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[hiroic's various Review & Daily Memo] Hiroicによる映画・ドラマ・本・芝居・四方山などに関するれびゅー
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作・演出/横内謙介

ReviewWriteDate:2000/9/4
LastUpdate:2000/9/6

Cast/
山中たかシ(鈴次郎)/三木さつき(儚)
六角精児(青鬼)/岡森締(鬼シゲ)/中原三千代(鬼婆)/杉山良一(地蔵菩薩・従者)/高橋麻里(賽子姫)
茅野イサム(ゾロ政)/犬飼淳治(長治)/木下篤史(中盆)/岩本達郎(勘太)/長田典之(権太)/仲尾あずさ(お銀)
伴美奈子(お鐘)/鈴木真弓(お福)/吉良咲子(梅鶯)/山内麻未(鹿紅葉)
田中信也(妙海)/佐藤累央(三木松)
大坪直哉(助兵衛)/村内貞介(花売り)/鈴木利典(子供)
赤星明光(殿様)

2000/5/25~2000/5/28 @厚木市文化会館小ホール
2000/5/30~2000/6/9 @紀ノ國屋ホール★
2000/6/16~2000/6/18 @近鉄小劇場
2000/6/23 @長久手文化の家
2000/6/25 @扶桑文化会館

Date:
2000/6/4 14:00 H14

Note:
横内謙介が『長谷雄草紙』を下敷きに書いた戯曲。

Story:
鈴次郎は何もかもダメな人間だが賭博だけはツキの神様に愛されているために負けしらず。賭博で生活をしている。ある日、鬼との勝負での戦利品として『美女』を手に入れる。この『女』──儚(はかな)は鬼が墓場の死体を掘り起こしてその良いところだけを集めて作り上げた『女』だった。普通の女と違うのは、生まれてから100日、抱いてはいけないということ。寄せ集めの部分がくっつくのに100日かかるというのだ。その前に儚を抱いてしまうと儚は水として流れて消えてしまう──。





ヒトコトReview:

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王道のメロドラマ 受け取る側の感性しだいでしょう
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わたしはどうも和モノに弱い。
弱いというのは和物だからホロリとくる──という訳ではなくて、和物だとついつい見たい読みたいと思う、という意味の弱い、です。
だから結果として面白いと感じるかどうかは別として、他の題材より私にとって遭遇機会は多くなると言うこと。
一度扉座を見てみよう──とは思っていましたが、それが具体的にチケット買いの衝動に変わる要因というのは、今回はその和物要素。
初めての扉座生観劇──はてどちらに転ぶのか。

ちなみにこのレビュー、観てから3ヶ月も経って書いているので記憶はかなり曖昧──インプレッション重視で行きます。
詳細なんておぼえちゃいないわ。


■これぞ劇団?

さて紀ノ國屋ホール。ついてみると花魁系(あくまで『系』)の格好をしたおねーさんが各地に立って「お席わかりますか? 案内致します」をやっている。
後になってそれが役者のお迎えだとわかる。おねーさんたち、幕とともに舞台に消えたので。
最近ではスタジオライフがめっきり手抜きしている部分。
扉座では健在のよう。
そして場の空気が──なんつーか、劇団、でした。
固定ファンたちでうめ尽くされた空間。
わたしは部外者の立場ですので居心地の悪さが気になる。これも劇団っぽい。
後ろの席の若者たちは高校かな? の演劇部らしい。
どうやら先輩が出ているよう。
扉座──というのはきっと「何年後かここにいる自分」というのを演劇部諸君が連想しやすい、そういう劇団なのでしょう。
確か元をたどると厚木高校の演劇部──というやつでしたよね、確か。(記憶は曖昧)
お出迎えや観劇に臨む客層、なんだかクローズドな空間。
限りなく劇団公演。色々と感慨深く興味深い時間でありました──。


■王道ストーリーと王道オチ、いかに?

