忍者ブログ
[hiroic's various Review & Daily Memo] Hiroicによる映画・ドラマ・本・芝居・四方山などに関するれびゅー
80 80 80 80
80 80 80 80
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

帝劇『エリザベート』行ってきました。
再再再演になります。
今回は大幅にキャスト交代、演出大変更、歌も追加、セットも全然違います。


■新生エリザ

さて、各所で話題になっている演出から。
まず一番大きな変化といえば『お盆がなくなった』です。
帝劇といえばの回り盆がなくなって普通の劇場みたいな演出。
なんでセットを変更するのがのっそりのっそりで、舞台を止めてしまう。
何でお盆やめちゃったの? あの動きがあるめまぐるしい場面転換が大好きだったのに。

次に目玉?が噂の『電光掲示板』。
事前にちょっと聞いてましたよ、確かに。
でも「こういう意味だとは思わなかった・・・・・・・・」て感じです。
普通電光掲示板っていうと、文字が動くようなイメージありません?
例えば外国からの公演で対訳を電光掲示板で流す、みたいな。
でも今回の電光掲示板は違います。
何と表現したらいいんでしょう・・・・緞帳(どんちょう)が電光掲示板だって思えばいいんでしょうか。
もちろん普通の緞帳はあるので、緞帳じゃないんだけど、緞帳サイズで緞帳と同じ動きをする電光掲示板。
そして要所要所の風景を電光掲示板の電気で表現・・・。
例えばバートイシュル(フランツとの見合い場所)の景色だとか、ハインリッヒ・ハイネの像とか。
所謂書割?にあたるものです。
で、一番変なのが全開までは舞台上では見えなかった
『エリザベートがブランコをしていて落っこちて死に掛ける』
というブランコシーンがなんと電光掲示板で・・・・・・・。
うまく表現できません。

オープニングからもう演出は全然違います。
関係者が棺おけから出てくるしエリザベートも棺おけから出てくる。
死者たちはおんぼろの洋服着用。。。小汚いっす。

トートはすんごい羽つけたゴンドラから登場。(笑いを堪えるのが大変)
前みたいにトートダンサーに神輿のように運ばれなかったのは残念。

歌・シーンもいくつか追加になりました。
チビ・ルドルフが「ママに会いたいんだ」と祖母ゾフィー皇后に嘆願する曲。(『ママ、何処なの?』)
フランツ・ヨーゼフが母ゾフィー皇后に抗議をし、その後ゾフィーがソロを歌って死ぬ曲。(『ゾフィーの死』)
「踊るときは自分で選ぶ」とトートに言い放つエリザベートと受けてたつトートのデュエット(?)。(『私が踊る時』)

既存の歌詞も変わっているところがありました。
『あなたが側にいれば』は以前はもっと「自由があれば結婚するわ」とエリザベートが断った上で結婚しようとするのに対し
今回はもっと先に結婚しましょう! が来て、その次に自由があれば・・・となるイメージ。

トートダンサーは最初に出てきて気持ち悪い踊りは踊りません。
今回は皆さん地毛を金髪に染めているようで、人によっては根元が黒くなっておりました。
早く染めに行きましょう。
しかしですね、トートダンサーについては大変感心致しました。
実は今回すごいいい席でしてね、とりあえずオペラグラスなんて絶対必要ない、表情ばっちり、動く音もばっちりって感じだったのですよ。
で、トートダンサー。
すごいよ奴らは。あんなに激しく踊っても足音立てないんだよ!
とびはねてても、ほとんど無音。ダンスの技術にかかってますね、これ。
ちなみにトート&ルドルフは結構バタバタ言ってました。笑

チビルドルフ君の地球儀シーンがなくなり
代わりに本がいっぱい積まれた部屋のセットになりました。
地球儀から落ちたら大変でしょ! とチビスターのママが抗議でもしたんでしょうか。
これはちょっと残念でした。

ラストもやはり演出が違いました。
前は何となくエリザとトートの恋愛っぽい雰囲気がありましたが
単純に死んだだけっていう感じ。
キスはしたけど、トートが触れることで本当に死んだっていうことを表現するぐらいの感じで
今回のエリザベートは特に恋愛恋愛した感じがないです。
自立した女? の話? よくわかりませんが、あんないい旦那に対してひどいっすよエリザ!
その放浪の旅の費用は誰が出してると思ってるんですか! 笑


■パク・トンハ@ルドルフ素敵!

本日は祐一郎日ですが、わたしの一番のメインは
「パク・トンハ(朴東河)ルドルフ、ステキ!」
のヒトコトです。
パク・トンハさんとは、NHKハングル講座でハングルカフェ・マスターをしている韓国人ミュージカル俳優。
ことあるごとに「マスター素敵」と書いてきたわたしですがついに実物を拝むことができました。
マスターがエリザに出演すると知って、「絶対みたい!」とこの日のチケットをお願いしたのですから何つったってメイン。

日本語は来日3年とは思えないすばらしさですが、発音はユンソナ何かと同じ韓国風なマスター。
歌ばかりのミュージカルだから大丈夫だろうと思いつつも、発音は不安でした。が。
最初のヒトコトめ「おはようございます」の発音が訛ってしまった(ドキドキしたぜ)以外は発音はOK!
歌もハングル講座内で披露したときと違う声域で、意外にも若き皇太子のイメージにはまっていました。
井上君風の声域。そういう譜面なのかもしれません。
もう1人のルドルフ浦井君はもっと井上君そっくりらしいです。
井上君はクリスタルボイス系ですが、正直抑揚に欠けるので毎回聞いていると飽きてくるのですが
トンハルドは、もっと熱血風なので、好みです。
いやん、やっぱ素敵やん。。。。

終始「失敗するなー、がんばれー、よーし、おっけー、次は、よーし今度もおっけー」
みたいな見方をしていたので、登場から死ぬまでの約20分、見てるわたしが死にそうでした。
手に汗握る。心拍数増加。

エリザに出てから次の舞台次の舞台とうまく仕事が来る人が多いですから
トンハマスターの今後の活躍が楽しみ。てか、見に行くよう。
東宝芸能所属になったからきっと今後も大丈夫でしょう。
NHKハングル講座も引き続き見るつもりです。
(でもヒトコトも覚えてないんですね、講座の内容は・・・ははは)

そうそう、ルドルフとトートに関する演出もかなり変わっていました。
死ぬ前に何故かあのブルーの服を脱がされ、白いシャツ姿になります。
前は『マイヤーリンク』の曲の最中に銃を渡されあれよあれよと死んでしまいましたが
今回は銃を渡され、逡巡しつつも静かな中自ら引き金を引く・・・という見せ場に変わっていました。
『闇が広がる』のところの振りも変わっていました。正直振りは前のが好きです。
しかしほんと『闇が広がる』は素晴らしかった! 大好きな曲だからなおさらです。鳥肌でした。


■やっぱりデカイ、祐一郎。

前の席で見るとなおさらにデカイ祐一郎
のっそりのっそり動いております。
でもまあ、もう四捨五入したら50歳。
何となく見た目が若いから皆忘れがちだけど50歳にはやっぱハードなのかもしれん。
自分の会社の50歳を思い浮かべ、それから祐一郎を思い浮かべ。
無理したらあかんよ、身体が資本だよ、と言いたくなるわたし。

しかしまあ、笑っちゃうぐらい『最後のダンス』とか悪目立ち、大目立ち、オレのステージ!て感じでした。
思わず自分も大声で歌いたくなっちゃったよ。
そこで遠慮して他と調和を取ったらもうあなたじゃない。笑
がんがれ!


