラ・ラヴィン
訳/伊東美奈
上演台本・演出/倉田淳
ReviewWriteDate:2001/4/15
LastUpdate:2001/4/15

Cast:
石飛幸治(スベトラーナ・キャメロン)/曽世海児(メリック・ウェリコポルスティ)/高根研一(アラン・メイトランド)/舟見和利(サフロン・メイトランド)/深山洋貴(ドバイアス・メイトランド)/倉本徹(コスモ)/藤原啓児(デレック・アンダーソン)
2001/3/21~2001/4/8 @アトレフォンティーヌ

Date:
2001/4/7 13:30 J8
Note:
The Other Life 第4弾
Story:
40代後半のアランと30代後半のメリックはロンドンの高級住宅街で何の不都合もなく一緒に暮らしていた。そこにアランの別れた妻の悲報が届く。アランは9年前別れたきり一度も会っていない子供達、16歳の娘サフロンと15歳の息子ドバイアスを引き取りにゆく。二人は自分達の父親が同性愛者などとは思いもしない。事実が明らかにされてゆく時、まったく予想もしていなかった出来事が起きる・・・。
(パンフレットより)



ヒトコトReview:

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考えさせられ首もかしげるHappyFamilies
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アトリエフォンティーヌ、地下すぎます!
チケットもぎってもらった直後の階段、踏み外しました・・・ああ、落ちなくてよかった。
座席は最後列だったのですが、舞台はそんなに遠くなくて問題なし・・・。
だだ一つ気になったのが上演中の物音。背後からガタガタ音がする。壁薄すぎ。関係者のみなさん、動くときは静かにお願いします・・・。


■「え? ──まさか終わり??」

実はこれ、終演直後のわたしの心の叫び。
トビーがソファで膝をかかえて・・・暗転。
ま、まさかこれでお話が終わりか???

正直、ちょっと納得いかなかったというか、おきざりにされたような。
わたし、てっきりまだ続くもんだと思っていたので・・・。
舞台上での解決がないタイプのお芝居だったのね。
話の運び方がそう見えなかったので、肩すかしでした。

トビーの罪を背負うメリック、感情のままに父を殺したトビー。
警察に向かうメリックを見送ったトビーは、そのまま膝をかかえてどうなるのだろう。
その先は観客に委ねるというお芝居なんだろうけど、ちょっと委ねすぎ~。
とにかく「おーい、待ってくれ~」て感じでした。


■アランの死

いわしさんに「先読みしちゃうかもよ~」と言われていましたが、アランの死は──先読みしなかったよ。(笑)
パンフで言うところの『まったく予想もしていなかった出来事』がコレなんでしょうね。
予想してなかっわ。
だって前半のトーンとあまりに違うから。
水戸黄門見てるつもりだったのに白虎隊みたいだったというか。(うーん、わけわかんない例えだ)
わたしの先読みは「アランはメリックよりも子供を選ぼうとする」でした。
その方がヘビーに家族と個人(血縁と恋愛)が見えて好きなんだけど。(笑 好みの問題ね)

結局このお話ってアランとメリックという個人の問題(恋愛感情)て、どうでもいい──というか、あんま意味をなしていないと思うのです。
父親が同性愛者でした──というきっかけというかシチュエーションはもたらすけど、その原因から発生するのが子供の反発だけっていうのが、なんとなくもったいない。
わたし最初てっきりメリックが家出してるのってカミングアウトが原因だと思ってたからな~。まあ、それってありがちなんだけど、やっぱり重要でしょう?
アランにとってのメリック、メリックにとってのアランというのが「単なる今のパートナー」にすぎないのか「自分を受け止めるもっと大きい」存在なのかもよくわかんない。
ちょっとべたべたしてみるけど、なんか愛してるぞ~て感じがするわけでもないし。
親とぶつかってロンドンに逃げてきたはずのメリックと、離婚と不本意なカミングアウトというふたつにさいなまれていたはずのアラン。どうやって出会ってお互いが大切なの???
メインであるはずの二人の関係があまり描かれていないから、アランが死んだ後のメリックの行動が実感を伴わないというか。

メリックはまあ描かれているのだけど、アランってかなり手抜きな感じだよね・・・
もしかしたら高根アランがとても40代後半に見えなかったからかもしれないけど。
最後に「息子をつかまえさせるな」と言うほどの家族への執着が見えないから、最後のあの結末がどーも、ちゅうぶらりんというか。

お芝居に限らず小説でもドラマでも、メインキャストを死なせるのは、あんまり好きじゃないんですよね(まさに好き嫌い)。
実際の生き死には伏線も予告もストーリーのバランスも関係なく訪れるものですが
これはやっぱりお芝居なので、観客を納得させるものがないと、やっぱり「作り物」っぽさが際だってしまう。
血だらけの高根さんみた瞬間、実はちょっと笑ってしまったんですが、まさか死なせちゃうとはね・・・。
脳って、確かに微妙な器官です。繊細です。
でも個人的につい先日交通事故で頭打ってあまつさえ記憶喪失にまでなったわたし(爆)から見ると、あんま安易にああいうのしてほしくないですなあ。患者側の立場としては。(笑)死ぬって簡単だけど簡単じゃないのだよ。
そんなこと言い出したら何も描けなくなっちゃうわけですが、アランの死てちゃんと作り手が覚悟決めて作り出している感じがしなかったんですよね。元の話のせいなのか、演出のせいなのかはわかんないけど。
アランを死なせることで、波乱を起こさせる──そのためだけの死に見えたのです。
お芝居のストーリーに利用された生死というか。
これじゃ、メリックは何も乗り越えてないよね。(自分の問題に対して)
トビーは乗り越えようがないよね。
そこまで推測しなきゃいけとしたら、観客の資質に負った世界になっちゃいますよね。


■家族の肖像と世界観

とはいえ、前半は(というかアランが死ぬまでは)わりと軽いながらも色々考えさせられて、おもしろかったです。
家族が一番大切だったり、だからこそ駄目になったり。
個人的に色々思うところがある内容だっただけに、台詞ひとつひとつに心の中で「わたしはこう思う」というのを言っていました。
こうやって考えながら観るのは、好き。
ひさしぶりに脳細胞使ってお芝居見れました。
多分同じようにみんなが「自分だったらどうだろう」と考えながら見てたんじゃないでしょうか。

見ながら気になったのがナチス、ホロコーストの扱いで、日本人にはこれらの言葉ってすごく伝わりにくいものなんじゃないか──と。イギリス人の反応とは本質的に違うんじゃないか、と。
メリックの父がナチスだったと知って騒ぐトビー見て「曽世さん、深山君はどういう気持ちでこれを演じているのだろう」というのが気になったのです。そして受け取る観客も。
ロンドンの役者と観客とは、やっぱり違うんだろうなあ。作者の意図ともここだけは深く交われないんじゃないかなあ──。
わたしの世代ってまだ戦後50年たってない時期に義務教育だったので、夏になるたびに色んな戦争物のテレビドラマだの映画だのがあって、「戦争=いけないことなんだ」みたいな言葉を反射的に持っているわけです。
でもその時にあまり自分たちの祖父、曾祖父がナチスと変わらない虐殺をしていたかもしれない──という発想はあまりないんじゃないでしょうか。
日本の場合反戦の部分と過去の事実認識って、かなり離れたところにおかれちゃってたな・・・という印象があって。
だから「ナチス」という言葉も意味も事実も知っていても認識甘いような。
お芝居の中で「自分の親がナチスだったらあなたならどうする」みたいなスベトラーナの言葉に、自分の祖父、曾祖父の事実(もちろんみんながみんなそんな過去はないでしょうが)だったらどうするだろう? て発想が観客側では生まれにくいんじゃないかなー、と気になりました。
メリックがどう反応するとかスベトラーナがどう受け止めたか、ということじゃなくて、本質的に自分に置き換えて考えられる地盤が日本にはあるのかな~?
ロンドンで上演される時と日本で上演される時って、やっぱりそういう歴史認識の違い、世界観って実は大きな差を生むんじゃないか──客席でそんなことを考え込んでしまいました。
(大学で戦争をテーマとしている級友が多かったせいもあるんですけどね。わたし日本史専攻なんで)

その中でほぼ出ずっぱりの石飛さんが、圧倒的な存在感。
彼女(彼)の言葉は、痛い思いをしたことがあった上の重みがあります。
価値観なんてすべてが正しいもので、どっちから光を当てるかっていうだけで
そういうこともわかった上でトビーに対してもメリックに対しても、自分を語れる。
カッコええな~て感じ。
石飛さんの言う「自分の立場だったらあなたはどうする?」という問いかけは、なんだか、本物でした。
見ている全員がみな考えてみちゃうような・・・。


■各キャスト

曽世さんは相変わらず達者。
やせましたね・・・というかやせたままを維持しているというか。
高根さんはあんまり印象に残っていない。前ほどひどくないので安心しましたが、やっぱり嘘っぽい。苦悩が似合わない。(笑)
深山さん、あのカットソーかわいいっすね。わたし欲しいです。どこで買いましたか?
舟見君、最近女の子役でも躊躇なく演じられるようになって、おねーさんは嬉しいです。
藤原さんはまあいつも通り。
倉本さん、ライフっぽくなくていい感じ。でも倉本さんが変なことするたびに近くのおねーさんが馬鹿みたいに笑い続けるんで、それが気になって笑えなかった。ずーっと爆笑するほど面白い? 面白いのかな。わたしあんまああいうの観て笑わないからなあ。

拍手

脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ
音楽/シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナルプロダクション/ウィーン劇場協会
製作/東宝株式会社
製作協力/宝塚歌劇団