前にも断った通り、観劇したのは3ヶ月前。だいぶ記憶が遠のいているので、一番感じたことから始めます。

というのもこの王道ストーリー。そしてオチ。
ストーリーのところを読んでもらうとわかると思いますが、
「儚が人間になるのには100日かかるので、100日は鈴次郎は儚に手を出せない。手を出すと水になってしまう。さて鈴次郎はどうしたのでしょうか──?」
てなわけです。
これはもう、水になって消えるしかないですよね──人魚姫が泡となったように。
わかりきったラスト(正確に言うと水にはなりませんが)、それを予想し期待しながら見守る観客、さらにそれを予想通りに進めることで観客に快感を覚えさえながらもささやかな裏切りを施す本。
さて、どう表現してくれるのかしら──とある意味期待とある意味不安。
結論から言いますと
「あ──そうくるか。王道だなあ。ベタベタだなあ。でもこれって快感に結びつくのかなあ」
でした。

以下結末に至るまでのスートーリ及びネタばれ。


生まれたばかりの儚は子供同然。鈴次郎の欲望の対象にはなりえない。鈴次郎にとって儚が女にうつるのは、僧侶である妙海とその愛人三木松に儚を預けた後。生まれたばかりの子供であった儚が歌を詠み(ていうか何でいきなりここで歌いだすんだ、ミュージカルだったのか?? 扉座初見のわたしはここでまず仰け反る)舞を舞うしとやかな美女になってから。
恋に落ちた鈴次郎はツキの神様・賽子姫(これがまたすごい衣装なわけだ)の声が聞こえなくなってしまう。賭けは負けつづける。ツキの神様は気まぐれでその後二度と鈴次郎には微笑まない。
そんな中、賭けで負けた鈴次郎はカタに儚を女郎として売ってしまう。
100日たたないと人間になれない儚は女郎として誰かに抱かれると水になってしまう。
儚は手を出されることなく男を昇天させる『させず太夫』として名をはせるようになる。(ここでまた大々的ミュージカル カルメン風。いったい何なんだよ~)


儚は鈴次郎を恨むことなく「人間になりたい」とそのためだけに頑張るわけです。
頑張る儚は力強い。
鈴次郎を慕ってはいるがどちらかというと「この世に生を受けさせてもらえたのは、鈴さんのおかげ」的な恩人への感謝。
少なくともわたしには儚は『させず太夫』になる前からひたすらに力強い。
儚い──という名に似合わず、自分の力と努力を信じている。
このギャップは──はたして横内さんの思うままなんでしょうか? それともハズレなんでしょうか?
謎のままストーリーは続く…。


鈴次郎は儚を売りとばしてしまったことを後悔している。ただ、彼はこういう生き方しかできないのだ。
儚が人間となるまであと1日──99日目のこと。(そうです、100日ものは絶対99日目に何かあるのです。深草少将の昔から)
『させず太夫』の評判を聞いた殿様がやってくる。儚は今度こそは逃げられない──ここで水として消えてしまうのか??? というその危機に鈴次郎がはじめて動く。
鬼に頼んで儚を殿様から助け出してもらうかわりに、自分の命を差し出す約束をする。
鬼は無事儚を助け鈴次郎のもとへと連れてくる。
儚は水になってしまう危機から救われたが『愛する』鈴次郎はその為にあと1日の命。
最後に一度だけ抱いてくれ──という儚。
ただここで抱くと儚は水になってしまう。それがわかっている鈴次郎。
そして──


まあ、結局抱いてしまうわけです。
究極の選択? 予定調和? とりあえず筋を追っている観客はその結末を期待しておりますので、もちろんその通り進みます。
ラスト、儚は水となるのか?