■石川禅フランツ

素敵でしたよ、禅フランツ。お上品で、育ちよさそうで。
歌も上手いし、鈴木フランツとは別の味で。
年取ったときの感じとか秀逸。

参考:■エリザベート再再演 驚きのNHKハングルカフェマスター パク・トンハさん登場!
参考:■爽やか過ぎる ハングルカフェマスター、パク・トンハ

拍手

PR
とりあえず日記で更新・・・てか、ヤプース全然更新かかんないんですけど。

チケットを取ったのは確か今年の2月。半年先のチケット。
三井住友VISA貸切公演だったのでせっせと電話してゲット。
エリザの時は全然かからなかったのだが・・・・・。
ということでまさか自分が引越しをした後になろうとは、いや、ちょっといぶかんではいたが。

久しぶりの帝劇。とりあえずプランタンで美味しいパン買って入場。
もぐもぐ食べる。そこにいわし登場で観劇スタート。

レミゼは通算3回目ですが実は祐一郎バルジャンでしか見たことがないのでしたー。笑
いいのだ、金ないからそんな全部は見れないし。
今回は祐一郎、山本くん、マルシアってことで取ったはずだったのだがマルシアではなく高橋由美子だった。

今回は演出が変わっていたとのことだけど、ほとんど気づかず。
初レミゼの友達曰く「なんかすごい勢いでダイジェスト版を見せられたようだった」ということで感動していなかった。
やはり初観劇後にいわし姉に本借りてちゃんと補足をしてたりするわたしは見方が甘いんだろうな〜。

で、今回キャーなのは、岡さんです。岡さん開眼です。わたくし。
祐一郎と並んで変わらないほどの長身、でも頭ちっさーい、足ながーい! バランスいい! スタイルいい!
歌もよかったです。なんかちゃんとジャベールだったよん。あの制服やマントがステキすぎるわ。
祐一郎もやっぱ若々しくステキだったので、二人が並ぶシーンは最高でござった。ふふふ。

エポニーヌ坂本嬢は名前見てあれ? と思ったがやはり声優であった。歌うまい!
コゼットは端整って感じの歌い方でした。まあいつもあんなだよね。
アンジョ坂元は長身山本マリウスの隣で子供のように小さく見えたけど(シークレットシューズはどうした)存在感はあったかと。
歌もうまいし〜。
テナルディエ夫婦はどうも丁寧に歌を歌っていてちょっとシーンと合っていなかった。
二人の登場シーンは長すぎて寝そうだった・・・。

相変わらずラストのあのシーンでは泣いてしまう私だったけど、隣の人が号泣に近くぐずぐず泣きっぱなしだったのでちょっと冷静に
なれたよ。

カーテンコールは大サービス!
前『風と共に去りぬ』の貸切公演ではサイン色紙やらVISAギフトカードやらの抽選会があったのだが今回はなく祐一郎の挨拶のみ。
でも観客がんばって何度もキャストをステージにひっぱってきて、スタンディングオベーションで騒ぎ立て、
山本&坂元のバック宙やら祐一郎の妙なお辞儀やらをゲット。
同じように背を押されていた岡さんどうして何もしてくれないのー!
しかし相当楽しめたカーテンコールでした。
もう1回見たいっす。3000円の席でいいから。

拍手

昨日『八月納涼歌舞伎・第三部 野田版 鼠小僧』に行ってきました。
野田歌舞伎は前回金がないという理由で見送って後悔したので今回は無理して?行ってきました。
最初「プロントの1F」という待ち合わせ場所を勝手に「フロントの1F」だと勘違いしていたわたしです。
誤読女王健在。
歌舞伎座のフロントて何だよ? みたいな。笑

超大雨で歌舞伎座の前は人ごみと傘の嵐で入場までがかなり大変。
しかし入場待ち時間に古田新太発見。
KISSのTシャツに短パン、下駄、サングラス。
「あんな変な人フルタ以外ありえない」
と言い切るくずみ嬢の言うとおり、本人だったと思われます。
短パンから伸びる足を見て
「そうそう、ルミたんになってたときの古田さんの足だわ」
などという認識をするわたし。
そういやあ、『熊沢パンキース』での荒川良々の足のキレイさもすごかった・・・。

さて、『野田版 鼠小僧』。
一番最初の
「鼠小僧登場→芝居小屋だとわかり→シースルーな絵付の幕が下りてきて→観客がその暖簾をくぐって出てくる」
の演出見ただけで
「いや〜ん、やっぱ野田さんの演出好きだ〜」
になっちまいました。はい。澱みないセットの動きと、場面転換。場は歌舞伎座。いいねえ。
歌舞伎とはいえ、台詞はまあ時代劇程度のわかりやすさだし、話もわかりやすい。
でも野田秀樹独特の言葉遊びや裏につらぬくテーマがちゃんとあって、笑いもあり、マジもあり、すごく楽しみました。
長屋を勘九郎がかけぬけて壁ぶち抜いていくシーン、周囲が暗くなって破いてく壁の色がきれいで、ああステキ。
子役君もかわいかったし、福助のお高がかなりいいし。笑
歌舞伎だけど拍手のせいなのかカーテンコールもあり、今回はスタンディングオベーションしてきました!

幕見とかでももっかい見たいぐらい。まだ見ていない方は是非。

拍手

今日は大変長い一日だった。
もとを正せば0時になった段階からもう混みこみといいましょうか。
なんといっても夜中は『女神の恋』を見ながら翌日のチャイ語の予習。
でも眠いし全然はかどらない。
とりあえず3時ぐらいには寝て翌日7:30に起床。

なんと今日はOZオフの関係で10:00からレッスン。
遅刻しそうになりつつすべりこみセーフでレッスンに行くものの
とにかく熱いし、今週大小含めて落ち込むことが多すぎてテンション低いし
朝弱いのに朝っぱらから睡眠不足のままレッスンなので久々に落ち込むほどデキが悪かった。
なんてったって面倒でついつい日本語で答えちゃうし、なんだかぼーっとしているので聞き取れない。
音がわかんないっていうより頭の中で全然変換されないし。
不思議と脳がクリアだとわかったりするもんなので。
先生にもそれは明らかに伝わってたし、時間もなかなか過ぎないし、深く反省です。

そして13:45、ついに代官山到着! ROUROUに直行です。
すでにそこにはとんとんさん、kiyocoさんがおりました。
スタッフは陽蘭ちゃんとワシオさん。
ワシオさん、具合悪くて洋服保管のバックスペースで座り込んでいたらしく、途中で物音とともに現れたのでびっくりでした。
お身体お大事に。休めないのかしら・・・? といらぬ心配をしてしまいました。
今日のテーマは『kiyocoさんにROU服を買わせる』だったのですがもう大満足ぐらいに目標は果たせました。
一人ファッションショー状態で色々着ては悩む悩む。
ウロコキャミが似合う女・・・すげえ。
私的ショックだったのが、買おうと思っていたリーフ唐草カーディガンのグレイ
がわたしが来る前に立て続けに売れたとかで在庫がなかったこと。
一応ブルーを試着してサイズを確認してきましたが、結局ネット通販です。
若干グレイの方が売れ行きがいいそうです。
わたしは手持ちにブルーの五部丈カーデがあるのでやっぱグレイが欲しいの。
チャイナプリーツスカートは試着しましたが、これはすごく可愛いと思う。
サイトの写真ほどテカテカ光っていないけどほどよく光沢だし、ジャガード織り?部分がセンスいいし、色がいい。
お勧めです。
会社で一切スカートをはかないので今回はあきらめましたが。
とんとんさんもお買い上げしておりました。

15:00。代官山駅で落ち合った麻紀さん&くずみ嬢とカフェに移動。オフ2つ目開始。
皆がケーキとかワッフルとか食べているところをわたしはハンバーガー。これがまたサイズでかかった!
でもわたしお昼食べてないし夜もないのでと思って食事をしたのです。
結局OZ後に食べたのでえらいこっちゃなのですが。

16:30。サンモール近くでお茶。ちょっとだけminaさん。ようこさんも合流。
胃をたぷたぷにしてから17:30過ぎに入場。
OZは軽く3時間ありました。
前半はひたすらタルく、時計ばかりを見てしまいましたが後半はそこそこテンポよく進んだと思います。
毎度、アンバランス・・・。

さて終演後。
わたし的にはもうご飯はって感じだったのだけど皆はお腹すいているとかで結局ご飯に。
御苑近くの北京料理屋に入る。
皆がビールとか頼んでるのに一人プーアル茶をポットでもらって飲み続けるわたし。
脂肪を排出しないと!
だって目の前のご飯は美味しそうだったから食べたいんだもん!
5人だったのでお会計1500円。安い。美味しい! また使いたいです。

そして帰宅・・・家遠すぎる。涙。
とりあえずリーフ唐草カーディガングレイ注文しました。
だってとんとん&kiyocoペアが買っているのが羨ましかったんだもん!

