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[hiroic's various Review & Daily Memo] Hiroicによる映画・ドラマ・本・芝居・四方山などに関するれびゅー
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作/デボラ・ラヴィン
訳/伊東美奈
上演台本・演出/倉田淳
ReviewWriteDate:2001/4/15
LastUpdate:2001/4/15

Cast:
石飛幸治(スベトラーナ・キャメロン)/曽世海児(メリック・ウェリコポルスティ)/高根研一(アラン・メイトランド)/舟見和利(サフロン・メイトランド)/深山洋貴(ドバイアス・メイトランド)/倉本徹(コスモ)/藤原啓児(デレック・アンダーソン)
2001/3/21~2001/4/8 @アトレフォンティーヌ

Date:
2001/4/7 13:30 J8
Note:
The Other Life 第4弾
Story:
40代後半のアランと30代後半のメリックはロンドンの高級住宅街で何の不都合もなく一緒に暮らしていた。そこにアランの別れた妻の悲報が届く。アランは9年前別れたきり一度も会っていない子供達、16歳の娘サフロンと15歳の息子ドバイアスを引き取りにゆく。二人は自分達の父親が同性愛者などとは思いもしない。事実が明らかにされてゆく時、まったく予想もしていなかった出来事が起きる・・・。
(パンフレットより)



ヒトコトReview:

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考えさせられ首もかしげるHappyFamilies
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アトリエフォンティーヌ、地下すぎます!
チケットもぎってもらった直後の階段、踏み外しました・・・ああ、落ちなくてよかった。
座席は最後列だったのですが、舞台はそんなに遠くなくて問題なし・・・。
だだ一つ気になったのが上演中の物音。背後からガタガタ音がする。壁薄すぎ。関係者のみなさん、動くときは静かにお願いします・・・。


■「え? ──まさか終わり??」

実はこれ、終演直後のわたしの心の叫び。
トビーがソファで膝をかかえて・・・暗転。
ま、まさかこれでお話が終わりか???

正直、ちょっと納得いかなかったというか、おきざりにされたような。
わたし、てっきりまだ続くもんだと思っていたので・・・。
舞台上での解決がないタイプのお芝居だったのね。
話の運び方がそう見えなかったので、肩すかしでした。

トビーの罪を背負うメリック、感情のままに父を殺したトビー。
警察に向かうメリックを見送ったトビーは、そのまま膝をかかえてどうなるのだろう。
その先は観客に委ねるというお芝居なんだろうけど、ちょっと委ねすぎ~。
とにかく「おーい、待ってくれ~」て感じでした。


■アランの死

いわしさんに「先読みしちゃうかもよ~」と言われていましたが、アランの死は──先読みしなかったよ。(笑)
パンフで言うところの『まったく予想もしていなかった出来事』がコレなんでしょうね。
予想してなかっわ。
だって前半のトーンとあまりに違うから。
水戸黄門見てるつもりだったのに白虎隊みたいだったというか。(うーん、わけわかんない例えだ)
わたしの先読みは「アランはメリックよりも子供を選ぼうとする」でした。
その方がヘビーに家族と個人(血縁と恋愛)が見えて好きなんだけど。(笑 好みの問題ね)

結局このお話ってアランとメリックという個人の問題(恋愛感情)て、どうでもいい──というか、あんま意味をなしていないと思うのです。
父親が同性愛者でした──というきっかけというかシチュエーションはもたらすけど、その原因から発生するのが子供の反発だけっていうのが、なんとなくもったいない。
わたし最初てっきりメリックが家出してるのってカミングアウトが原因だと思ってたからな~。まあ、それってありがちなんだけど、やっぱり重要でしょう?
アランにとってのメリック、メリックにとってのアランというのが「単なる今のパートナー」にすぎないのか「自分を受け止めるもっと大きい」存在なのかもよくわかんない。
ちょっとべたべたしてみるけど、なんか愛してるぞ~て感じがするわけでもないし。
親とぶつかってロンドンに逃げてきたはずのメリックと、離婚と不本意なカミングアウトというふたつにさいなまれていたはずのアラン。どうやって出会ってお互いが大切なの???
メインであるはずの二人の関係があまり描かれていないから、アランが死んだ後のメリックの行動が実感を伴わないというか。

メリックはまあ描かれているのだけど、アランってかなり手抜きな感じだよね・・・
もしかしたら高根アランがとても40代後半に見えなかったからかもしれないけど。
最後に「息子をつかまえさせるな」と言うほどの家族への執着が見えないから、最後のあの結末がどーも、ちゅうぶらりんというか。

