2日目。今日は整理番号が遅いので開演ぎりぎりに入るテイタラク。
でもスペースがあって踊りまくれました。身体痛い。
濱田マリsanが子供を膝の上に乗せて2F席におりました。
アンコール! てみんなが拍手してるとき、子供もちゃんと自分で拍手していたのが超可愛い。
あの二人の子供である以上、きっと変人に育つんでしょうが
あの轟音とどろくライブをあの年齢で泣き出さずに見ているってすごいわ。
(いや、途中で抜けていたのかもしれないけどね)
結局豚Tシャツは2枚目ゲット。1枚はとりあえず保管しておいてもう1枚は普段着のように着てしまうつもり。
ボーダーTにOnで着ても可愛いこと発見。下はジーンズとか汚なめにしてね。
しかし、普段動いていないから、首肩腕ふくらはぎが痛い!
でもスペースがあって踊りまくれました。身体痛い。
濱田マリsanが子供を膝の上に乗せて2F席におりました。
アンコール! てみんなが拍手してるとき、子供もちゃんと自分で拍手していたのが超可愛い。
あの二人の子供である以上、きっと変人に育つんでしょうが
あの轟音とどろくライブをあの年齢で泣き出さずに見ているってすごいわ。
(いや、途中で抜けていたのかもしれないけどね)
結局豚Tシャツは2枚目ゲット。1枚はとりあえず保管しておいてもう1枚は普段着のように着てしまうつもり。
ボーダーTにOnで着ても可愛いこと発見。下はジーンズとか汚なめにしてね。
しかし、普段動いていないから、首肩腕ふくらはぎが痛い!
作/中島かずき
演出/いのうえひでのり
ReviewWriteDate:2002/8/30
LastUpdate:2002/8/30
Cast:
市川染五郎(阿弖流為<あてるい>)/堤真一(坂上田村麻呂利仁)/水野美紀(鈴鹿/釼明丸)
西牟田恵(立烏帽子)/植本潤(紀布留部)
橋本じゅん(佐渡馬黒縄)/栗根まこと(飛連通)/逆木圭一郎(大獄)/右近健一(無碍随鏡)/河野まさと(阿久津高麻呂/覆面男1)/インディ高橋(赤頭)/礒野慎吾(青頭)/村木仁(丸頭)/吉田メタル(大伴糖持/覆面男2)/村木よし子(阿毛斗)/山本カナコ(薊)/中谷さとみ(阿毛留)/保坂エマ(阿毛志)/川原正嗣(翔連通)/前田悟(闇器)
金久美子(御霊御前)/渡辺いっけい(蛮甲)
2002/8/5~28 @新橋演舞場
Date:
2002/8/24 17:00
Note:
劇団☆新感線×松竹
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
いい男そろいぶみ、久々に観たぞ! と実感ありの娯楽大作
--------------------------------------------------------------------------------
最近チケ取り情報がかなりずさんになっているため、チケットを取っていなかった『アテルイ』。
行きたいなあとは思っていたのだけど根性がないわたしは基本的に当日券というのはやらないタイプで。(家が都心から離れている、そして面倒くさいのが苦手・・・笑)
そんな時、ようこさんよりチケットを譲っていただけることになり、行って参りました新橋演舞場。
新橋演舞場・・・以前新春歌舞伎に連れて行ってもらってみごと3F席で爆睡した記憶のある劇場。
2年ぶりぐらい?
どうしてもロングブーツが欲しい病にかかっていたので先に表参道に寄り、どでかい荷物を持って演舞場前到着。
ロッカーの空きを確保するために開場前にスタンバイ。
ロビー開場後、まっさきにロッカーに向かい、一番どでかいロッカーにブーツの箱を入れる。
普通のロッカーじゃ入らないサイズなんだもの。
それ以外に入れるものがなくもったいない気がするものの、こんなはた迷惑なものを座席に持ち込んで3時間を過ごすなんて考えられないので、しゃーないです。
■いい男・ふたり主役のための舞台!
さて、実は初・劇団☆新感線なわたし。
大変わかりやすくストレートな娯楽劇、大いに楽しみました。
活劇ありの、ややロマンスありの。
ギャグもちゃんと笑えたし。
役者も基本的に皆達者であやういところもない。(んな心配がいるのは某劇団だけか)
しかしまあ、何と言っても市川染五郎+堤真一、このふたりのための舞台でしょう。
染五郎@アテルイはタイトルロールだけど、実質ふたり主役。
わたしは堤さんがよく駆け抜ける方の花道側だったので、どうしても目が堤さんに行く。
ヒーロータイプのキャラとは違うんだけど、しみじみカッコイイ。
台詞に味があるっつーか、なんかこういう人いそうで(でも実際にはいない・・・涙)、無骨なところもありつつ、無邪気で男気があって。
対する染五郎は影のある典型的ヒーロー役。
笑う部分もあるけど、基本的には王道でしょう。
文句なしにカッコイイ。
んで、まあ絶対に染派か堤派かってことになるんだろうけど、すんごいすんごい悩みつつ、うーん。堤派。
是非とも近くにいてほしい人材ってことで。笑
このふたりがたち回りはほんとカッコイイし、
やりとりも敵味方でありながらお互いを尊重し、友情すら感じているっていうので、お話をぐいぐいひっぱっていくわけです。
■惚れたぜ、西牟田恵!