拍手

原作/樹なつみ
脚本・演出/倉田淳

ReviewWriteDate:2003/6/16
LastUpdate:2003/6/16

Cast:
笠原浩夫(1019)/及川健(フィリシア)/岩崎大(ムトー)/曽世海児(リオン)/林勇輔(ヴィアンカ/スペンサー大尉 他) /高根研一(ネイト 他)/舟見和利(1024)/佐野孝治(ピーター)/船戸慎士(カーク/メイスン 他)/小野健太郎(1025 他)/寺岡哲(1030 他)/奥田努(1032/サイレント軍兵士 他)/有島一騎(サイレント軍兵士 他)/篠田仁志(サイレント軍兵士 他)/下井顕太郎(1021/1031 他)/牧島進一(フランコ/サイレント軍兵士 他)/深山洋貴(リオン少年 他)/山崎康一(ケイシー/スカイルズ/バツー)/石飛幸治(ルパート・エスプタイン/プライス/アラモスの娼婦)/倉本徹(アラモスの老人/コービン 他)/藤原啓児(ダンドリー/ピーターの父/ミスト少佐)/河内喜一朗(ムトー老人)

2003/6/4~18 @シアターサンモール

Date:
2003/6/14 18:00 L列


ヒトコトReview:

--------------------------------------------------------------------------------
忘れられぬネギボウズの風景・・・笑
--------------------------------------------------------------------------------

さっさと書かないと忘れるので
まとまりととりとめがないんですが、感想だけでも。
そもそもあんまりまとまった感想が出るようなモノでもなかったんだよね。。。


■原作との差異と1幕について

わたしは高校時代からの樹なつみファンです。
ファンはファンなりに樹なつみという人を分析させてもらうと
  ・華やか
  ・ド派手
  ・ビジュアル
  ・勢い
  ・多国籍
な作家さんです。
深遠さなどとは基本的に無縁です。

『OZ』はほぼすべてリリース順に読んだんですが、まあ上記内容はほぼクリアしていますね。
実はわたしが一番好きな樹作品は『花咲ける青少年』!
いまだ一番好きなキャラは倣立人! 今ようやく立人初登場シーンの台詞がわかって喜んでいるぐらいだし。
忘れられぬキャラ作りには定評がある・・・と思います。

そう、樹作品はキャラクターが命。
そのキャラクターの行動発言ビジュアルすべてでキャラ立ちしています。
それは裏を返せば「他の漫画家が同じストーリーで書いてももしかしたらヒットしないかも」であります。
ストーリーは結構単純というかオーソドックスな範囲を出ません。
そこがまあ予定調和感があっていいのかもしれませんが、すごいダイナミックな世界観、発想ていうのは特に感じない。
同時期にLaLaで連載していた清水玲子の『月の子』なんかは、しっかりと世界観があり物語世界があります。

さて、じゃあをれを舞台化したら──
樹キャラが樹キャラとしてキャラ立ちして演じられなければ、下手すりゃすごい空っぽになるわけです。
ページを捲るように丁寧に描けばOKの萩尾作品の舞台化とはちと違う。(あっちはストーリーも綿密ですからね)
ライフ風になってもいいから、しっかりキャラクターで見せないと、単なるオズの魔法使いのエセパロディ、よくある第三次世界大戦ネタ、核戦争後ネタになってしまいかねない。

ということで──。
原作ファンにはなんというかひらべったい、うすっぺらい、そんな感じがした一幕でした。

ということで、1幕はひたすら状況説明とかに費やされたあげく
キャラ立ちすることもなく進むので、原作を知っているととーにーかーく冗長。
何度時計を見たことか。
別に原作と同じである必要はないけど、魅力的ではあってほしい。
1幕が終わるあたり、ここで終わりか? 終わりか? と何度も思ったが何度も終わらず。
ぐったりでした。


■ちょっとお目覚めの2幕

話が転がり始めてからの2幕は、わりと快調でした。
死の泉で城に行き始めるぐらいとかと似てるか。物語が大胆に動いてはじめてなのか?
曽世さんが登場してから・・・という気もするのだけど、まあOZが全貌?を見せ始めてからといったらよいのかな。

場面展開がぱっぱと動いていくし、見るほうもその勢いに乗せられる。
なんでライフっていつも2幕からしか話が動かないんだろう。
3時間もだらだらやらないで休憩ナシの2時間ぐらいにしたらどのあたりから話が動き出すんだろう。
なんとなく1幕2幕=3時間に甘えてんじゃねーの? とも思うので、一度短い時間で濃度の濃いもので見せてほしい>倉田女史よ。

2幕の主役はまあ19なのかなー?
あと岩崎ムトー。
あとやっぱ曽世さん~。首くっとやるとことかどっかイッチャッてそうでいい。顔も何かもとからちょっと変わっているし。笑(好意的な意味で!)

まあ、2幕はなんとか納得できる、面白いと言えなくもないといった感じかな。
手放しにはもちろん褒められません。原作知ってるから。
ただまあ、夢中になるって感じもなく、ちょっと他所事っぽくもあり、トーマとかと比べてはいけないのだけど掘り下げが甘く表層的なので、誰か特定な人のファンだったりキャラのファンになったりしないと、がーーっとははまらないだろうな。

で、やっぱりわたしも思ったのですが
「人の愛が欲しかった笠原ドラキュラ、そして人の心が欲しい笠原19。てーかおんなじジャン!」
てこと。
ドラキュラのあのテーマが脳裏を過ぎります。
倉田さんは何が気に入って『OZ』がやりたかったんだろうね、やっぱこれかね。

わたしは舞台を作る人じゃないからわかんないんだけど
原作ある人の借り物やってて飽きないのかなー?
何かを読んで触発された時、自分の中から出てくる物語=オリジナルで勝負って全くする意欲がないのかなー?
わたしライフって『WHITE』ぐらいしかオリジナル見たことないです。
あ、『ブギトゥ~』もそうか?
原作だと結局借り物なので、それを通して倉田女史が何を言いたいのか伝わりにくい。
『トーマ』とかはまあわかるんだけど、『OZ』は掘り下げ甘いと伝わるものはあんまないよね。
元があんまりそういう書き方されてないところもあるからさ~。


■各キャストについて

笠原さん@19。
まあ、何が笑えるかっていうと、笠原19が笠原パメラになるあたりで、
パメラ的には石飛さんのが合ってるなあって感じなのだが、パメラが男でも女でもなく不気味で笑えた。
登場の瞬間からあのツンツン立った金髪で笑えたのですが。
とりあえず漫画の19のイメージは最初から捨てて見ました。
だってどう間違ってもぞっとするぐらいの美形じゃないんだもの。女顔でもないしさ。
ラストの麦畑もわたしは「うげっ、ネギボウズ」て思ったので、感動よりも笑いでした。あれで感動する人っているの!? 笑わずに画面できる人がいるの!?
原作ではわたし、ささやかな19とムトーの恋とも言わぬ恋心が好きだったのですが、笠原王子にかかるとそれはもっとナルシスティックなものに変化してゆくような気がします。
なんかあの切ない感じが全くなかったです。

岩崎君@ムトー。
失礼なんだけど、最初岩崎君が出てきたとき「岩崎君が上手く思えるほど新人たちが下手すぎるのか!」とびびったのですが
岩崎君本人が上手になっていたようです。
ほんと、昔に比べたら格段!
ただし女役やらせたら同じなんだろうなあという気もするので、年相応の男子をやる分にはうまくなったとでもいえばいいのでしょうか。
アートやっててもムトーやってても、キャラの差わかんないもの?

及川君@フィリシア。
評判的にも一番悪かったよな~。確かに。
及ちゃんは子供体版リオンが一番合っていると思います。性格悪そうなところ含め。
なんだろう、女の子じゃないしなー。
唐突にムトーに恋心を抱くあたりはまあ原作も十分「え?」て思ったのでまあ仕方ないし、演出家のせいでもあるんだけど
「何故ムトーよこんな女に」
みたいに思ってしまうのだった・・・笑
でもこれも原作でもそう思いました。ヴィアンカ派だし。
心はあいつにやったから云々のくだりとか、「それは保護欲を誤解しているわ!」とかつっこみたくなる。
でも男はこういう女のが好きかもしれません。

高根さん@ネイト。
まあ私的にはネイトのイメージでもなかったけど、1つの役としして見るなら結構まとまっていてよかったような。
最近人気らしいじゃないすか、高根さん。
わたしにとっては永遠に「ホストみたいで怖い」という第一印象のままなのですが。笑
全然関係ないのですがネイトが24にキスするところとか、最後のシーンとか、わたしは脳裏にコマ割りが浮かびました。
なんでちょっと見せ方足りんわよ! てな思いです。

舟見くん@24。
まあ、やっぱイメージじゃないよな。
がんばっていたけど、まあ、すごく上手になるには、ひとつ壁がある気がします。
ボロボロのへたくそ学芸会だった時代は過ぎて、すごく上手くなったふなぞう。
あと1つ壁を越えるためには、もっと役に没頭できる人になることじゃないかな。
いや、すでに没頭してんのかな? わかんないけどなんかちょっと演じてるってのが伝わるんだよなあ。
ふなぞう、見守っているよ~!
青木君のが見てみたかったっす。

曽世さん@リオン。
いやあ、やっぱ曽世さん好きだわ。変人な役でもなんかはまっている。
あのけったいな仕草がよい。

深山くん@子供リオン。
子供・・・て言われて違和感のない背丈の深山君もそろそろおいくつなんだろう・・・?
あんま変わらなかったような気がするのだが。
できれば、曽世さんの演じたリオンと同じ仕草をやってほしかった。
なんか、そのあたり演出?のぬるさを感じた。
子供役が似合う深山君・・・10歳でもOKでした。

林さん@ヴィアンカ。
開演前に林さん初見のくずみ嬢に向かって
「この人は顔は不細工系だけど(←ひどい (;_;))すごい演技が上手いの、声がいいの!」
と薦めていたわたし。
やっぱ、機微があってよかったよな~。
しかしラストに美しくなったヴィアンカも見たかったよ。
何でカーテンコールでヴィアンカじゃないの??
結構主要キャストだよ? あんまりだよ!!!