演出・訳詞/小池修一郎
東宝プロダクション監修/ウィーン劇場協会

ReviewWriteDate:2000/8/27
LastUpdate:2000/8/27

Cast/
一路真輝(Elisabeth:エリザベート)
内野聖陽(Der Tod:トート/Wキャスト 黄泉の帝王トート)/山口祐一郎(Der Tod:トート/Wキャスト 黄泉の帝王トート)=★今回は山口トート
初風諄(Zophie:ゾフィー 皇太后)/井上芳雄(Rudolf:ルドルフ 皇太子)/寺泉憲(Max:マックス エリザベートの父)/阿知波悟美(Rudovika:ルドヴィカ エリザベートの母)
伊東弘美(Esterhanzy Liechtenstein:リヒテンシュタイン伯爵夫人)/岡田静(fraulein Windisch:ヴィンデッシュ)/シルビア・グラブ(frau Wolf:マダム ヴォルフ)/今拓哉(Elemer Batthyany:エルマー)/塚田三喜夫(furst Schwarzenberg)/治田敦
井上めぐみ/大川美佳/小野佳寿子/河合篤子/北林優香/栗原朗子/鈴木喬子/鈴樹葉子/徳垣友子/長谷川美穂/平澤由美/丸山千津子/伊嬉淑/青柳勝太郎/池田伸一/石山毅
小野泰隆(ルドルフ子役)//今野桂介(ルドルフ子役)/高橋徹(ルドルフ子役)=★今回は高橋ルドルフ
竹内耕/野沢聡/藤本隆広/松澤重雄/水野栄治/村澤智弘/森田浩平/山本真裕
清水隆伍(Tod Dancer:トートダンサー)/須田英幸(Tod Dancer:トートダンサー)/鴇田芳紀(Tod Dancer:トートダンサー)/繩田晋(Tod Dancer:トートダンサー)/NIRO(Tod Dancer:トートダンサー)/東山義久(Tod Dancer:トートダンサー)/藤浦功一(Tod Dancer:トートダンサー)/吉川哲(Tod Dancer:トートダンサー)
鈴木綜馬(Franz Joseph:フランツ・ヨーゼフ オーストリア皇帝)/高嶋政宏(Luigi Lucheni:ルキーニ 暗殺者)

2001/3~4 @帝国劇場

Date:
2001/4/5 1815 Q9

Note:
2000年夏に好評を博したエリザベートの再演。
Story:
19世紀のハプスブルグ帝国を舞台に、皇帝フランツ・ヨーゼフの妃、エリザベートの生涯を描く。(シアターガイドより)
エリザベートは幼い頃ブランコから落ち、意識を失ってしまう。本来ならそこで黄泉の帝王、トートにより命を奪われるはずだった。しかしトート=「死」がこの人間であるエリザベートを愛してしまったことで命を救われる。運命的な出逢い──トートはエリザベートの命を許したのだった。
その後エリザベートはもう一つの運命的な出逢いをする──オーストリア皇帝、フランツ・ヨーゼフ。エリザベートはフランツと結婚しオーストリア皇后となる。その婚礼の日、ふたたび黄泉の帝王、トートが現れエリザベートに迫る──最後のダンスはこの自分と踊るのだ、いつかエリザベートを奪いに来る、と伝えに──。



※アルファベットの役名・歌名はフォントの関係でウムラウト表記は省略しています。
※初演のレビューはこちら→エリザベート2000/8/19|エリザベート2000/8/26


ヒトコトReview:

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お久しぶり、のエリザでした
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2000年12月のエリザベート再演チケット争奪戦に惨敗。
もはや観ることもななわぬか──と思われた『エリザベート』でしたが、
今回運良くチケットを譲っていただくことができ、会社を早引けして行ってきました帝国劇場。


■おひさーの山口トート・癒されるか?

いわしさんに「癒されてきてね~」と言われましたが、まあ、さすがいつも通りの山口トートの歌っぷりはほれぼれ。
今回、ちゃんと踊っていた気がする。ちゃんとってかなり失礼なんだけど。
指噛んだりする演出は去年と同じですが、一路エリザへの迫り方はグレードアップ。
あれお稽古でもやってるんでしょうか? かなりやらしい。(笑)
一見身体重そうな山口さんなんですが(笑)突然「しゅたっ」と跳び上がったりとかして「おう、意外と身軽?」みたいなのも有り。
『最後のダンス』はさすがに圧巻。
あと大好きなのがやっぱ『闇が広がる』ですね。
ウィーン版のこの曲も好き。

ちなみに帝国劇場では『自主制作盤』のライブ版CDを『内野盤』『山口盤』として販売予約していました。
今回は山口トートの時だったから? 私の前後みーんな山口盤のご購入。
かくゆう私も山口盤を予約。
もちょっと安かったら内野盤も買いたいが・・・しかし内野さんは動きの部分が見えないとあんま意味ないのかしら?
再演でかなり歌が上達したとのことなので、聴いてみたい気はします。


■再演のみどころ!? トートダンサーズ

基本的にストーリーはもう知ってるし、
トートとは死とは~とやるのは去年で一段落。
今回はただひたすらポイントポイントを見るって感じでした。
歴然と去年と違うところって特になかったような気がするし。

そんな中オペラグラスもって目をひんむいて確認したのって・・・
実はラストのトートダンサーズ。
去年はいつの間にか定位置にいて、あのすごーいラストのトートダンサーズを見てしまったので
(「すごーい」が掛かるのは「ラストのトートダンサーズ」であって「ラスト」じゃございません)
今年こそは!!!
てな感じでした。
「おうおう、登ってる登ってる~!!!」
ライトがエリザベートとトートにあたっている間、暗闇の中トートダンサーズ達は登山、もとい、登壁?をしてらっさった!
なるほど、こうやってあのラストの準備をしていたのだね~。
それにしてもみんな体力ある。力もあるのね。じゃなきゃ、あんなに踊れないか。
相変わらず妖しくて素敵なトートダンサーズ達に再び会えたことを喜ばしく思いますわ。

拍手

作・演出/荻田浩一
振付/ケンジ中尾 麻吹梨乃
音楽(作曲・選曲)/宮原透
ReviewWriteDate:2001/02/17
LastUpdate:2001/03/21

Cast:
中村音子(女)/ケンジ中尾(スピリット)/石橋祐(男A)/児玉信夫(男B)
宮原透・田代修二(ピアノ)/スージー・キム(ボーカル)

2001/2/2~2001/2/24 @ベニサン・ピット

Date:
2001/2/3 14:00 57
2001/2/12 14:00 21
2001/2/24 14:00 126

Note:
元宝塚男役、音羽椋が退団後、本名中村音子に戻っての初舞台。
作・演出は宝塚の演出を手がける荻田浩一氏。

Story:
場所はたぶん北アメリカ深南部。時代は60年代頃。
複雑に捻れ曲がり節くれだった樹木の葉が繁った中、打ち棄てられたような汚いソファがある。そこのその<女>は住んでいる。
<女>は混血である。遠く隔たった二つの大陸が、彼女の故郷であるが、彼女はその地を知らない。
しかし彼女は、その見知らぬ故郷から受け継いだ血に引き裂かれている。二つの血脈、二つの文化が、彼女の中でせめぎ合う。彼女は<男A>と共に暮らしている。そしてまた、もう一人、<スピリット>が彼女のそばにいる。月の夜に彼女がたゆたう音楽に誘われて踊る、そのパートナー。そしてまた、一人の<男B>が<女>の住まう場所に迷い込む。なにか事情があるらしい<男B>。彼と<女>の関わりが、それぞれの、今までの在り方を変えてゆく。お互いの秘めた過去が錯綜し、まるで<女>の身の中でせめぐあうジャズのように、混濁してゆく。
(パンフレットより)




ヒトコトReview:

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すべての闇がとじこめられる夜の情景

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陰陽師以来の児玉さんの舞台は元宝塚の中村音子さんの退団後の初舞台。
レプリーク曰く、「異性を相手にしたラブ・ストーリーは、実ははじめて」(レプリーク2001年2月号)な二人の競演ということになります。


■絡み合う3人──自分と他人と鏡

はっきり言って、1回目は何が何だかわかんない部分が多かった。
必死で人間関係とストーリーとその気持ちを追おうとするのだけどどうしてもついてゆけない。
追いつけない。体力不足?
実は当日、わたし自身の体調が悪かったんで、集中力がふいに切れるような瞬間が多々ありました。。
逆にいえるのは、それぐらい集中できていないと、なかなか伝わりにくい表現が多いお芝居といういこと。
その糸をつかみそこなった人は呆然とするか──船漕ぐわけだ。(笑)
ただ、それが不満だけを呼ぶわけではないのが不思議な荻田ワールド。
言葉の意味はわからないんだけど、ただなんとなくディープな世界にただよって、自分のなかのあれこれを探り出さなきゃいけないような気分になる。
何でなのかはよくわからない──中村音子さん演じる女がいう「声はきこえるけど言葉がわからない」。
もしかして荻田氏はそこまで狙っているのかな。(とりあえず作り手は趣味に走って楽しそうだわ)
空気も感情の色も伝わるけどリアルに理解できないというか。
なんとももどかしかったり。
ただ、そういう雰囲気はわけわかんないまでもちゃんと伝わったんですよね。
わけわかんない状況でも「わたしこういうの好き」て思ったり。
暗いの好きなのよね。
ディープで救いようもないところではじめて自分の足で立てるんじゃないでしょうか? そういうお話が個人的に好きなんです。

一週間後に2回目見て──ようやく全体がつかめました。
で思ったのが、このお話は別に理解する必要なんてないのね、てこと。

変な表現なんで誤解を生みそうで怖いのですが──誰がどういう過去をもっていて誰がどう感じていようと、それをちゃんと理解し振り分ける必要なんてないですね。
芝居の特質上、すべてを俯瞰するような立場の『男』(石橋)の台詞は『女』(中村)にも『男』(児玉)にもかぶってゆくし、
その『言葉』によって変化してゆく側の『女』(中村)と『男』(児玉)も、それぞれの存在の境界は曖昧模糊としている。
1回目見たときのわけわかんない具合で、もしかしたらちょうどいいのかもしれない。
『男』は『女』であり『女』は『男』であり『男』は『男』である──。
名前の『ない』彼らはあの舞台空間でいつのまにか同じモノになっていくのだから。
そしてそれは──観る側のわたしにもなりえてゆくものなのだから。


■スピリット中尾と中村音子!