儚は水にはならなかった。儚は花になった──。


で、ここで花吹雪、幕。て感じです。

ああ疲れた、こんなにちゃんとストーリー書いたの初めてです。
というのもここまでちゃんと書かないと以下の感想が意味不明なので。
儚は花に──花に、なったんすか。なんとも…王道。なんともロマンチック?
えんぺのレビューの多くはこのラストに感動、したそうです。
わたしは感動してないのか? と言われれば、うーん、心を動かされはしなかったという感じ。
とても良質な破綻ないストーリーでした。キレイなラスト。
これで感動の嵐! にならないのは、わたしがそういう優しい感情を根本的に信じていないからかもしれないですね。

気になったのが儚と鈴次郎との『恋』。
あえてカギカッコ付で言わせてもらいますが。
この演目はサブタイトルが『100 Days Love』なわけです。
観客であるわたしはこれをインプットして観てるわけです。
Loveはまあ色んなニュアンスがあるものなので恋とも限らないわけだけど、さんざん色んな場所で恋であるということは書いてあったんで、わたしはそう思って座っているわけです、座席に。
でも──これって、恋じゃないでしょ。
ラストで無理やり『恋』にしちゃっている感じ。(カギカッコ付!)
それまでの流れから鈴次郎はまあ確かに儚に恋してダメになってゆく感じが伝わってくるのだけれども、いかんせん、受けて立つ儚は恋してないでしょ?
少なくとも観客である私には伝わらなかった。
儚というキャラクタが伝わらなかったわけじゃない。
三木さん演じる儚はちゃんと伝わりました。
「いつも前向きで人間になることを夢見る、力強い儚」は──。
鈴次郎に対する恋なんかで人間になりたいなんて思っちゃいない。
自分のため。自分の生のため。自分で選ぶため。
こういう儚はわたしは好きなのですが、最後に自分のその想いを捨ててまで鈴次郎に抱かれるような伏線というか予感というものは──観客にはなかったんじゃないでしょうか。
(というか、観客は『そういう悲しいラブストーリー』観に来ているんだよ、という意識があるので納得してくれるかもしれませんが、それがなかったとしたら伝わったか? てこと)ラストの美しさに気を取られてちょっと騙されかかったりもしますが、うーむ、違う。
違うでしょ、そこで花になったりするような弱い子じゃないでしょ。
そこで大人しく抱かれて自分の夢を捨てられる儚じゃないでしょ。
て、思いがぐるぐる回るわけです。花吹雪とともに。

このひっかかりがこの王道ストーリーを「えええ???」というびっくり具合で幕を下ろさせてしまったわけです──わたしには。
このラストにするんだったら儚はもっと色っぽくて恋の匂いがする儚じゃなきゃおかしい。
もしこの儚のまま押し切るなら、花吹雪の中から人間になった儚が現れるぐらいじゃなきゃ、おかしい。鈴次郎は死に自分も水となるかと思ったが生を得た──これから自分の意思と力で一人で生きていくわ、ぐらいの。(笑)

でもみんな『感動の嵐』らしいんで、わたしの感性がひんまがっているのかもしれません。
お話や役者に不満があるわけじゃないので、残念。


■過度な性表現と内輪ネタについて・・・

あとひとつ気になったのが過度な性表現。
わたしが苦手だからかもしれないけど。
和尚である妙海と三木松の同性愛関係を「オカマ」的発想でひたすら強調しまくるのも、どうも観ていて気になった。
もちろん話の本筋とは直接関係なくて話のテーマとも関係はないけれど、それはきちんと伝わるけれど──突出して表現された内容というのはテーマとは関係なくすっかり脳に植え付けられてしまう。
やらんで済むことならやらんでほしい──といった感じ。
あと内輪ネタ? も。
他の観客が受けている意味がわかんない個所が多かった。
多分劇団内、劇団ファンだと通じるんだろうなあ。ライフもやりそう。
でもわたしは一見さんだからなあ。


■各キャストについて

鈴次郎役・山中さん、ダメっぷり似合いすぎ。カッコも汚なすぎ(笑)。役にあっててよかったと思う反面、こいつの恋を応援してやろうという気になれなかったのが残念。
青鬼・六角さん、すばらしい! あと鬼シゲ・岡森さんも。ストーリーは六角さん演じる青鬼の回想で進むわけですが、この語りとも独白ともつかない台詞がせつなくていい。六角さんいなかったら、妙にストーリーが軽くなっていそう。

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