その他・・・てことで。

一番可哀想な使われ方だったやまさきさん。
何故? 何故? さっき殺されたのに今度は味方として出てくんのかよ! みたいな。
なんか都合のいい男。都合のいい役者。一時期の楢原さんを思い出します。
彼ももうユーリを演じることはないわけだし、今後、どこでどういう風に続けてゆくのかいかないのか、しっかり考えた方がいい時期なのかもしれません。
わたしは好きなんだけどね。。。

石飛さん。もうあの娼婦だけで満足! 素敵! あの二の腕・・・笑

フレッシ、ほぼ判別つかず。
姜くんの代はえーっとJr.5になるのかな?(Jr.3=岩崎くんの代だったよね・・・あれれえ? 記憶が)
その代も正直埋没してましたね。
最初岩崎ムトーがフィリシアを助けに出てくるあたりのチンピラ系でも、驚くほど学芸会みたいでした。
小野君も姜くんと同じJUNON出身なのに、差が出たね~。上手い下手じゃなくて、立場の。
姜くんは舞台に立たせると観客をのけぞらせるぐらいに下手なことが多いんだけど、小野君は一見器用にこなしつつも台詞が一本調子だからなんか成長ないよな~。
(姜くんはブギトゥー~はよかったです。生き生きしてて下手だとは思わなかった。ほどよく魅力的でした)
そういえばJr.3って・・・出てない人多かったよね。皆の将来が心配です。
資格とか持ってるの? 職務履歴書書ける? みたいな。

拍手

本日は1日が長かった。
12時にいわし姉と待ち合わせ、シアターコクーン付近の食事どころに行く。
東京カフェマニアというページからいわし姉がみっけてきたお店。
特徴はその器。全部オーナーの奥さんが作っている陶芸らしい。
実は今うちの母親が陶芸にはまっていて、家でロクロをまわしている。
いわし姉の食べたタイ風カレーの器が面白くって、家に帰ってから言ったら
「どうして写真撮ってこなかったんだ」
と言われた。いや、撮ろうかなとも思ったんだけどさ。
その後シアターコクーンに移動して、NODA MAP『オイル』観劇。
最近頭悪くなっているので色々とわからないところがありましたが、まあ詳しくは後日。
観劇終了後新宿に移動し、チャイ語3時間。
今日はあんま自分の言葉で話せなかったです。もっと練習しないと。
帰宅したら、夜10時でございます。ねむ。

拍手

作・演出/松尾スズキ

ReviewWriteDate:2003/2/12
LastUpdate:2003/2/12

Cast:
中村勘九郎/田畑智子/阿部サダヲ/吹越 満/松尾スズキ
宮藤官九郎/秋山菜津子/小松和重/片桐はいり/浅野和之

伊藤ヨタロウ/池津祥子/猫背 椿/皆川猿時/村杉蝉之介/ 荒川良々
近藤公園/平岩 紙/少路勇介/田村玄一/ 植田裕一/野呂彰夫/岸 建太朗
ドロレス・ヘンダーソン/ 萩尾麻由/山本将人/竹厚 誠/星野 源/桃山由希絵 他

2003/2/4~24 @シアターコクーン

Date:
2003/2/11 19:00

ヒトコトReview:

--------------------------------------------------------------------------------
一大逆転演劇
--------------------------------------------------------------------------------

大人計画+中村勘九郎 といった感じの公演。
実際には大人計画以外のメンツも多いのでプロデュース公演っぽいのかな。


■劇場で見た人々

本日は珍しく! 劇場で色んな有名人発見しましたよ。
その目はいった何を見ている! と言われるぐらい全然周囲を見ていないわたしにしては快挙。

まずコクーンの隣の喫茶店兼バーみたいなところで小林聡美発見。
お金払ってから振り替えったらすぐそこに座っていた。
その後開演前のロビーで竹中直人。金髪の坊主頭でした。普通にタバコ吸ってました。
さらに中休みに友達が「あの子、すごく可愛いの」といった人を観察。
振り返った顔を見て・・・え? まさか。とりあえず「他人のそら似よね」と思っていると
友達がさらにうちらの超至近距離にいた戸田恵子、白川晃、小日向文世発見。
HR出演組集合って感じすね。
うーん今日はすごい発見率だと思いながら席に戻るわたし。
で、そこで友達が「さっきの可愛い子、一般人かな・・・」と言ってきたので、勇気を出して言ってみた。
「あれ、小泉今日子・・・?」
恐る恐る確認したわたしに「そ、そうだよね。やっぱりそうだよね」と友達。
ふたりとも「いやあ、まさかそんなはずは」て心で否定してて、でも間違いなくそうで。
最近ドラマで見るキョンキョンに「キョンキョンすら寄る年波には逆らえないのか」とひどいことを思っていたのですが、
いやいや、キョンキョン、すんごい可愛かったです。
背が低いけど顔もちっちゃくてバランスいいし、身体華奢だし。
洋服もすごく可愛かったし。
うーん、ああいうストレートの髪にしたい! て思ってしまいました。

その他「勘九郎ちゃんの初舞台から見ていますのよ」系のおばあさまがいたりして
なんかちょっと特殊な感じでした。客層広すぎ。


■2人の作家と1人作家による逆転劇

時は江戸幕末、歌舞伎の狂言作家を夢見る勘九郎演じる役とその歌舞伎の筋本をお金を貰って読んでやっている松尾スズキとクドカン演じる二人の売れっ子作家。(チラシが手元になくて役名がわからん~)
ふたりの『作家』という狂言回し的存在が勘九郎(が演じる役)の過去へ入って行き次第に狂言が現実になり現実が狂言になり、時々「松尾スズキ」も登場してぐるぐる回って、最終的に2人の作家こそが幽霊になって勘九郎に取り付いてゆく。
狂言を書こうと思っても、いざとなると現実が物語をすぐ追い越してしまう。
だから現実をそのままなぞらえて物語にして演じて、『桜田門の変』という『事実』を芝居で演じてしまう。
すべてが虚実の逆転劇で構成されるこの芝居は「芝居とは」だったり「作家とは」だったりする松尾スズキの考えが出てるのかな~という感じ。
勘九郎見に来たおばあさま方にはちょっと難しかったんじゃないか、厳しかったんじゃないかていう気がする。
まあ、いつもの大人計画に比べれば全然毒がなくて大衆っぽいんだけど。

ラストは、どうでしょう。
勘九郎実は女でしたっていう逆転は別にいらんような。
どどーん! と盛り上がって終わりたかったような気も。

しかし、3時間は長いよ。3幕3時間は・・・。
某劇団で3時間は慣れてるけどやっぱ2回も休みがあると内容忘れるって。
この長さ、休みの多さは歌舞伎に対するアンチテーゼなのか? みたいな評を読んだりしましたが、だったら弁当食えるぐらいの休み時間が欲しいのう。

■キャストについて

主役勘九郎。
出てきただけで拍手が沸いたのは歌舞伎流なんでしょうか。大地真央以来です、あんなの見たの。
気が狂い?出してからは圧巻でしたが、前半は阿部さんとかのが主役っぽかった。
所々に勘九郎ならではの芸の見せ場があって、さすがって感じ。
女物の着物羽織って幽霊に話しかけながら狂言を書こうとするその姿がなんとも。