なんといってもこの舞台、みどころはスピリット役のケンジ中尾と中村音子のダンスでしょう。

設定上、太古の言葉の『聞こえる』女は月夜ごとスピリットと踊るわけですが
その踊りがすっごいキレイ! カッコイイ!
中村さんのあの身体の動きはついつい見ほれます。
どうして宝塚の男役の方ってあんなキレイなんだろう。『パンドラの鐘』で天海祐希観たときも思ったんだけど。
立ち姿がカッコイイんです。きっと男役でもカッコよかったんだろうな。
足があんなに高くあがるとは──その動きがますますキレイに見える衣装がかわいい。
ぴたって空中でとまるのもすごいし、バレエの基礎がしっかりある方なんでしょうね。
(ダンスは門外漢だからよくわかりませんが、そんな素人でも感激しましたわ)

そして全編くまなく現れて『女』(中村)や『男』たち(石橋・児玉)とからんでゆくのがケンジ中尾さん。
上下皮のパンツとジャケット、ちょっとがっしりした身体にこの衣装がなんともセクシー。

このふたりがそろって踊るとどっち観たらいいかわかんないです。
ダンス×アクトと題したこの芝居、やっぱダンスなくしては語れないっしょ。


■そして──『男』たち

もちろん目当ては児玉さん。
やっぱり児玉さんの台詞まわしって好き。
自然で嘘がない。もちろん芝居だから素ではないんだけど。観ている側に嘘を感じさせない。
『陰陽師』の時はなんか変な作りこみが入っていてどうにも納得できなかったんですが
今回のお芝居みて、ああやっぱ好きだわ~と思いました。
ああいう繊細さが魅力。かつ豪胆な演技もできるし。
役どころ的にはまさにキーマン。
ダンスメインの(て言うと中村さんに失礼? 演技もちょっと変わっているけど好きなんですが──やっぱ変わってるよね? 正統派じゃないよね?)ふたりを支えてます。
複雑な過去がちゃんと今の『男』につながっている感じ。
トランクいっぱいにおもちゃを持って旅に出る彼が自分で自覚できていない思いが観てる側にちゃんと伝わるような。
ただ、ダンス? のところはちょっと笑ってしまった。
ダンスお世辞にも得意じゃないところを「おおおがんばってるぞーっ」て感じで。
いやまあ、すごく踊れる必要のあるシーンではありませんで、こうふらふらしてればいいシーンだったんですが、踊りの心得がある人の動きじゃ・・・ないよね・・・
あと、1回目見たとき(初日の翌日です)思ったのが
「たまおさん、太った!」
でした。
ほんと、体重の増減が顔にでている気がする。
はじめて見たときと同じぐらい? 一時やせたのに・・・。
あとあの服は何?

石橋さん演じる『男』はといいますと・・・初日翌日にあたるわたしの第一回観劇時に、もう噛みまくてったんですよね。
緊張感あるシーンで最初っからあれだと──観てる側はその後はらはらしっぱなしやん。
2回目のときはだいぶマシでしたが前回の印象が色濃いので・・・
あんま、演技してないよね。ていうか切実さがないよね。なんか半端だよね。浮いてるだよ。
かなり重要な役なんだけど・・・


■ラストの妙な明るさは・・・?

お話も複雑であんまりはっきりとしたストーリーがないのであえて説明ははぶきますが(以下ネタばれ)
ラスト、『男』(児玉)を殺した後の『女』(中村)の『男』(石橋)への台詞の妙な明るさがちょっと気になりました。
「すべてを受け入れることよ」
言われないでも、わかってる。
その実感を経る経験というのが『男』(児玉)を自らの手で殺めたことなんだとしても
あの急な代わり振りはなんとなく不思議。観ているわたしの気持ちがついてゆかない。
ほんとはね、答えなんて最初からわかっている。金八先生のお説教ばりに、ほんとうはね。
だけど実感して理解するのは別なんで。
なんとなーく、違和感。
どん底に立って歩きはじめる・・・には『女』の動機が薄い気がする。『男』(児玉)を殺すことの意味とかね。

ちなみに『男』(児玉)を殺すに至るまでにスピリット(中尾)によって何度も刃のモチーフが各自にわたされるわけですが
めっためたに(笑)『男』(児玉)が刺されるところまでそれがつながっていって・・・
ふと「あ、じゃあラスト女は男(石橋)に首を絞められて殺されなきゃね」て思ったのがその通りになったのでそれだけが個人的にうれしい。
自ら手を下すといっても自分の素手ではない殺人と、自分の皮膚のはられた手で首を絞めるのだと意味が微妙に違いますからね。


■音楽と舞台装置

舞台装置がすごくおもしろいです。密林って感じ。
天井がすごく高い──というか。
空間が縦向きなの。横には狭くて閉塞感があってイメージとあっているし。
その上の方にピアノがあってボーカルの方がいて、部分部分で生のジャズ? がBGMになるのが素敵。
どっちかっていうとリズム隊が頑張る感じの音楽のが好きだったんで、個人的には意外・・・。
これってオリジナル曲なのかな?
歌詞が舞台にそっているところみると、そうなんでしょうね?
オープニングの曲とかすごく好き。
あんまジャズとか聴かないんですが。
どっかに音源ないのかな? スコアでもいいんだけど。わたしは弾けないけどね、弾ける人に弾かせてやる。


■24日マチネ分追加
それまで見た中で出来は一番だったと思う。なんというか、押される感じがあった。
前楽ですからね。

拍手

作/アラン・ブーブリル クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作/ヴィクトル・ユーゴー
ReviewWriteDate:2001/1/16
LastUpdate:2001/1/16

2000/12/13 12:00 Cast:
山口祐一郎(ジャン・バルジャン)
鈴木綜馬(ジャベール)/本田美奈子(エポニーヌ)/岩崎宏美(ファンテーヌ)/tohko(コゼット)/戸井勝海(マリウス)/徳井 優(テナルディエ)/大浦みずき(テナルディエの妻)/今 拓哉(アンジョルラス)
稲垣謙介(ガブローシュ)/山口純(リトル・コゼット)/阿部涼夏(リトル・エポニーヌ)/大谷美智浩(グランテール)/高野絹也(クールフェラック)/西村直人(ジョリ)/小鈴まさ記(コンブフェール)/広田勇司(フイイ)/林アキラ(レーグル)/乾 あきお(バベ)/祐木鎧(ブリュジョン)/中山 昇(プルベール)/青柳勝大郎(モンパルナス)/酒本朗(クラクスー)/松岡美希(クローン・1)/古郡やすこ(マテロット)/坂口阿紀(ファクトリーガール)/江川真理子(ジベロット)/国分美和(マダム)/木村聡子(ガミネット1)/山下美紀(ガミネット2)/尹嬉淑(クローン・2)

2000/12/3~2001/2/21 @帝国劇場

Date:
2001/1/13 S席 2FC列57番 12:00

Note:
1987年より断続的に上演されつづけているミュージカル。
Story:
1切のパンを盗んだことで19年の牢獄生活を送ることとなったジャン・バルジャンは仮保釈の身のまま逃亡する。その後名前を変え工場主、市長としての地位を得るが、ジャベール警部がジャン・バルジャンを執拗に追いかけ始める・・・



ヒトコトReview:

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山口バルジャンVS鈴木ジャベールの対決にくらくら(←単純)
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今回はエリザベートに引き続き、同じ演目なのに日別レビューです。
というのもいわしさんに鹿島茂著『「レ・ミゼラブル」百六景』(文春文庫刊)を借りて予習復習おっけーの状態で観劇したので
前回ぼーっとしていて気づかなかったことなど色々発見がありまして
前回のレビューにつけたすのが(構成上)難しいかな、と思ったので。
ちなみに前回のレビューはこちらへ。


■鈴木ジャベールの色気

ジャベールといえば村井国夫──なんなんだと思います、一般には。
ただし、わたしは今年が初レ・ミゼ。先入観はありません。
もちろん前回の観劇で村井ジャベール、個人的にはかなりはまってる感じがしていました。
さて、今回初ジャベールである鈴木さんはどんなもんかと言いますと──。

前評判で「ノーブルよ」と聞いていたとおりの美しい歌声。
確かに歌い方ノーブル。
ジャベールは貴族的じゃいけないかもね。
と思って見続けると──なんか、はまったんですね、鈴木ジャベール。

実は事前に読んで行った『「レ・ミゼラブル」百六景』の中でジャン・バルジャンに助けられたジャベールのことを

現代風に言えばジャヴェールは完全なコンピューター人間である。したがって叛徒が密偵を処刑するのはプログラム通りなので容認しうるものであるが、徒刑囚が密偵を逃がすのはプログラムに入っていないので判断が停止してしまうのである。
と記述している個所があり、このイメージが鮮烈に頭にやきついていたのです。。
そう考えてみると、この一見ノーブルな、ある意味つきはなしたような冷たさの残るジャベールって
ジャン・バルジャンという神の側で生きてゆこうとする魂と(自分と相容れない存在)ぶつかった時、計算外だと混乱して自殺しちゃうキャラクターに近い匂いがするのです。
なんか冷血人間ぽいというかアンドロイドくさいというか。
そう考えて見出すと山口ヴァルジャンと鈴木ジャベールの掛合い、愛と法との戦い、熱いものと冷たいもの、死と生ぐらい違うように容赦なしにやりあっているように見えてくるわけです。
ある意味ストイックで色っぽい。

これはわたしの主観なんですが村井国夫てテレビのキャラのイメージでやっぱり「いいおじさん」なんですね。
だから村井ジャベールは戦いながらも相手につけいるスキを与えてしまうようなやりあいで、とても人間的。
その人間的な部分が村井ジャベールの魅力という気がするのです。
村井ジャベールならヴァルジャンの思いの裏もなんとなく理解しながらも、あえて追っかけていそうな。
お料理出したら喜んで食べてくれそうな。(笑)
(鈴木ジャベールは「職務中ですから」て食べてくれない気がするの)