お芝居に限らず小説でもドラマでも、メインキャストを死なせるのは、あんまり好きじゃないんですよね(まさに好き嫌い)。
実際の生き死には伏線も予告もストーリーのバランスも関係なく訪れるものですが
これはやっぱりお芝居なので、観客を納得させるものがないと、やっぱり「作り物」っぽさが際だってしまう。
血だらけの高根さんみた瞬間、実はちょっと笑ってしまったんですが、まさか死なせちゃうとはね・・・。
脳って、確かに微妙な器官です。繊細です。
でも個人的につい先日交通事故で頭打ってあまつさえ記憶喪失にまでなったわたし(爆)から見ると、あんま安易にああいうのしてほしくないですなあ。患者側の立場としては。(笑)死ぬって簡単だけど簡単じゃないのだよ。
そんなこと言い出したら何も描けなくなっちゃうわけですが、アランの死てちゃんと作り手が覚悟決めて作り出している感じがしなかったんですよね。元の話のせいなのか、演出のせいなのかはわかんないけど。
アランを死なせることで、波乱を起こさせる──そのためだけの死に見えたのです。
お芝居のストーリーに利用された生死というか。
これじゃ、メリックは何も乗り越えてないよね。(自分の問題に対して)
トビーは乗り越えようがないよね。
そこまで推測しなきゃいけとしたら、観客の資質に負った世界になっちゃいますよね。


■家族の肖像と世界観

とはいえ、前半は(というかアランが死ぬまでは)わりと軽いながらも色々考えさせられて、おもしろかったです。
家族が一番大切だったり、だからこそ駄目になったり。
個人的に色々思うところがある内容だっただけに、台詞ひとつひとつに心の中で「わたしはこう思う」というのを言っていました。
こうやって考えながら観るのは、好き。
ひさしぶりに脳細胞使ってお芝居見れました。
多分同じようにみんなが「自分だったらどうだろう」と考えながら見てたんじゃないでしょうか。

見ながら気になったのがナチス、ホロコーストの扱いで、日本人にはこれらの言葉ってすごく伝わりにくいものなんじゃないか──と。イギリス人の反応とは本質的に違うんじゃないか、と。
メリックの父がナチスだったと知って騒ぐトビー見て「曽世さん、深山君はどういう気持ちでこれを演じているのだろう」というのが気になったのです。そして受け取る観客も。
ロンドンの役者と観客とは、やっぱり違うんだろうなあ。作者の意図ともここだけは深く交われないんじゃないかなあ──。
わたしの世代ってまだ戦後50年たってない時期に義務教育だったので、夏になるたびに色んな戦争物のテレビドラマだの映画だのがあって、「戦争=いけないことなんだ」みたいな言葉を反射的に持っているわけです。
でもその時にあまり自分たちの祖父、曾祖父がナチスと変わらない虐殺をしていたかもしれない──という発想はあまりないんじゃないでしょうか。
日本の場合反戦の部分と過去の事実認識って、かなり離れたところにおかれちゃってたな・・・という印象があって。
だから「ナチス」という言葉も意味も事実も知っていても認識甘いような。
お芝居の中で「自分の親がナチスだったらあなたならどうする」みたいなスベトラーナの言葉に、自分の祖父、曾祖父の事実(もちろんみんながみんなそんな過去はないでしょうが)だったらどうするだろう? て発想が観客側では生まれにくいんじゃないかなー、と気になりました。
メリックがどう反応するとかスベトラーナがどう受け止めたか、ということじゃなくて、本質的に自分に置き換えて考えられる地盤が日本にはあるのかな~?
ロンドンで上演される時と日本で上演される時って、やっぱりそういう歴史認識の違い、世界観って実は大きな差を生むんじゃないか──客席でそんなことを考え込んでしまいました。
(大学で戦争をテーマとしている級友が多かったせいもあるんですけどね。わたし日本史専攻なんで)

その中でほぼ出ずっぱりの石飛さんが、圧倒的な存在感。
彼女(彼)の言葉は、痛い思いをしたことがあった上の重みがあります。
価値観なんてすべてが正しいもので、どっちから光を当てるかっていうだけで
そういうこともわかった上でトビーに対してもメリックに対しても、自分を語れる。
カッコええな~て感じ。
石飛さんの言う「自分の立場だったらあなたはどうする?」という問いかけは、なんだか、本物でした。
見ている全員がみな考えてみちゃうような・・・。


■各キャスト

曽世さんは相変わらず達者。
やせましたね・・・というかやせたままを維持しているというか。
高根さんはあんまり印象に残っていない。前ほどひどくないので安心しましたが、やっぱり嘘っぽい。苦悩が似合わない。(笑)
深山さん、あのカットソーかわいいっすね。わたし欲しいです。どこで買いましたか?
舟見君、最近女の子役でも躊躇なく演じられるようになって、おねーさんは嬉しいです。
藤原さんはまあいつも通り。
倉本さん、ライフっぽくなくていい感じ。でも倉本さんが変なことするたびに近くのおねーさんが馬鹿みたいに笑い続けるんで、それが気になって笑えなかった。ずーっと爆笑するほど面白い? 面白いのかな。わたしあんまああいうの観て笑わないからなあ。

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