阿部サダヲ 。
最初声ががらがら枯れててちょっと心配だったけどいつも通りの阿部ちゃんでした。やっぱスキです。

田畑智子。
最初はちょっと心配な感じだったのですが、だんだんとはまってきて、なんとも言えぬ哀愁があってよかった。
可愛いし。

片桐はいり。
もっと出番あってもよかったような。
大人計画でずっぱり感があるから、ちょっと淋しかったわ。

拍手

作/中島かずき
演出/いのうえひでのり
ReviewWriteDate:2002/8/30
LastUpdate:2002/8/30

Cast:
市川染五郎(阿弖流為<あてるい>)/堤真一(坂上田村麻呂利仁)/水野美紀(鈴鹿/釼明丸)
西牟田恵(立烏帽子)/植本潤(紀布留部)
橋本じゅん(佐渡馬黒縄)/栗根まこと(飛連通)/逆木圭一郎(大獄)/右近健一(無碍随鏡)/河野まさと(阿久津高麻呂/覆面男1)/インディ高橋(赤頭)/礒野慎吾(青頭)/村木仁(丸頭)/吉田メタル(大伴糖持/覆面男2)/村木よし子(阿毛斗)/山本カナコ(薊)/中谷さとみ(阿毛留)/保坂エマ(阿毛志)/川原正嗣(翔連通)/前田悟(闇器)
金久美子(御霊御前)/渡辺いっけい(蛮甲)
2002/8/5~28 @新橋演舞場

Date:
2002/8/24 17:00

Note:
劇団☆新感線×松竹



ヒトコトReview:

--------------------------------------------------------------------------------
いい男そろいぶみ、久々に観たぞ! と実感ありの娯楽大作
--------------------------------------------------------------------------------

最近チケ取り情報がかなりずさんになっているため、チケットを取っていなかった『アテルイ』。
行きたいなあとは思っていたのだけど根性がないわたしは基本的に当日券というのはやらないタイプで。(家が都心から離れている、そして面倒くさいのが苦手・・・笑)
そんな時、ようこさんよりチケットを譲っていただけることになり、行って参りました新橋演舞場。

新橋演舞場・・・以前新春歌舞伎に連れて行ってもらってみごと3F席で爆睡した記憶のある劇場。
2年ぶりぐらい?
どうしてもロングブーツが欲しい病にかかっていたので先に表参道に寄り、どでかい荷物を持って演舞場前到着。
ロッカーの空きを確保するために開場前にスタンバイ。
ロビー開場後、まっさきにロッカーに向かい、一番どでかいロッカーにブーツの箱を入れる。
普通のロッカーじゃ入らないサイズなんだもの。
それ以外に入れるものがなくもったいない気がするものの、こんなはた迷惑なものを座席に持ち込んで3時間を過ごすなんて考えられないので、しゃーないです。


■いい男・ふたり主役のための舞台!

さて、実は初・劇団☆新感線なわたし。
大変わかりやすくストレートな娯楽劇、大いに楽しみました。
活劇ありの、ややロマンスありの。
ギャグもちゃんと笑えたし。
役者も基本的に皆達者であやういところもない。(んな心配がいるのは某劇団だけか)

しかしまあ、何と言っても市川染五郎+堤真一、このふたりのための舞台でしょう。
染五郎@アテルイはタイトルロールだけど、実質ふたり主役。

わたしは堤さんがよく駆け抜ける方の花道側だったので、どうしても目が堤さんに行く。
ヒーロータイプのキャラとは違うんだけど、しみじみカッコイイ。
台詞に味があるっつーか、なんかこういう人いそうで(でも実際にはいない・・・涙)、無骨なところもありつつ、無邪気で男気があって。

対する染五郎は影のある典型的ヒーロー役。
笑う部分もあるけど、基本的には王道でしょう。
文句なしにカッコイイ。

んで、まあ絶対に染派か堤派かってことになるんだろうけど、すんごいすんごい悩みつつ、うーん。堤派。
是非とも近くにいてほしい人材ってことで。笑

このふたりがたち回りはほんとカッコイイし、
やりとりも敵味方でありながらお互いを尊重し、友情すら感じているっていうので、お話をぐいぐいひっぱっていくわけです。


■惚れたぜ、西牟田恵!

いやあもう、実を言うと男性陣2人よりもわたしが惚れ込んだのが西牟田恵!
染五郎演ずるアテルイとともに蝦夷の里に戻り闘う女性、立烏帽子役。
この立烏帽子こそが一度アテルイが裏切った神・アラハバキそのものであり、アテルイを『神殺し』とさせる存在。
いやあもう、ステキ。
ややハスキーな少年みたいな声もいいし、お芝居もいいし、小柄な身体で柔軟に動き回る立ち回りもいいし、なんてってって存在感がある。
女を感じさせない存在ながら、でも魅力的。
あんま女女したキャラだと女の側から見ると鬱陶しい、うざいキャラになっちゃうところもあるのですが、西牟田さん演じる立烏帽子はそれがない。
自分を救うために罪をおかしたアテルイを探し当て、ともに蝦夷に戻る・・・という筋書きがまたドラマチックで、そんな二人の旅路を勝手にわくわく見る観客。

観客は物語の進行上、アテルイ・染×西牟田・立烏帽子、堤・田村麻呂×水野・鈴鹿の組み合わせで筋を追っていくわけですが、ペアとしては断然染×西牟田に軍配ありなのです。

とうとう西牟田・立烏帽子がアラハバキの神であるとわかり、アテルイと対決する場面なんてもう鳥肌です。(あくまで個人的にですが)
裏切りたくて裏切ったわけではない神・アラハバキを再度自分の意思で殺す、アテルイ。
二度も自分を裏切るのか──とあえぐアラハバキ。
それまでひとつにくくっていた髪をばさあっと空になびかせ、アテルイの前に降臨したアラハバキとしての西牟田さんのカッコイイこと!!!
そのアラハバキを殺し本当の神殺しとなるアテルイ。
いやあもう、素敵っす。惚れました。


■しかしこういう女こそ

モテルんちゃうかしら──て思ったのが、水野美紀演じる鈴鹿。
考えても考えても、鈴鹿のキャラがなまっちょろいためなのか、水野嬢の演技がイケてないのか、判断はつきにくい。感情入っちゃうから。
でもまあ、釼明丸の役になった時もやはりイケていなかったから、感情論抜きで水野嬢にも問題ありってことでいいでしょう。

と言い訳がましく言いたくなるのには多少理由があって
堤田村麻呂の相手役である鈴鹿が、堤さんの隣に立つ、堤さんが惚れている女ってのが納得いかなかったのよー!!
・・・・・・しかしそれは単に美人でなよなよした感じの女に対する女としての敵愾心かもしれん、などと冷静に考えてみたりもするわけで。

しかしその点を抜いても、まあ、やっぱ、だめだったよなあ。
釼明丸役の時は鈴鹿と別人でないといかんのに、やっぱイヤ~な女っぽさは残っていたし、やっぱ下手だったと思うし。
少なくとも見る限りにおいて鍵を握るほどの重要な役を演じているっていう感じがなかったし、でも脚本上ではもっと重要な役だったはずで。

アクション女優云々っていうのがパンフにやたらと書いてあったのですが、言われて見ればそうなのかな? てなぐらい。もちろんアクションは下手じゃなかったけど、オープニングの踊りは学芸会っぽかったし。

まあ、初舞台ってことだし、次以降──なんでしょう・・・・・・。
終始「堤さん、どうしてそんな女がいいのー!?」
みたいに思いつつ観てしまいました。
しかし、実はああいうタイプの女性の方が男性受けはします。
これも真実。
田村麻呂、お前もか・・・・・・。


■その他お気に入りキャラ

ダントツ気に入ったのは植本潤さん。
笑わせるところはビシっと笑わせ締めるとこ締める。
悪役だってわかりつつも一目おいちゃうようなその存在感。うう~ん、いいです。

右近さんは、変な妖怪になってもなお面白い。


■盛り上がりまくったカーテンコール

こんなに盛り上がっている会場を見るのは『エリザベート』の山口バージョン以来かしら。(笑)
楽日も近くなっていたのでリピーターも多かったようで、隣のおばさまたちも幕間にあそこはねっていう話をしていたりする。
(気のせいか、客層がいつものお芝居と違う。年配の方が多いのはやはり染パワーか)
びっしりと当日券の折りたたみ席が置かれた会場の熱気はカーテンコールで最高潮に。
スタンディングオベーションとなりました。
熱心なファンがぱらぱらやっていたのが、カーテンコールの度に会場に広がっていくという感じで。

カーテンコール、1つ不満が。
全員が出てくるカーテンコールの後、染・堤・水野が3人で出てくるんです。
でもでも! 1観客の感想から言わせてもらうなら、話の中での重要度考えたら、染・堤が2人で出てくるかそれとも染・堤・水野・西牟田が4人で出てくるかでしょうー?
まあ、製作側の思惑とかキャストの扱いの問題とかあるんだろうけどさ。
西牟田さんの扱いに関してはあの分厚い2500円もするパンフ内での並びに関しても不満ありなんですけど。