ジャベールと言えば。
実はわたし、本を読むまでジャベールが自殺したことに気づかなかったんですねえ。
これに関しては散々笑われたんですが、
「なんで気づかなかったんだろう」
と今回真剣に観たところ──。
おおおお、橋が上に飛んだのね。で、ジャベールは落っこちたわけだ。
あの渦って、勝手に苦悩の表現なのかと思ってたわ前回。
こいういう観客がいるからお話ってちゃんと伝わらないのね。
そういえば前回「どうしてジャベールは出てこないんだろう。苦悩して諦めた?」て思っていたのでした。
だって村井ジャベール自殺するキャラに見えなかったんだもん。(言い訳)

ちなみに鈴木さんのジャベール、本日はもっとも拍手もらっていました。
歌声、つい聞き入ってしまいます。


■コゼットとエポニーヌ

誤解シリーズ・パート2!
実はレ・ミゼのポスターの女の子の絵、ずっとエポニーヌなのかと思ってました。
確かに子供の頃のエポニーヌってキレイなカッコしてたから「おかしいなあ」ぐらいには思っていましたが。
メディアでのレ・ミゼの評価ってイコール島田歌穂ですよね?
舞台を観たことのない人間でも島田エポニーヌの『On My Own』は知っているわけで。
そういう先入観があったので勝手にエポニーヌだと思っていた。
コゼットってそんなメインか? て思っちゃったから。
まあ、話のキーなんだけど。
個人的に「子供の頃多少不幸でも結局いい男つかまえて以後幸せなんだからいいじゃん」みたいなところがあるんで、コゼットへの感情移入は薄い。(性格悪いなあ)
『「レ・ミゼラブル」百六景』にも

物語の後半に入ると、作者ユーゴーの筆使いにひとつの大きな変化が現れてくる。それはコゼットとエポニーヌに対する作者の愛情の度合が微妙に変わってくることである。ひとことで言えば、コゼットには通り一遍の愛情しか注がれなくなるのに対し、マリユスに片思いを捧げるエポニーヌの純愛がさかんに強調されているのである。
とあるように、エポニーヌへの偏愛の方が感じられるのですよね。

さてコゼットは今回もtohkoでした。
前回よりも声が安定してきて安心して聞ける感じ。裏声になるとちょっと怖いけど。

対する本田エポニーヌは初見。
透明クリアな歌声。
力強く歌えば歌えるのにわりと細い声で歌うので(演技かもしれないが)ぼーっとしていると歌詞がききとれない。(笑)
島田エポニーヌが下町でスリでも何でもやってそうなら、本田エポニーヌは実はあんまり手を染めてなさそうというか。
どんなに汚い格好してても全然すさんでないというか。
「心配してくれた~好きなのわたしが」
と歌うところでも、島田エポニーヌが本気で喜んでそうなのに本田エポニーヌは形ばかりで実は違うってこともわかってるような。
すごくいい子というかちょっと優等生の匂いがしました。

それにしてもエポニーヌが死ぬ時のマリウスの「愛で救えるなら」という台詞が毎度カチンとくるわたし。
愛で直せたらあんたエポニーヌにするの? できるの? どうせ嘘でしょ、ったく男のロマンチストだね。
て思うので。


■その他キャスト

マリウスは今回の戸井勝海のが好きかな?
徳井優のテナルディエは歌はうまかったけど存在感がちょっと薄いような。
岩崎宏美は「おおおいわさきひろみだー」という感動がありました。やっぱうまいです。
ちなみにガブローシュの稲垣謙介君、今回は弾拾った袋を無事投げるのに成功。
そっか、前回は失敗してたのね・・・
テナルディエ婦人は森公美子も見たかったなあ。
ちなみに今アンジョルラスでしたが死体に拍手が起こっていました。何故?

拍手

原作/萩尾望都
脚本・演出/倉田淳

ReviewWriteDate:2001/1/8
LastUpdate:2001/1/8

Cast:
Ⅰ Cast/
石飛幸治(ヘラ)
鶴田浩一(アズ)/佐野孝治(シュティフター夫人)/和田洋平(パウラ)

Ⅱ Cast/
佐野孝治(ヘラ)
高根研一(アズ)/石飛幸治(シュティフター夫人)/小林浩司(パウラ)

共通Cast/
岩崎大(オスカー)/甲斐政彦(グスタフ)/笠原浩夫(ミュラー)
奥田努(グスタフ少年)/及川健(トーマス少年/シュテファン/ワイン祭の娘1)
猶原秀佳(トーマスの母/理事長/カチア/モーリッツ/シュタイガー)/深山洋貴(ニーナ/ワイン祭の娘2)/野口光雄(ハイデ/ワイン祭の若者1/ローレンツ)
小林浩司(ワイン祭りの若者2)/鶴田浩一(ジルト)/高根研一(ロストック)/舟見和利(ヘルミーネ/ワイン祭の娘3/エンゲリーカ)
池内代輔(フーフ医師/グスタフの父)/青山治(校長/ワイン祭りの若者3)/秋田恭(警官2/フームズ)/河合貴哉(担任/警官1/ゴスラー)/船戸慎士(ワイン売り1/マルテ)/前田倫良(教頭/警官3/ワイン祭の若者4)/森川洋(ワイン売り2)
青山隆敏(ワイン祭の若者5)/小野健太郎(ヨハンナ)/姜暢雄(ワイン祭の娘4)
藤原啓児(PTA会長/マイラ/トリアー/ゾースト)/河内喜一朗(バッハマン)

2000/12/7~2001/1/8 @シアターサンモール

Date:
2000/12/16 13:00 J1(Ⅱ)
2000/12/30 19:00 I15(Ⅱ)
2001/1/6 13:00 H14(Ⅰ)

Note:

Story:
宿命の子、オスカー・ライザー。彼の誕生に秘められた事実が明らかになったとき、母ヘラの命を奪う悲劇がおこった。父グスタフは、オスカーと愛犬シュミットを連れて旅にでる。
孤独な旅の日々に、父と子は心を通わせる。そして息子の切ないまでの願いを知ったグスタフは彼らの旅の終わりを告げる。オスカーが辿りついたところは…。グスタフを待つものは…。
(パンフレットより)



ヒトコトReview:

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ダメ親父・グスタフのアダルティーな魅力……。

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こちらもWキャスト。
Ⅱチームの方が多いのは優先ハガキで取れてしまったチケットの関係。
Ⅰチームはチケット24でとりました。


■甲斐・グスタフの魅力

甲斐さんという方はとにかく顔が濃くてどこにいても目立つ御方。
『つきぬける青空』の客席で「なんか濃い人がいる・・・一般人じゃなかろう」と思ってみてたら甲斐さんってこともありました。
(その日は他にやまさきさんと佐野さんもいましたが)

そんな甲斐さんが放浪癖があり、イヤなことがあるとすぐ姿を消し、奥さんに家計を支えられながら趣味にすがってくらし、あまつさえ妻の浮気(?)を知って殺人までやらかしてしまう、ダメ親父を演じたわけです。
ただこのダメ親父・・・なんともカッコイイ。
いわしさんは「わたしならグスタフよりミュラーを選ぶね」と言っていましたが
ヘラは多分モテモテだったわけじゃない?
そうなるとこう、計算して無難な方を取ったりせずに感情のままより危険な匂いのするグスタフを選んじゃうんじゃないかなあ。
ああいう危うさって、魅力だと思うし。

甲斐さんというのは、台詞が他のライフの役者とはすこーし、違うんですよね。
より自然というか。もちろん演劇なんで本当のリアルじゃないんですが、限りなく自然。
声音、表情、動き・・・そういったものがオーバーアクションじゃないのに、ちゃんと演技しているというか。
その彼が嫉妬に狂って銃をぶっぱなすところなんて、なんともセクシーでした。
主役はオスカーのはずですが、カーテンコールでもラストは甲斐グスタフ。
どう考えても主役は甲斐さんでした。

『訪問者』の会場、ラスト近くなるとみんな鼻をすすってるんです。
涙・涙・涙・・・てことらしく。
で、みんないったいどのポイントで泣いているんだろうなんてちょっと冷めた視点で考えながら。
やっぱりオスカーに共感しているんでしょうか。
わたしは断然、共感ポイントは甲斐グスタフでした。
はっきり言ってダメダメなんだけど、ダメ人間の気持ちわかる~という不毛な共感の仕方。
普通にまっとうにやれるなら、苦しくなんてないはずだものね。。。
以前、辻仁成の離婚報道で「あたたかな家庭が苦しい」みたいなことを言っているのをきいて、ろうた嬢と「そういうのあるよなあ、でも周りは絶対認めないんだよなあ」と語ったことを思い出しました。
グスタフは、きっとそんな自分も好きじゃないし、でも絶対に変わることなんてできないんだろうな。
「もうダメなんだよ」というオスカーへの台詞が印象的でした。

原作にぴったり沿うのが趣味? な超真面目な演出家には珍しく、今回は原作にないグスタフ少年とトーマス少年の挿話が入っていました。
グスタフ少年を演じるのは今回の公演で入団した奥田努。
いや、意外や意外(失礼なやっちゃ)よかったです。
少年らしいピュアな感じと、その後のグスタフにつながる一抹の寂寥感と。
その少年グスタフを見つめる甲斐グスタフの視線がこれまたセクシーなんだよなあ。(うっとり)
グスタフ少年とトーマス少年を見ながら、「この2人、年齢は相当離れていように・・・」と考えるイヤな奴筆頭のわたし。
『トーマの心臓』見ながら「主要キャスト平均年齢30歳?」とか考えていたわたし・・・アンテは若そうだけどね。

ところで、劇場で配られるコピーのパンフには奥田君の名前は載っていません。
ちゃんとパンフを買えばのってますが、パンフ買うまでライフファンじゃない人の手元には残らないわけで。
かなりメインの役? やってるんですから、ちゃんと名前のっけてあげてほしいものです。
ライフ特有の年功序列とキューブ勢力による微妙な序列の型崩れが気になる昨今ですが(笑)
年でも権力でもなくちゃんと演ってる人中心で並べようぜってことで、上のキャスト表は出演時間も考えて並びをかえてあります。