■3時間という長さについて

3時間。長いか短いか──。
これ、ライフの時によく話題になったネタだと思います。
ライフの3時間は長い3時間。
新☆感線に関しては長いという感じはほとんどなかったのは事実。
やっぱり時計は見ちゃうんだけどね、全体の中のどの辺りにあたるのか、とか考えてしまうので。
でも長くて退屈とかそんなこともまったくなく。

しかし、奇しくもパンフでの富野由悠季と中島かずきの対談でそのことについて富野氏がこんなことを言っておりました。
(富野氏はトップランナーでも結構すごいこと言ってたりして視聴者をどきどきさせていましたが、対談は言いたい放題でかなり面白かった。(笑))
「1時間30分ぐらいまでは最初に何をやっていたかを覚えているんです。でも、1時間40分を超えると覚えられなくなっているの。~中略~3時間を超えると完璧にわからなくなるの」

個人的に、これ、本当だな~と思う。
『アテルイ』に長さは感じなかったけど、一幕でのストーリー展開って、二幕を見ている段階でかなり記憶の彼方だったし、もうちょっとエピソードを刈り込んでいった方が伝わりやすいんじゃないかなとも思いました。
特にわたし、キャッシュメモリがない人なんで。2回観ればもうちょっと記憶が確かなんだろうけどねえ。そういう意味で再演およびDVD発売を期待。(笑)

で、1点気になるのが、テーマのブレみたいなもの。
野田秀樹なら1時間半でばしっとアテルイを見せてくれる気がするんだけど、彼ならテーマに沿ったエピソードを必要な分のみ散りばめてお話にしちゃうだろう、多分その場合神殺しがテーマになるだろうという感じがするから。
今回の『アテルイ』でも神殺しとしてのアテルイというテーマは見て取れる。
が、おそらくメインテーマは田村麻呂との男の友情。
だからメロドラマとしてどんどん時間が長くなる。
でも作者としては蝦夷、東北の神、神殺しっていうテーマに心ひかれているのは見てとれて、でもその好奇心が半端に披露されているから、なんだかもったいない。片足じゃなくってどっぷり踏み込めば相当面白いのに。それをやりつつ男の友情やるのは難しいんでしょうが。でも、どっぷりの方が見てみたい。こんなに美味しいネタなのに。
アラハバキのエピソードを見ながらやはり梅原猛『神々の流竄』を思い出しました。

拍手

原作/夢枕獏
脚本/桜田信介
演出/松本きょうじ
ReviewWriteDate:2002/3/8
LastUpdate:2002/3/8

Cast:
児玉信夫(安倍晴明)
浦一弘(源博雅)/中村音子(瀧夜叉姫)
大駱駝艦:小林裕子・田村一行・畠山央之・塩谷智司(魑魅魍魎)
桜月流美剣道:松木史雄(右近/秀郷)・石綱寛(左近)・尾川止則(平将門)・佐々木祐一郎・小倉将公・伊藤孔一
小山亜由子(ととき/桔梗)/佐野大樹(義利)
2002/2/8~17 @東京芸術劇場小ホール1

Date:
2002/2/12 19:30
2002/2/16 14:00
2002/2/16 18:00

Note:
KOtoDAMA企画による陰陽師第2弾



ヒトコトReview:

--------------------------------------------------------------------------------
助太刀2チームに支えられた堂々の第二章

--------------------------------------------------------------------------------

前回は超クソミソにけなしてしまったKOtoDAMA企画の陰陽師。
何をトチ狂ったか8回も行ってしまいましたが、あれは事前にチケット取っちゃったからであって、事前に1回見ていたら半分ぐらいでもよかったような・・・笑
しかしあの何とも低予算な感じが面白いと言ってくれた友達もいたし(失礼)、浦さんの博雅もよかったので、全然ダメってわけでもなかったですが、1本の芝居としてはなんともすっからかんな感じが否めませんでした。
(うわー、レビューではここまで書かなかったのに 笑)

で、陰陽師の第2弾。
今回は友達との兼ね合いで計3回。これでも多いんじゃないかなーと思っていったのですが、思いがけず、今回はちゃんとお芝居になっていました。(ますますヒドイな 笑)

ますます『KOtoDAMA夢枕獏企画』になりつつあるKOtoDAMA企画ですが、さて中身は──。


■存在感たっぷり! の客演陣

と言っても、児玉さん以外はゲストななろうから全員客演か?
正確に言うと『大駱駝艦』と『桜月流美剣道』がすごかった。
この2チームがいなかったら「おもしろいじゃん」って思ったわたしの感想は7割減だったと思う。

『大駱駝艦』は超不気味だし、ほとんど2列目~3列目の席だったわたしは目のやり場に困った。
友達は視界に入らないようにしていたらしい。
わたしはその気持ち悪さが半分心地よかったですが。
一人女性がいましたよね? うーん。
でも自分の家族が『大駱駝艦』に入りたいと言ったら、全力で、止めます。(笑)

『桜月流美剣道』の人たちのうち、右近&左近役の人たちは台詞が早すぎて聞き取るのに疲れた・・・時代背景やら今の設定だの一気にしゃべるのに、早口だなんて。
みんながみんな時代がかた台詞や設定を一回で理解できるわけじゃないでしょうに。
(例えば早口で言われたら「ホクト」=「北斗」みたいな漢字変換も脳内でうまくできなくなってしまうわけです)
鬼になってからは、結構よかったけど、1人入れ替わっているのね?
前回の陰陽師で鬼をやっていた石井さんと同じ動き。振り付けで参加しているので、伝授されたのでしょうか? この鬼の動きは、結構、好き。
将門役の人はわりと好み。
しかし桔梗の兄役はやはり聞き取れず。


■児玉さんお友達軍団

恐らくゲスト2チーム以外はこのカテゴリかな?

前回から引き続き出演の浦さんと佐野くん!
はーやーくーち!!!!
早口です。早すぎてわたしの耳は一切ついてゆけません。
何度もアンケートに書きましたが、直らなかった。楽にはマシになっていたのだろうか?

中村音子さん、『SANCTUARY』に比べてなんて進歩!
今回の主役は音子さんですね。
背が高くてカッコイイし。
今の音子さんとで『SANCTUARY』の再演をして欲しいです。
将門に取り付かれている時、瀧姫の時、といい感じでガラリとかわっていました。
尼さんの時はちゃんと化粧が薄くなっていて、「楽屋で洗顔までしてんのか?」と驚きましたがどうなんでしょう。

桔梗及びととき役の小山亜由子さん。
とときの時の方が可愛いよね、何故?
言われるまで同一人物だとは気付かなかったぐらい顔が違う。
なんつーか、桔梗の時って幸薄そうな感じなんで。衣装が貧相だからだろうか?
やはり舞はイマイチ。前回の竹内順子さんが好きだったのでますます。
同じ式神じゃないので仕方ないかもしれませんが。


■最後に児玉晴明と今回のお芝居全体について

で、ここで初めてお芝居全体に振れますが──
前回は1時間半に2本のお話。ショートエッセイ2本読みましたっていう感じだったのが今回は1時間半で1つのお話。なんで、まとまった感はありました。

場面展開も緩急があって、目を引くし(まあ、引くのは大駱駝艦や桜月流美剣道の鬼だったり、音子さんだったりもするのだが)、現在過去未来の移ろいもあまり無理がない。
(これが小説だったら、ちょっとやりすぎ感はありますが、舞台だからよいでしょう)
ストーリーそのものは超オーソドックスな将門モノだったのですが、まあ、丁寧に描いている──という感じかな。

晴明が瀧姫に教えてあげた『狐の窓』というキーワードが、全体にうまく効いていて、忘れた過去もこれから続く未来も、ちゃんと一本の線に見える。
こういうのをエピソードというのであって、ライフの演出家もこういうのを見習ってほしいわ。だらだら原作通りのシーン連ねるんじゃなくって、効果的なエピソードで連ねれば、伝えたいイメージは伝わるのだから──。

しかしまあ、ラストでいきなり不死を全面に出されても(もちろんオープニングでちょこっと尼さんが話すわけではありますが)、いきなり感は拭えないかなあ。
鬼とアクションで責めてきたのに急に情緒性持ち出されてもって感じで。
晴明と瀧姫の恋──ていうんで、ふたりで掛け合い台詞をするんだけど、一夜の契りを──って声を合わせられると、なんだか、恥ずかしい。
20年前でも十分大人だったんだろうけど、万年子供体型な児玉晴明だとちょっと違和感。
あとラストのあの歌たちは──いったい。
いくらなんでも、異邦人とか浜崎あゆみとかは、どうかと思うよ?

さて肝心の児玉晴明ですが、前回のおっそろしげな声の高さは、多分、なかった。
何分もう昔のことなのではっきりあの声を覚えているわけじゃないんだけどね。
今回は晴明の恋、という裏テーマがあるので、じっくりたっぷりって感じ。
呪詛返しを受けてよろめく晴明、うーん、上手い!
やはり安定した技術力(一応誉めている)。


■第一回のビデオ・・・・

実は、ちゃんと予約して買いました。
が、まだ暇がなくて見ていません。愛が足りないからでしょうか。(笑)
すでにビデオを見た好香さんは、あまりの児玉晴明の声の高さに久しぶりに驚いたとかで、とりあえずテープを封印したとか。(笑)
時間を見つけて見るつもりではありますが。
さてビデオを予約すると会場で予約特典と一緒に受け渡しでした。
その予約特典──この、写真の品です。
迷いましたが、食べました。

拍手

原作/清水玲子
脚本・演出/倉田淳

ReviewWriteDate:2002/2/13
LastUpdate:2002/2/13

Cast:
笠原浩夫(ギル)/石飛幸治(リタ/看護婦)
山崎康一(ティルト(p)/ミラルダ(c))/山本芳樹(ティルト(c))/舟見和利(セツ(p))/林勇輔(セツ(c)/ミラルダ(p))/及川健(ジミー(p))/深山洋貴(ジミー(c))/曽世海児(ショナ(p)/サラ)/高根研一(ショナ(c))/岩崎大(アート)/姜暢雄(ベンジャミン)
野口光雄(パルツァ医師/会長/他/鶴田浩一(ブライアン/他)/小林浩司(ベス/メイド/他)/佐野考治(ホリー/アダムス/他)/前田倫良(守衛/所員/他)/船戸慎士(大柄な男/他)/青木隆敏(ノエラ/他)/奥田勉(宇宙飛行士)/小野健太郎(運転手/秘書/他)/寺岡哲(ウェイター/他)
藤原啓児(グラン・マ)/河内喜一朗(ペトレンコ/他)
2002/2/1~10 @アートスフィア

Date:
2002/2/9 14:00
2002/2/9 17:00

Note:
清水玲子原作漫画の舞台化。
Story:
1985年──地球。宇宙へと巣立っていた人魚族の子孫が産卵の為に集う場所。しかし、数百年を経て故郷へ戻ってきた彼らが目にしたものは激変した環境、そして美しい人魚伝説の裏に隠された惨劇の兆しであった。宇宙船離陸事故や原子力発電所爆発事故など、80年代に現実に起こった事件とリアルにリンクしながらダイナミックかつスリリングに展開されるファンタジー・ロマンの傑作(公演チラシより)




ヒトコトReview:

--------------------------------------------------------------------------------
いつもの二次元ライフ
--------------------------------------------------------------------------------

清水玲子の『月の子』はわたしが高校時代にリアルタイムで『LaLa』で読んでいた漫画で、当時からとにかく大好きな作品。
そんな作品を、なんと、ライフで・・・。
今まで『トーマの心臓』演られようと『SONS』演られようと一向に気にならなかったのは、作品に対して思い入れがないから。
どうなっちゃうんだろう、なんてドキドキなかったし、『トーマ』なんかは漫画読んでも濃いイメージが残っていたわけではないので、ライフ色にちゃんと染まったイメージができていたという・・・。

しかし、今上のあらすじをチラシ見ながら打ってたんですが、もう、大嘘、ですね。
上のあらすじはあくまで原作のあらすじであって、本公演とは何ら関係ありません。(笑)


■アートスフィアの舞台がああっ・・・

まずはお叱りから。
マチネ、わたしはセンターブロックでした。
わーい、結構見やすそうだぞー! と喜んでいたがしかし、
センターはほっとんど使用されなかった。

芝居のほとんどが、上手下手の約四畳半ぐらいのスペースでちまちまと繰り広げられる。
上手の次は下手、下手の次は上手、下手、上手・・・エンドレス。
観客は首を、右左右左と動かし続ける、で、素通りするセンター!
あのさあ、せっかくアートスフィアなんだよ?
なんでこんな広い空間をシアターサンモールのような使い方するの?
この空間をあの無駄な巨大魚の浮遊のためだけに使用するのって、どうなの?
ワイヤーアクション(いや、アクションじゃないな)したいだけ??

客席の多さだけの話なら、サンモール3週間借りて上演してください。
どうしてもあのなんちゃらフェスティバルに参加したいんだったら、アートスフィアの舞台が泣いてしまわないよう、空間を生かして、舞台を作ってください。
センターブロックの人々は、わたしと同じような切なさを覚えたに違いないのです。
あんまりです、センターなのに涙出てきます。
自分の目の前、つねにすかすかだなんて──。

清水玲子の作品のすごさっていうのは、ファンからしてみると、あの、イメージ立体化術というか──平面の漫画なんだけど三次元にすら感じられるイメージ、ていうのがあると思うんだけど、ライフの作る舞台だと、三次元の人間のはずが、なんか、二次元なんだよね──平べったい。
トーマなんかの、漫画をめくるような面白さっていうのは、今回ないし、あれはトーマならではの舞台空間かな~と思うんだけど。
ちまい、すかすか、平べったい。
これが今回の舞台空間の印象。近くに迫ってくるものが、ない。
前日、大竹しのぶ一人芝居『売り言葉』見ちゃったのもあるんだけど。
狭い空間ではありましたが、一人で縦横無尽。ちょっとしたモノの配置、破壊、変形であらゆるものを表現しちゃう野田演出と比べちゃあ、いかんのだけど。
タイプも違うし。ライフってひたすら写実的。


■メロドラマなライフ

対して、毎回うまいな~と思うのが、『泣かせ』のシーン。
他がどんなに破綻してても、必ずメロドラマ的泣かせシーンは、押さえているのが倉田演出。
今回はやはりショナ&セツのシーンでしょうか。
原作でもこのカップル、大好きなんで。
そしてまた林さんの上手いこと!

ラスト近くにああも大盛り上がりで情感たっぷりに『泣かせ』が入って、泣きの感情にさせられると(いや、わたしは泣きませんが)、それだけでいい芝居だったような錯覚すら覚えるんだからマカ不思議。

まあ、破綻した芝居でもおもしろけりゃいいじゃん、という観客のわたしなので、一つでもちゃんと観客に何か残るなら、必ずしも駄作ではないのだよな、とも思う。
今回は『ドラキュラ』とかみたいな致命的な構成ミスはなかったように思われるので、別に駄作では全然ないのだけど、まあ敢えて言うなら凡作みたいなところはあって(下手すると、うまくまとめただけ、になり得る)、それが感情に残る何かになるかどうかは、やっぱこれら『泣かせ』にかかっている──という気がする。
特に、ライフに関しては。

しかし、個人的にギルの断末魔シーンは長すぎると思うが。
原作読み返したらたしかにあの分量あったけどね。
でもほら、3時間と13巻は必ずしも同じ入れ物サイズじゃないので。


■3者のバランス

で、どうして分量が多く感じてしまったかというと、ティルト&ギルをメインに描くといいながらも、『泣かせ』シーンのためか、観客のハートは主にショナ&セツチームに奪われているから。
そういう風に、作っちゃっているというか。

『月の子』という話は人間の線で分けると、3つに分かれます。
ジミー&アート、セツ&ショナ、ティルト(ギル)×リタの3組。
今回は最初からティルト(つーか、ギル)をメインに描く、と言い切っています。
だからまあ、最初からティルトメインだし、ジミー&アートの描き方は本当にお粗末で、もう思い入れたっぷりにティルトとギルを描きます。

が、なんか途中からセツ&ショナにリキ入った演出・脚本に変ってくる。
多くの人の感想が「セツがよかった」「ショナかっこいい」だったりするのは、そのためだと思われます。
単に演出家がやっているウチにこっちのが気に入ったからかも・・・。
しかしラストにティルトが宙づりで締めるぐらいだから、やっぱティルト&ギルメインだったんだろうし・・・うーん。
なんか、やっぱ変なんだよなあ、分量が。印象を与える度合いが。

3組中2組を変にひいきするから、ジミー&アートなんてかすんじゃってるし、アートが自分を刺すほどに悩むなんてちっとも思えないし、全部唐突だし、一応話の根幹はジミー&アートなわけで、ここに関して手を抜きすぎるとやっぱり物語として変になってしまう。
ティルト&ギルにしたかったんだったら、最後までちゃんと筋通しておくれ。
したら3組中、1組のクローズアップってことで納得いくから。
単にジミー&アートを切って捨てたアンバランスさを感じさせるっていう結果にはならんと思うから。
このあたり、思い入れと構成のバランスが、毎度崩れがちだと思われる演出家。
自分が気に入っていない? キャラクターを道具みたいに使うからだと思うけど。

個人的には、もう最初からセツ&ショナで作っちゃえばいいじゃん、とか思いますが。
しかしやはり笠原さんに花を持たせないといけないから???