■元気すぎるオスカー少年の行方は・・・

あのオスカー君は、はたして笠原オスカーと『連鎖』するのでしょうか──?
カーテンコールラストの連鎖を予感させるシーンでふと思いました。
あのオスカーは成長して笠原オスカーに成り得るんだろうか?
まあ、身長と髪型はいけるけどね。(笑)
少なくともわたしは「連鎖しようがないじゃん」と思った。
原作のオスカー少年はグスタフと旅をする前も後もどこか悟った一面があって、だから「ママはぼくを飼っている」という台詞も信憑性があるのだけれど、岩崎オスカーにはそういった視点がほとんど感じられない。
たとえば『愛情に飢えているので父グスタフにまとわりつく』という意味ならまあ元気いっぱいでもいいだけどね。
そういう元気な面を見せつつもドライな部分が同居していなければいけないはずのオスカー少年。
それを台詞に頼っちゃあ・・・なんか作り物っぽいよね。
オスカーは旅の過程でのみ笠原オスカーに成長したわけではない。
小さいころから自分の父親が別にいるらしいと『勘付き』、母親ヘラがケーキを作らなくなった意味もちゃんと理解しているはずのオスカーはあの岩崎オスカーには住んでいない。
まあ、『黒いチューリップ』のローザの時に比べると台詞もあぶなっかしくなくなった岩崎君ですが。
陰陽の陽の部分しか担えないような匂いがどうも気になります。


■Wヘラ

今回のヘラはWキャスト。
石飛さんは初演でもヘラ役、佐野さんはいわば大抜擢。
両方を見て思ったのが・・・大人の女性の機微はやっぱり石飛さんが飛びぬけているということ。
話合おうというヘラから逃げて二階にあがってゆくグスタフを追いかけて階段をあがる時の歩調。
お酒を飲んでふいに笑い出す声音。
やっぱり違うなあと思いました。
対する佐野さん、美人!!!
大人な石飛ヘラに対して、ピュアな若さを感じました。
学生時代のエピソードや、新婚時のシーンなんかは「やっぱ惚れるなら佐野ヘラだろう」という魅力があります。
石飛さん、啖呵切ると怖いんだもん。
佐野さんに石飛さんの演じる大人な部分が加わってゆけば、きっともっとよくなるでしょう。
今後も大きい役でみたいわ、の佐野さんでした。応援しております。
『死の泉』のマルガレーテ、わたしは佐野さんで見たい!!!
あの瀧澤さんの線の細さは、岩崎君には無理だと思う。彼は微妙な機微に弱いよなあ。『WHITE』でも思ったけど。


■ワイン祭のシーン&他キャスト

ワイン祭のシーンは『桜の園』のパーティーシーンを思い出しました。
役者たちがそれぞれのキャラを活かして踊るところが。
もう、群を抜いて目立つのが深山さん!
ニーナ役もこしゃまくれて超かわいかったんですが、踊るだけでも観客の目を奪ってしまうのは流石。
あとは及川さんが『桜の園』でもやっていた逆ダッコを披露したり飛んだり跳ねたりと軽やか。
こちらは深山ニーナの弟・シュテファンが超かわいくて家に連れて帰りたくなってしまいましたわ。
ライフは季節労働者? 的な野口さんも目立っていました。
野口さん7変化よろしく色々な役で登場しては楽しませてくれました。
ああもっとメインの役でみたいわ野口さん。
アンテ役をしていた姜さんも少し照れが減ったかな? のワイン祭の娘役。
もっと自分をすてるとここしばらくでぐっと成長した舟見くんのようになれると思うんだけど。


■千秋楽

1/6は「ソワレ行くしⅠチケットとれてないからここにするか」程度の気持ちでチケットをとったのですが
行ってみたら会場大混雑!
「え??? プレミアムナイトじゃなかったはずなんだけど・・・」
と首をかしげて入場したところ、どうやら『訪問者』の千秋楽だったらしい。
こんなに熱気のあるライフの会場って久しぶり。
久々に藤原さんの会場整理も見られました。
全通路に椅子を入れた上、階段は一列2お座布のキュウキュウ席。
それにしても・・・H列まではフラットなサンモール。
通路に人が入ると、ほっとんど見えなくなるんですよね。
500円引きぐらいにしてくれよって、思いますよマジで。
あげくファンクラブでとったチケットじゃないんだから4000円だし。
ぶつぶつ。

拍手

総合演出/宮本亜門
音楽監督/トータス松本
音楽/ウルフルズ
脚本/土田英生・宮本亜門・清水東・井上知幸

ReviewWriteDate:2001/1/8
LastUpdate:2001/1/8

Cast:
貴水博之
福田転球/斎藤直樹/伊東明賢/藤森徹/宮川大輔/佐藤隆太/森山未来/花井京乃助/松谷賢示

2000/12/31~2001/1/21 @PARCO劇場

Date:
2001/1/7 14:00 K25

Note:
昨年人気を博した『BOYSTIME』の再演。
新規メンバーに元ACCESSの貴水博之と昨年はスタッフとして参加していた花井京乃助が加入。

Story:
真面目だけどどこか抜けている10人の男たちが繰り広げる怒涛のハプニング&パワー全開ショータイム…2時間ノンストップで贈る最強の超エンターテイメントミュージカルショー!!
(チラシより)




ヒトコトReview:

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ストーリーよりも(笑)元気なBOYSたち
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昨年は見そびれた『BOYSTIME』の再演。
『WHITE 2000』に客演していた斎藤直樹さんを観るためだけに、行って参りました・・・。


■森山君!!!


斎藤さんを観に行ったはずが、結局観てしまったのが森山君、若干16歳。
つたない演技もかわいいし、なんといっても踊りがすごい。
あの年でここまでメイン張れちゃうってのはもうすごいわあ。
勝手に「ちゃんと高校通っているのかな」など心配したりして。
美形でも何でもないのに目立ちます。
肌キレイそうだなあ。
去年共演していた黒木瞳からもお花入っていましたね。
先行き楽しみです。
竹刀の踊りのところとか、タップの音みたいでみんなカッコよくって
ラストまで一人で踊っている森山君に観客大喜び。
「未来ショーじゃないんだから!」てツッコミ入ってまた爆笑。
観ていた比率からすると、森山8の斎藤2でした。
ゴメンね斎藤さん・・・。


■ストーリはありやなしや?

キャストが山本耕史・藤井隆→貴水博之・花井京乃助と変わった以外はオリジナルキャストとのことですが、パンフをよく読むとどうやらストーリーも初演とは違っているらしい。一部。
ただし基本的にストーリーなんてあってないようなもんでした。
ただまあ、貴水さんの役柄は・・・自分とにててせつないかな。
前半睡眠不足でちょっとぼーっとしていたのですがショータイムぐらいからちゃんと観てました。
個人的に前半のやりとりは、こう断片のあつまりでどうもしっくりこなかったかなあ。
生バンド入ってやってるから音はライブハウス的だし、そこにマイクで歌うから何歌ってるか聞き取りにくかったり。
そこんとこはムツカシイ。
後半は芝居メインだったので落ち着いて観れたというか。


■他キャストについて・・・

まずメインの貴水博之氏。
観客の中にヒロファンがやっぱり多くて、貴水氏の一挙手一投足に黄色い声援があがるんで
いつもの観劇空気とちょっと違った感じかな。
初舞台とは思えないぐらい堂々とやっていました。
まあ、ヴォーカリストってもんはパフォーマーみたいなところもあるし、心配はしてなかったけど。
踊りも他と比べて遜色なし。
要所要所でギターで歌みたいなシーンもあって、ファンとしてはNHKホールとかでライブやられるより
よっぽど近くでじっくりヒロを堪能できたんじゃないでしょうか???
ちなみに貴水氏の『ラビリンス』というアルバムは結構よいです。
わたしの好きなCHOKKAKUさんが楽曲提供およびアレンジをしている曲が多いのです。
あと飯田健彦さんの楽曲も入っていて嬉しいし、庄野賢一さんの楽曲も聞けるんです。
CHOKKAKUさんは最近? ジャニーズ関係の曲を沢山やっておられます。

転球さんは噂通りの怪しさでよかったです。
去年は違う役だったらしいからそっちも見てみたいなあ。
花井さんは妙な役がぴったりはまっていて、いい味出してました。
なんとなーく、しゃべり方とかそういうのが野田秀樹に似ている感じ。
斎藤さんは相変わらずカッコヨカッタです。踊りは抜群にうまいし。今度はもっと強気な? 役で見てみたいですね。

拍手

原作/萩尾望都
脚本・演出/倉田淳

ReviewWriteDate:2000/12/19
LastUpdate:2001/1/8

Cast:
A Cast/
山崎康一(ユーリ)/深山洋貴(エーリク)
船戸慎士(バッカス)/池内代輔(サイフリート)
寺岡哲(アル)/小林浩司(イグー)
  ※文字化け防止のため、ユーリ役のやまさきさんは代替文字になっています。

B Cast/
曽世海児(ユーリ)/及川健(エーリク)
鶴田浩一(バッカス)/高根研一(サイフリート)
奥田努(アル)/青木隆敏(イグー)

共通Cast/
笠原浩夫(オスカー)
石飛幸治(レドヴィ)/姜暢雄(アンテ)
野口光雄(ヘルベルト)/小野健太郎(リーベ)/舟見和利(アーダム)
青山治(クローネ/エリザ)/和田洋平(シャール)/河合貴哉(カイザー)/前田倫良(ヘニング)
楢原秀佳(ブッシュ/シェリー/シュヴァルツ/医者)/佐野孝治(助手)
藤原啓児(ミュラー)/河内喜一朗(ヴェルナー)/岩崎大(ヴェルナー夫人)

2000/12/7~2001/1/8 @シアターサンモール

Date:
2000/12/9 13:00 D10(B Cast)
2000/12/9 19:00 C8 (A Cast)
2000/12/30 13:00 L1(B Cast)
2001/1/6 13:00 F14(B Cast)

Note:
1999年の再々演に続く再演。同期間に『トーマの心臓』の登場人物、オスカーを主人公とする『訪問者』も連鎖公演される。

Story:
ドイツのギムナジウム(高等中学校)と寄宿舎生活を舞台に繰り広げられる物語。
冬の終わりの土曜日の朝、一人の少年が死んだ。彼の名はトーマ・ヴェルナー。そして月曜日の朝、一通の手紙がユリスモールのもとへ届けられる。
「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音…」トーマからの遺書だった。
その半月後に現れた転入生エーリク。彼はトーマに生き写しだった。ゲームだったはずの茶番劇。しかし、その裏側には思いがけない真実が隠されていた。(パンフレットより)