■残る疑問・・・

チェルノブイリの事故は起ったのか、起らなかったのか?
あの舞台じゃさっぱりです。すごく深読みしないとわかりません。なんとかしてください。

どうしてジミーはギルがティルトだってわかったの?
あんまりです。あと1シーン入れるだけでいいんだからフォローしてやってください。

お金に困ったと言っていないセツのベッド(つーか、椅子)にお金が・・・ショナが置いていったのか? てのは無理では・・・。
原作ではもう1クッションあるところなので、ちょっと工夫してほしい。
普通いきなり会った人の後にお金あったら、忘れ物だと思いませんか?
プレゼントされたと思うのはいかがなものか?(笑)


■全体に関する感想

わたしの今回のお芝居に関する感想は──端的に言うと「よくまとめましたね、いいシーンもありましたね、でもそれだけかも」といった感じ。
古くからの原作ファンなので、なんとも・・・。

原作のもつ匂いにはほど遠いし、でもまあ同じじゃなくてもいいんだけど、昼メロっぽかったといえば昼メロっぽかった。しかしまあライフらしくもあった。
ひどい破綻が見えるわけでもないし。でもハマルには、ちょっと遠いなあ。

すでに心情的にはライファーでもないし、敢えて言うならやっぱライフウォッチャー(お言葉お借りします、金星さま)に成り下がっているので、ライフ的な部分にもいまいち惹かれない。
悪くないんだけど、なんだろう。夢中で見るほどのパワーが、湧かない。
これは単にわたしのライフ離れなのかもしれんね~。
しかし役者は個別認識できているので、「ああ、今回はこうだな」という見方もできるから、見ている間中退屈したりはしない。この辺りが、ハンパなんだな。
客観的な判断ができにくいところ。
えんぺ一行あたりの感想がどっちにも寄っていないで客観的なんでしょう。

わたしの場合、ちゃんとやるんだ! て怒るような気力もなければ、素敵~とドリーム入るわけでもない。見てよかったという感慨があるわけでもないし。多分ダブルキャストじゃなかったら1回で十分でした。

ものの見方は人それぞれなので、この芝居でライフはまる原作ファンもいるでしょう。
こうやってライフは、萩尾ファンの階層、三原ファンの階層、清水ファンの階層──と地層が(笑)分かれ、降り積もってゆくのでしょう。
これに、特撮ファンがさらに増えるのか・・・(笑)。


■各キャストについて

扱いがお粗末で可哀想だったアート(本当は主役級)、岩崎大。
アートって22歳だったのね、とちょっとショック。昔はお兄さんのつもりで読んでたのに・・・。
今回、結構よかったと思う。やっぱ、普通の男の子役のがいいよね、岩崎君は。
ちょっとハシャギ過ぎな感はありましたが、ま、よかったと思う。
わたしが岩崎君苦手なのって、多分岩崎君の女役、なんだと気付きました。
思い返せば、『桜の園』から苦手だった。
無理に女やろうとすると変だったし、ボロも多かったので。
でもまあ、女役なんてライフぐらいのことだし、外の世界に出れば(笑)女役が上手くなくても十分生きて行けるさ。

こちらもぞんざいな扱いだったと思う、ジミー役の二人、及川さん深山くん。
特に普段と変らず。
ポスターにアップで写っている及川さん、肌荒れが・・・。
そろそろ少年役も厳しくなっているんだろうか、とか思いました。演じて手も声がな~、もう少年たりえないところもあると思うんだけど。
しかしまあ、今回はまるでアートとの交流が描かれなかったので、なんかよくわからないキャラになってしまってちょっと可哀想だった。
最近、少年キャラ、少女キャラを二人でダブルで演じるのがあまりに定番になりすぎて、少々つまらない。

ショナ役は曽世さんと高根さん。
ま、正直どっちも原作のショナとは全然違う。(笑)
ショナは間違っても革パンなんて履かないしね。
完璧に別物として見ていました。
こちらも、特にいつもと違いがないな~と思った。
確かに高根さんは昔から比べたら上手くなったよね。でも好みじゃないんだな、わたしは。(笑)
しかしなあ、あからさまにそのシーンだけ端からベッドが出てきて・・・ていいうのは、なんつーか、恥ずかしかった。

セツ役、林さんは実は初見。
声、キレイ~。演技うまい~。
女性化した自分をベンジャミンと間違えるショナに対して、ごめんなさい、というところなんて絶品。かわいい~。
しかしどうだろう。あと2点だけ御願いをしてよろしいでしょうか?
その1:前髪伸ばしてください。おでこが光るのが気になって仕方ありませんでした。
その2:ドーランでもなんでもいいので、もう少し不健康そうな、白い肌にしてください。あまりに健康的なお肌、地グロなのかもしれんが・・・病弱に見えないんです。
金髪のカツラをつけると金髪のが白く見えるので顔がなお黒く見えます。お化粧でなんとかなる話なんで、ちょっと工夫していただくわけにはいかないでしょうか?
この2点がクリアできれば(個人的には)完璧です。
大阪の観客を大満足させるためにも、ビジュアル改造、御願いします。なんか、もったいないんだよ。
本当に女じゃないんだから女になりきる必要はないんだけど
演劇って目で見るものだから、演技だけじゃなくてフォローできるわけだし。

対して舟見くんは評判悪かったようですが──まあ、ダブルが林さんだから特に言われちゃったのではないでしょうか? 確かに少々荷が重い役でしたが、それなりに頑張ってはいたと思います。わたしは弟のようで彼を見捨てられないのだ。(笑)

ティルトはやまさきさんと、山本さん。
芳樹さん、今回の衣装は頭大きく見えなかったのでよかった。
彼はこういう暗い役のが似合うね。根暗そうな役。
やまさきさんは、もう何やらせても心配なし。他の役者さんとはやっぱ一段レベルが違うんでしょう。
でも3つ子という意味では少々ビジュアルバランスが悪かったかも。
深山・林・山本のが3つ子っぽかった。

ギル役、プリンス笠原。
笠原さんって、何演じても同じだよね。何演じても笠原浩夫だよね。
視線、口調、立ち位置、走り方──全部。
宝塚のトップスターみたいなイメージ。(わたしは宝塚に明るくないので、あくまで、イメージ)
悪くはない、上手い、技巧的、だが、ちょっと飽きたかな。(笑)

対して毎回ちゃんと違う役になって登場、石飛さん演じるリタ。
見た目のせいもあるんだけど(笑)リタ、はまっていました。
やまさきさんと石飛さんって、何やらせてもちゃんとその役になるし、レベル違うなあ。
石飛さんってライフ外だとどうなんだろう?
是非外部出演してもっと広い場所へも行ってみてもらいたいものです。
ライフだけに埋もれるには、惜しい。しかしキューブ側のプッシュがないと外部出演できんのだろうか? そういう意味ではキューブには気に入られていないような気もする。

おめでとう、テレビデビュー予定のベンジャミン姜くん。
あーもう、あれにOKを出した演出家の問題かもしれん。
ダミ声でしゃべる設定のベンジャミンの演技は、見てるこっちがハラハラするような演技でした。
スタイルもいいし顔もいいし、さっさと自分に適した分野に行った方がいいでしょう。
多分テレビとかだったら、他のライフの役者なんかより数倍合っているし、売れる可能性を秘めていると思う。もう、無理せんでいいよ。
彼の衣装は気になった。一番気になったのがピンクのスニーカー。誰が決めたか知らないが、コーディネート悪すぎよ。

その他・・・みんなチョイ役だったのであんま覚えていない。
しかしまあ、ジュニ3とかでまだチョイ役ばっかりで、それでもライフにすがり続ける意味があるのだろうか? 他に商売やってて片手間な趣味ならわかるけど。
人生とは、仕事とは、夢とは──ヒトゴトながら勝手に心配してしまうわたしである。
あ、佐野さんはすっかり女役上手くなったよね。今回は珍しく声が潰れていなかった。
そうそう、藤原さんを忘れていました。もう、いい加減ああいう役はお腹いっぱいです。

拍手



カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア


CheckItOut,please
by arrows

マクロミルへ登録 gooリサーチモニターに登録!

最新CM
[03/19 秘書アズアズ]
[01/06 通りすがり]
[01/05 Hiroic]
[01/05 通りすがり]
[11/26 Hiroic]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
アーカイブ
忍者アナライズ
プロフィール
HN:
ひろいっく
性別:
非公開
Template by Crow's nest 忍者ブログ [PR]