ヒトコトReview:

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予想外(笑)によかった、スタジオライフの要はやはり『トーマ』か?
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児玉さんなき後の(死んじゃいません 笑)『トーマの心臓』・・・。
児玉エーリクもいなければ、山本ユーリも、澤サイフリートも、浦ミュラーも、瀧澤シャールも・・・。
嗚呼、みなさんどこへ行ったのかしら。(と、演技口調で)
1999年はいかに素晴らしかったかに思いを馳せながらの観劇。

穴埋めの為に今までのアンテ人生を捨てて(笑)エーリクとなる及川さんや
悲壮さが似合うか不安もある新ユーリ、曽世さんを観に行ってまいりました、シアターサンモール。


■謎のデカ・アンテ・・・

いきなりアクシデント。
遠くから来ている友達が交通渋滞に巻き込まれ遅刻。
チケットはその友人が持っていたため、しばらくファーストキッチンで時間をつぶし
結局わたしの初日はトーマBキャストは45分遅れでスタート。
「いったいどのシーンまで終わってるんだろう・・・」
と思いながら暗闇の中こそこそ座席についたわたしの目の前に現れたのは・・・
「デカイ・・・」
キュートなミニミニが定番であった『アンテ』がいったい何を食べたらそんなにでかくなるんだろう? というぐらい成長したお姿で登場。
噂のNewアンテである。JUNONスーパーボーイである。
(わたしはJUNONなんて読んでないのでありがたみがわからないのですが)
あげくそのアンテ、笠原オスカーにむかって「振り向いてよ、オスカー」。
うっひゃ~。どうしてくれよう。いったい何なの???
思わず全身が震え出す。もちろん、笑いで。

なんとこの姜アンテ、180cm近くある長身でまったく笠原オスカーに負けないぐらいなのに
『女声』で演技してるんである。まさに裏声。
この図体でこの声と演技はおかしいだろう?
オスカーにキスをせがんでも、おいおい身長同じぐらいじゃん。
やっぱアンテはぶらさがるぐらいのミニサイズが好ましい。
せっかくのシーンがなんとも味気なく終了。
さらに「トーマは実は自殺した」ということを立ち聞きするシーンのアンテ。
「柱の陰が好きになっちゃうんです」(レプリーク2000年12月号より)という及川さんの言葉通り、柱の陰からこっそり覗き見・・・てお前さん、どうしてひざまづくの???
いくら身長でかくてイメージに合わないからって、身体小さくしたらいいってもんじゃないでしょ?
もちろんそのシーンはわたしの中で絶好のお笑いポイント。

姜さん、さすがに見た目は麗しいんだけど、とりあえずまだ演技は下手だし(これからという表現もある)
前のアンテ役がが及川さんだっただけに・・・
何で「女の子」を演じようとするのだろう?
それは倉田さんの指示?
彼の演技は全身嘘っぽい。(嘘というか、まあ演技に至ってないだけかも)
「アンテ=イヤな奴」の図式すらできない。
あえて言うと、笑いのネタだよなあ。
まあ、本人もあの役したくないんだろうな・・・というのが伝わってきましたねえ。
ライフのトーマは『原作に忠実』であるのがいいところなんだけど
少なくともラストシーンまで食い込む役どころ、ちょっと鍛錬してほしかったです。
なんと言ってもシアターガイドに『トーマのための即戦力』募集したんですから。
即戦力らしい姿を見せてほしいですよね。。。


■めちゃ可愛い! の及川エーリクと謎の笑いの深山エーリク

そして実は一番心配だった及川エーリク。
どうしても児玉さんが抜けた後を負っているイメージがあるから。
深山さんは1999年からエーリクですが、やはり本役という感じじゃないのでしょうね。
ビジュアル的にも否が応でも及川エーリクに期待がかかります。

で、蓋を開けてみると・・・結構よかったです。
なんと言っても可愛いし(こればっか)、キカン坊だし、強いし繊細。
トーマは死んでそれでもエーリクは生きている。
そういう図太さもちゃんと見えるし。
もちろん最初「あ、たまおさんはこう言った」とか色々めぐりましたが
まあ同じである必要はないんだし
ビジュアル的に納得できるものがあるし
及川さんって「男」だからそういう意味でもよかったんじゃないでしょうか。
周りの人間の台詞にあわせてちゃんとエーリクが呼吸してました。
ちょっと驚いた顔だったり、笑顔だったり、かわいい!!
かわいいっていうのは見た目もそうなんだけど、存在そのものがかわいかった及川エリーク。
別に今までそんなこと思ったことなかったんですけどね。
初めて観たのが『ヴァンパイヤ・レジェンド』だったんですが。
合わないといわれる方もいるようですが、及川エーリク、はまってました。

ビジュアル・・・ごめん深山さん。
実は深山エーリク、トーマとしてのオープニング。
ライトの当たり方の問題なのか? どうも可愛くないって思ってしまったのです。
深山ファンの方々、すみません。
だってアンテに「ちょっとぐらい可愛いからって」って言われている姿みて
「いや、可愛くない・・・」て思っちゃったし。
顔だけ見ればどう見てもデカ・アンテのが可愛いし。(笑)
去年の深山さんを見ていないので、成長しているのかしていないのかはわからないのですが
当初予測していたより安心して観られました。
ただ、
ユーリ「君僕に翼をくれるって言ったよね」
エーリク「やだ!」
で、会場に笑いが出るのって、おかしいよね?
深山エーリク、何故笑いになってしまう?
お客さんの中で「深山=笑わせてくれる」ていう変な図式が定着してしまって
イメージを払拭できてないんでしょうか?
悪くはなかったけど、何かすごく「普通に元気」の役に見えた、深山エーリク。
涙しても元気でもセンシティブな部分は感じられないというか。
いや、ただひたすら元気なだけっていうか。
これはわたしの深山さんに対する先入観もあるんでしょう。
(2000/12/30追記:本日のBチームでもこのシーン、笑いが起こっていました。
ていうか、物語をちゃんと汲めば絶対に笑う場面じゃないと思うのだけれど? わたしが萩尾望都だったら多分すごく悲しいと思う・・・)

両エーリクとも、水色のコートが最高に可愛い。
家に帰って原作読んでみたら、確かに着ています。
ああいうの着たいなあ、絶対似合わないけど。


■やまさきユーリと曽世ユーリ

やまさきユーリは4回目? のユーリ。
曽世ユーリは今回初ユーリ。(意味不明)
ダイエット大成功だね! 頬こけてました。(なんのこっちゃ)
ウェストも細くなってましたし髪黒いの見るのは初めてかもしれません。
最初は違和感のあった根暗な曽世さんですがだんだん慣れてきたのかユーリしてました。
ただ、友人たちにも好かれ、でも壁作っている感じがはやまさきさんのが納得できました。
曽世ユーリ、暗すぎ、友達いなくなるよあれじゃ。
やっぱりユーリは皆に好かれる優等生、委員長だからね。


■プリンス・オブ・スタジオライフ、笠原オスカー

一度『キング・オブ~』て書いて書き直したわたし。
やっぱ王子だわよね。
もー、かっこよかった。
周知の事実を何を今更? といわれそうですが、
去年笠原オスカーを観た時は「なんかちょっと軽すぎ。オスカーじゃない」て思っていました。
その後もカッコイイけど別に印象に残っていなかった王子。
(いや、伯爵とかはもちろん印象に残ってるけどね 笑)
今回、去年観たはずの同じ役なのに、がぜんカッコイイ! と思ってしまった。
前みたいに変に軽くない。ちゃんと大人。空々しさがない。
(去年はその反対のことを考えていました)
ミュラーへの思いを告白するオスカーにもジーン。
王子カッコイイ~モードになってしまいました。


■その他キャストたち

なんと言っても舟見くん、成長しましたね。
一時は女役なんてって感じのナゲヤリな演技でどうなることかと思いましたが
ふっきれたのか、ちゃんと演技する人になっている。
お姉さんは嬉しい。
小林さんもいい感じ。自転車ニットがキュート。

久しぶりの野口さんも嬉しい限り。
ロンドンより復活の石飛さん。(呼び戻された?)去年よりちょっと若いレドヴィ。
サイフリートは高根さんの胡散臭さ勝ち。池内さんも悪くないが優等生っぽい。
でもさすがに澤さんの域には遠いですね。。。
バッカスは何となく印象薄かった。何となく。去年はバッカス~って思ったのに。曽世さんだったから?

フレッシュたちは主に上級生役、フレッシュダッシュたちは同級生役でした。
フレッシュはあんまり出場がなかったんで言うこともないんですが
ダッシュ・・・学芸会って言われても文句言えないよ。
全員が同じぐらい下手なわけじゃないけど、どうしても目立つ。
出場が多いので気になって仕方ない。
そんなダッシュをひっぱってた舟見くんに、やはり涙するのだ。。。

気になったのが岩崎くんのトーマ・ママ役。
いくらエーリクに「僕はトーマじゃない」て言われたからって
その表情は何?
ドラキュラに血を吸われた後のルーシーの顔だよ、そりゃ。
母親、なんだから。母親の表情じゃ、絶対ないんだって!
あの表情見ただけで笑いがこみ上げてきてしまいました。
岩崎くん、もっと演技の引出しを増やしましょう。

楢原さん、これでもか! てなぐらいに着替えて色んな役してました。
ちゃんとどれも別人に見えるあたりさすがなんですが。
あんま、楢原さんを酷使せずにすむように、役者連のボトムアップに期待しましょう。

全然関係ないですが9日ソワレは最前列センターだったんですね。
で、フェンシングシーンが猛烈に怖かった。
いまあれが折れたら絶対飛んでくるよな~、絶対ささるよな~、役者がミスっても飛んでくるよな~、その場合保障はどうなるのかしら~、とか真剣に考えていました。
舞台近すぎで怖かったのってわたしだけ?


■『トーマの心臓』私観

わたしは萩尾望都世代ではありません。
彼女が活躍してた時は下手すると生まれていないし、生まれてても文字は読んでなかろう・・・という具合。
だからもっぱら復刻の文庫版の世代です。
あげく萩尾ファンでもないので去年、スタジオライフのトーマ予習のためにはじめて『トーマの心臓』を読みました。

で・・・おもしろいとは思ったんですが、決定的に納得できなかった部分がありまして。
納得できない・・・というのは辻褄とかではなく、気持ち的な問題。

「死んで生者に傷を残そうとする奴なんてキライだ」
「出家するなんて卑怯だ。俗世でコトを解決せよ」
て、思ったんですよ、初めて読んだ時(笑)。

死んじゃうなんてもっての他で、誰のためとかそういう問題じゃあないだろう、て思う時点でまずお話のスタート地点に立てないんですけどね。
だからトーマには共感できないわけです。
だから生きるエーリクには共感できるわけです。まだ、ね。

ユーリに対しては、わたしがキリスト教的な感覚がないから出る感想です。
別に神学校行くってのが日本的出家ってわけではないんだろうけど・・・なんとなくわたしのイメージは出家=俗世との交流を絶つ、ていう日本的発想なんですよね。
日本的宗教観だからユーリが何故そこまで自分の罪に苦しむのか、神について考えるのか、自分の翼について考えるのか──が、実感としてわからない。
それを乗り越えたことがどうして神学校なのか、も。
もちろん辻褄としては理解できますが、感情的に納得いかない。

文化の土台というのは、ほんとうに難しい。わからない。
ベースが違うと同じものを乗せても全く違うものになってしまう。
もちろん、萩尾氏は日本人なんだから同じ土台なのかもしれないけど。
トーマ、理解するのは難しいなあ・・・。
わたしはユーリに、ちゃんと俗世で頑張って欲しいんだけど。
だって借金肩代わりしてもらった分、お金返す予定なんでしょ?
(と、みんなで言っていたのだけど)


■2000/12/30Bチーム

ここから追加レビューです。
同級生たちのアンサンブル、9日よりぐんとよくなっていて結構安心して観られました、ダッシュ。
イグー役・青木隆敏がどうも気になる。あれは地なのだろうか? 演技? 舟見くん危うしのキャラです。
シャール役・和田某氏、なんとかしてください~。
しかし前日寝つくのが遅かったからとにかく眠かった~。
本日改めて注目は笠原王子。
歩くとき、走りさるとき、ちゃんと一度ぴたって止まるんですよね。
自分が最もキレイに見える場所でぴたっと止まって観客に自分をアピールしちゃうところは流石。


■2001/1/6Bチーム

第1回目が遅刻だったので年末のチケットをとったので結局トーマBを3回観ることになってしまいまいした。
ソワレ前にいわしさんとイタリアン食べてワイン飲んで・・・というご機嫌モードで劇場に行ってしまったので前半睡魔が・・・。
前楽ということもあって補助席、お座布も出動。
フラット席なのでやはり見難い。。。
ちなみに髪を下ろした佐野さんにもぎってもらって喜ぶわたし。
わざと佐野さん列選んだし。目まで合わせちゃたし。(←バカ)

拍手

作/アラン・ブーブリル クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作/ヴィクトル・ユーゴー
ReviewWriteDate:2000/12/19
LastUpdate:2000/12/19

2000/12/10 17:00 Cast:
山口祐一郎(ジャン・バルジャン)
村井国夫(ジャベール)/島田歌穂(エポニーヌ)/鈴木ほのか(ファンテーヌ)/tohko(コゼット)/戸井勝海(マリウス)/斎藤晴彦(テナルディエ)/大浦みずき(テナルディエの妻)/岡幸二郎(アンジョルラス)
稲垣謙介(ガブローシュ)/石川楓(リトル・コゼット)/利根川鈴華(リトル・エポニーヌ)/大谷美智浩(グランテール)/高野絹也(クールフェラック)/齋藤桐人(ジョリ)/石山毅(コンブフェール)/広田勇司(フイイ)/林アキラ(レーグル)/乾 あきお(バベ)/祐木鎧(ブリュジョン)/中山 昇(プルベール)/大須賀ひでき(モンパルナス)/井上一馬(クラクスー)/松岡美希(クローン・1)/児玉奈々子(マテロット)/坂口阿紀(ファクトリーガール)/井上めぐみ(ジベロット)/国分美和(マダム)/岩本あゆみ(ガミネット1)/鈴木輝美(ガミネット2)/大川美佳(クローン・2)

2000/12/3~2001/2/21 @帝国劇場

Date:
2000/12/10 S席 2FC列56番13:00

Note:
1987年より断続的に上演されつづけているミュージカル。
Story:
1切のパンを盗んだことで19年の牢獄生活を送ることとなったジャン・バルジャンは仮保釈の身のまま逃亡する。その後名前を変え工場主、市長としての地位を得るが、ジャベール警部がジャン・バルジャンを執拗に追いかけ始める・・・



※次のレビューはこちら→レ・ミゼラブル2001/1/13

ヒトコトReview:

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ごく単純に、涙・涙の感動作
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わたしが『レ・ミゼラブル』を観に行こうとは何たる因果なのでしょう?
それもこれも山口祐一郎、あんたのせいだっ! ばかりに意気込んで参りました、オヒサの帝劇。
今回は2階のS席、はしっこの方。やっぱりA席よりは近くて観やすい。
オペラグラスは持ってきましたが、結局使わなかったです。
やはり表情までは見えないんだけど、
なにせ一回目、ストーリーすら知らないので全体を追うことに終始しました。


■山口バルジャンVS村井ジャベール

とりあえず、第一シーンの牢獄シーンから、顔では判断つかなかったですが、声でわかりました山口ジャン・バルジャン。
伸びやかなお声。さすがです。
いいんです、ヒゲ面だろうと、ボロ着てようと!

同時に村井ジャベールも登場。メインキャストがそろいました。
が、初めてなので?山口バルジャンと村井ジャベールの掛合いの部分が聞き取れない~。
いわしさんに事前に聞いていたジャベールの身の上話が聞こえた気がする。
ああ、一回じゃわかんないよう。
全編歌でつづられる為、気を抜くとたまーに内容が聞き取れない。
更正を決意したバルジャンが市長になったのはわかったけれど、市長が工場オーナーという発想がなかったから、あの工場とは関係ないかと思っていた。
あげく名前偽ってたのね。
わかんなかったよ。(涙)

単純なわたしはジャベールがバルジャンを追い詰めるたびに
「いいじゃん、頑張って生きてるんだから見逃してくれよ~」と歯軋りしながら見ていました。
ファンテーヌも虐めるな~とか。(笑)
でも結局ジャベールがどうしてこうまでバルジャン一人に固執するかがわからぬままでした。
お前さん、他に仕事はないのかい?
人生かけて追っかけるってまるで恋愛のようね。(笑)

ラストは素直に涙、涙。
死なないと安らかになれないのかしら?
生きながらバルジャンは幸せじゃなかったのかなあ、なんて考えながら。
勝手にその死の場面にまでジャベールが追いかけてくるかと思ったらさすがにそれはなかったわね。。。


■あっという間に死にゆく人々

事前にストーリーを知らないわたし、
いきなりファンティーヌが死んじゃってびっくり。
おう、メインキャストがこんなに早く死んでしまったわ。
なるほど・・・でコゼットの話で展開するのね。。。と見ていたら
アンジョルラス・・・もわりとあっさり死ぬ。
エポニーヌもあっさり死ぬ。
あっさり・・・といいますか、メインキャストならもう少し「実は生き延びている」パターンじゃないかと勝手に期待していたので意外でした。
恐らく原作は長編だから、色々それまでに生きている姿も出てくるのかもしれないけど。


■島田エポニーヌ

個人的にやっぱりエポニーヌに感情移入してしまいます。
いるんだよねえ、コゼットみたいに何にもしなくても愛されて幸せになるタイプ。
そしてエポニーヌみたいに頑張ってもうまく行かないタイプ。
何となく『桜の園』の曽世ワーリャ思い出しましたわ。涙。
tohkoは高音部が一部聞き取りにくいなあって感じですが、今後なれてゆくんじゃないかな、て感じでした。

島田歌穂、生は初めてでした。
わたしは彼女の声がすごく好きで、どうしてもエポニーヌの島田歌穂を見たかったんです。
『On My Own』はさすが圧巻。
ああ来てよかったわ。
でもちょっとお馬鹿なわたしは何でエポニーヌが血だらけなのかしばしわからなかたのでした。。。

島田さんは初演からずっとエポニーヌなんですね。
さすがに長い。
そういえばわたし、ロンドンのエポニーヌ役だったフランシス・ラッフェルのCDを持っているんですが
「なんかセカンドとか出ないまま消えたわね・・・」
て思っていたらレプリーク曰く、ショウ・ビジネス界から消えていたのね・・・。


■喝采の理由


ミュージカルの拍手。
初めてまともにミュージカルを観た『エリザベート』ではお作法がわからずどぎまぎしたのですが
素晴らしい歌の後は拍手喝采。
こちらも大変わかりやすくて面白い。
たとえば山口さんなんかの後だと大抵わあっと会場から拍手が起こるし、
島田エポニーヌの『On My Own』はまさに割れんばかり、ショー・ストップに近いほどの喝采。
かと思えば斎藤テナルディエのソロの後はお情けのパラパラ拍手。(そんなんだったら拍手ないほうがよっぽど恥ずかしくないってほどの)
いまいち謎だったのが岡アンジョルラスの死体への拍手・・・
そりゃ確かにすごい体勢で、初めてみたわたしはびっくりしましたが
拍手が起こったことにさらにびっくりしました。
うーむ、いったい何に対する拍手なんでしょう? ファンはアクロバットだけでも満足ってこと?

拍手

作/テネシー・ウィリアムズ
翻訳/鳴海四郎
演出/栗山民也

ReviewWriteDate:2000/11/5
LastUpdate:2000/11/7

Cast:
樋口可南子(ブランチ・デュボア)/内野聖陽(スタンレー・コワルスキ)
七瀬なつみ(ステラ・コワルスキ)/永島敏行(ハロルド・ミッチェル)
梅沢昌代(ユニス・ハベル)/中嶋しゅう(スチーブ・ハベル)/金沢映子(メキシコ女)/金子由之(パブロ・ゴンザレス)/シャンディ・圭(黒人女)/篠原正志(集金人の青年)/黒木里美(看護婦)/可知靖之(医師)

2000/10/20~11/11 @新国立劇場中劇場

Date:
2000/11/2 19:00 1F20列33番

Note:
テネシー・ウィリアムズの名作の舞台化。ほぼ同時期に栗原小巻がライフワークであるブランチを演じている。樋口可南子は初ブランチ。

Story:
ニューオリンズのフレンチ・クォーター、貧しいが、生命力に満ちた魅力のある一角。「欲望」という電車に乗り「墓場」という電車に乗り換え、「極楽」で降りて、ブランチ・デュボアは、妹のステラ・コワルスキの家にたどり着いた。2人は、南部の大農園、美しき夢と呼ばれるベルリーブで育った、古き良き時代の上流階級の出である。
ブランチは、妹の貧しく猥雑な生活に驚くが、ステラの夫でポーランド系のスタンレー・コワルスキにとってもブランチの上品さは目障りでたまらない。2人は出会った瞬間から反発しあい、緊張は高まっていく。スタンレーの友人のハロルド・ミッチェルの愛に、過去から逃れてきたブランチは最後の望みをかけるのだった。が、その願いは叶わず、決定的な破局が訪れる。
(パンフレットより)



ヒトコトReview:

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ブランチの孤独にどこまでついてゆけるか? がポイント
--------------------------------------------------------------------------------

『エリザベート』の内野聖陽は元々ストレートプレイの御方。
てなわけで是非、黄泉の帝王以外の内野閣下を拝見・・・。


■新国立劇場とその周辺

お初の新国立劇場。
京王新線の初台駅から直結していて便利。
地図でみたところ初台って都庁の裏? あたりなんですね。
学生時代、クラスメートが一人暮しで初台住んでいると聞いて「金持ちやなあ」と思っていたんですが
そりゃ半端じゃなく金持ちだわ。(笑)

新国立劇場自体もかなり新しい建物。
クロークとかあってなんともゴージャス。でも床の模様が妙。ていうか上りはいいんだけど下りの時階段と区別がつかなくってわたしかなり危なかった。(笑)

客層はいつもわたしが訪れる劇場からぐんと年齢層が上。
自分の親世代が多いし、おじさまが多い。
樋口可南子ファン?
それとも『欲望という名の電車』マニア? ひょっとして杉村春子とかも観てる?(笑)
内野ファンでいっぱいかと思ったらそうでもなかったって感じ。
隣の席の女性二人は勝手に内野ファンだとふんでいたら「内野さんってNHK出身の人でしょ?」という会話。
(NHK出身て何? 民放出身って言わんよなあ)
なのにオペラグラス持ってチェックに入っていたところを見ると誰のファンなんでしょう。

さて中ホール。
今回10列目まではセットになるのでわたしは実質10列目ぐらいだったんですが1Fの最後列でした。
前列との段差が大きくて見やすい反面、舞台との上下の距離感が大きくてどうも遠い感じ。
かなり危ぶんでいたんですが、目の前の席は巨漢のおっさん。
み、みにくい・・・。

セットは個人的にかなり好きな感じ。
スタンレーとステラの家とその外の路地が俯瞰図で見える感じ。
どうやら端の席だと見えないシーンもあるようだったんですが、わたしの席からは全体がよく見渡せました。
ごちゃごちゃとした生活観がニューオリンズって感じ。(何が? 笑)
なんとなく『唐版 滝の白糸』のセットのイメージに近い。
ホール内、クリスマスに使いそうな電飾が3本ぐらいパーティー風にぶらさがっていて、ちかちかしている様子がなんとも安っぽい臭いがして場に合っている。
その後開演してからはライトの当たりで奥行きが見えてすごくおもしろかった。
が、ひとつ。
どーしても気になって、どーしても笑いがこらえられなかったのが1点。
スタンレーの家のお風呂場にあたる場所。
ここは曇りガラスのような壁で、出演者が風呂場に入るとその曇りガラス越の演技になるんです。
てーか、影絵でシャワーとか浴びられると、うわーって感じ。
結構この影絵シーンが多くて、この演出だけは何とかしておくれって客席でひくひく笑うわたし。


■夢見る孤独なヒロイン、ブランチ

さて本題、樋口可南子のブランチ。
いや、樋口可南子と限定せずにブランチ。
3時間! までの長丁場、ブランチといかに近づけるかが頼りになってしまう。

ブランチはいつもお酒を飲み、自分を美しいと言ってもらわないと気がすまない。
ひたすら自分の事情をしゃべりつづけ、極度なデリケートさで世界に対して怯え続ける。
妹、ステラの家に『欲望』とう名の電車で現れたブランチはステラの夫、粗野なスタンレーと反発し合う。
観客にはブランチの異様なイメージを抱かせ、少しずつ、本当に少しずつその孤独の理由を明かして行く。

──1時間半たった休憩時点ではまだまだ明かされないのだが。
ちなみにわたしはここいらで眠りに入りかけました。(そしていわしさんに眠いよメールを打つ不届きモノ)
これはもう、原作からしてこうなんだろうし今まで上演されてきたこの作品もこんな感じだったんでしょう。
が、ただひたすらブランチVSスタンレーの戦いを見ているとなんとなくぼーっとしてきてしまった。
うーむ、わたしにはこういうの向かないんだなあ、と独り言。

さて休憩時間をはさんだその後、ようやくブランチの孤独の理由が明かされる。
16歳の頃結婚した少年が実は同性愛者でそれを少年に告げたことで少年が自殺してしまったという過去。
それからその少年の穴を埋めるためにひたすら男性をもとめてきた過去。
そしてついに17歳の教え子(ブランチは教師)まで手を出し学校を首になった過去。
スタンレーの友人、ミッチェルに対しては潔癖な女性を演じているが実はその正反対。
だからこそ最後の望みとしてミッチェルに対して演じつづけるブランチ。
ラスト、その全てが白日の元にさらされ、周りの人間の拒絶と同情とで狂ってしまうブランチ──。

ああ難しいなと思ったのがまあ風土の違い。
16で結婚するのもようわからんし、彼が同性愛者と言われても日本では潜伏した事象だから身近に感じるショッキング度も低いんですよねえ。アメリカじゃないから。
でもそれって別に演じる側の問題ではないし、本の問題でもなくてわたしの問題。
どんなにすばらしいとされる作品でも、自分が入って行けるポイントがないとなんとなく傍観者なのが悲しい。

ただ、ブランチの誰かを求めて生きつづける気持ちもわからないではない。(男性陣にはさらに遠いか)
最後に救いを求めた(らしい。パンフにはそう書いてあるし)永島ミッチェルはいわゆる安全パイの男性で、可もなく不可もない駆け込み寺的存在。
わたしにはそんなにブランチがミッチェルにすがっているようには見えなかったんですが、最後ミッチェルに過去がバレて振られた時の動揺ぶりからすると『ミッチェルとの結婚』がブランチの最後の逃げ場だったんでしょうね。(パンフにも書いてあるし。しつこい?)
でもそれって、ブランチがミッチェルという人に駆け込んでるというより、ミッチェルっていう場所に逃げてるだけだとは思うんだけど。所詮、自分を賛美するが自分を脅かさない男性に一時退避というか。(笑)
そうやって見ちゃっているのでブランチの最後の荒れよう、狂気とのはざまに落ちて行く瞬間にミッチェルが同行してるのが妙なイメージなんですが。

ブランチに近づけない。あと一歩なんですが、辿りつけない──観客であるわたし。
別に共感するから芝居じゃないんですが、どうも遠い感じがするのは何故なんでしょう。
ただ、樋口可南子はよかったです。
確かにこの役は杉村春子であり栗原小巻なんだなって感じ。
かつて美しかった、そして今年齢と美醜を気にする女性って感じには見えないべっぴんぶりなのが惜しいんですが、ただ今そこにいて美しいからこそぎりぎり感があってよかった気もする。
本当におばさんって感じで演じられると同じ女性として切ないもんなあ。


■内野スタンレーと七瀬ステラ

ワイルドな魅力爆発? との前評判の内野氏。
たしかに、黄泉の帝王トート閣下じゃないわね、あれは。
ポーランド系の粗野な男性の役。(ポーランド系ってそういうイメージていえばそうなのかな? ぐらいの認識なのでまず舞台背景が理解できてないのよね、わたし)
その妻役の七瀬ステラ。
もう、のべつまくなしべたべたしてて大胆。
内野ファンが休憩時間に「えーん、生チューの音まで聞こえるよう」と叫んでいましたが(笑)。
堂々と七瀬さんの胸まさぐったりするんだからそりゃワイルドだわ。
最後の方でステラの子供が生まれるというあたりになるとすごくかわいい内野スタンレー。
だけどまあ、個人的に怒鳴りっぱなしの役なんでちょっと好きじゃない。
ワイルド→ノックアウトとは行かなくてよ。(笑)
ただ、確かに実力派ですね、彼は。
ブランチはスタンレーのことを『自分を脅かす存在』ととらえているけれど、観ている側からしたら仲の悪い同居人だけどだからって破滅に導く登場人物という印象はなかった。
たまたまそこに居合わせただけ。
確かにスタンレーがブランチの秘密を明かすが別に彼でなくてもよかった感じ。なんとも惜しい。

個人的には七瀬なつみがよかった。愛らしくて強気で。
でもまあ、ステラのブランチに対する想いがいまいちよくわかんなかったですけど。

永島ミッチェル、無骨な男性のイメージそのまま。
ただ、ブランチの過去を知ってからブランチを責め立てるシーンなど、早口になると「おいおい、何言ってるかききとれない~」というカツゼツの悪さ。ああもったいない。

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