いやあもう、実を言うと男性陣2人よりもわたしが惚れ込んだのが西牟田恵!
染五郎演ずるアテルイとともに蝦夷の里に戻り闘う女性、立烏帽子役。
この立烏帽子こそが一度アテルイが裏切った神・アラハバキそのものであり、アテルイを『神殺し』とさせる存在。
いやあもう、ステキ。
ややハスキーな少年みたいな声もいいし、お芝居もいいし、小柄な身体で柔軟に動き回る立ち回りもいいし、なんてってって存在感がある。
女を感じさせない存在ながら、でも魅力的。
あんま女女したキャラだと女の側から見ると鬱陶しい、うざいキャラになっちゃうところもあるのですが、西牟田さん演じる立烏帽子はそれがない。
自分を救うために罪をおかしたアテルイを探し当て、ともに蝦夷に戻る・・・という筋書きがまたドラマチックで、そんな二人の旅路を勝手にわくわく見る観客。
観客は物語の進行上、アテルイ・染×西牟田・立烏帽子、堤・田村麻呂×水野・鈴鹿の組み合わせで筋を追っていくわけですが、ペアとしては断然染×西牟田に軍配ありなのです。
とうとう西牟田・立烏帽子がアラハバキの神であるとわかり、アテルイと対決する場面なんてもう鳥肌です。(あくまで個人的にですが)
裏切りたくて裏切ったわけではない神・アラハバキを再度自分の意思で殺す、アテルイ。
二度も自分を裏切るのか──とあえぐアラハバキ。
それまでひとつにくくっていた髪をばさあっと空になびかせ、アテルイの前に降臨したアラハバキとしての西牟田さんのカッコイイこと!!!
そのアラハバキを殺し本当の神殺しとなるアテルイ。
いやあもう、素敵っす。惚れました。
■しかしこういう女こそ
モテルんちゃうかしら──て思ったのが、水野美紀演じる鈴鹿。
考えても考えても、鈴鹿のキャラがなまっちょろいためなのか、水野嬢の演技がイケてないのか、判断はつきにくい。感情入っちゃうから。
でもまあ、釼明丸の役になった時もやはりイケていなかったから、感情論抜きで水野嬢にも問題ありってことでいいでしょう。
と言い訳がましく言いたくなるのには多少理由があって
堤田村麻呂の相手役である鈴鹿が、堤さんの隣に立つ、堤さんが惚れている女ってのが納得いかなかったのよー!!
・・・・・・しかしそれは単に美人でなよなよした感じの女に対する女としての敵愾心かもしれん、などと冷静に考えてみたりもするわけで。
しかしその点を抜いても、まあ、やっぱ、だめだったよなあ。
釼明丸役の時は鈴鹿と別人でないといかんのに、やっぱイヤ~な女っぽさは残っていたし、やっぱ下手だったと思うし。
少なくとも見る限りにおいて鍵を握るほどの重要な役を演じているっていう感じがなかったし、でも脚本上ではもっと重要な役だったはずで。
アクション女優云々っていうのがパンフにやたらと書いてあったのですが、言われて見ればそうなのかな? てなぐらい。もちろんアクションは下手じゃなかったけど、オープニングの踊りは学芸会っぽかったし。
まあ、初舞台ってことだし、次以降──なんでしょう・・・・・・。
終始「堤さん、どうしてそんな女がいいのー!?」
みたいに思いつつ観てしまいました。
しかし、実はああいうタイプの女性の方が男性受けはします。
これも真実。
田村麻呂、お前もか・・・・・・。
■その他お気に入りキャラ
ダントツ気に入ったのは植本潤さん。
笑わせるところはビシっと笑わせ締めるとこ締める。
悪役だってわかりつつも一目おいちゃうようなその存在感。うう~ん、いいです。
右近さんは、変な妖怪になってもなお面白い。
■盛り上がりまくったカーテンコール
こんなに盛り上がっている会場を見るのは『エリザベート』の山口バージョン以来かしら。(笑)
楽日も近くなっていたのでリピーターも多かったようで、隣のおばさまたちも幕間にあそこはねっていう話をしていたりする。
(気のせいか、客層がいつものお芝居と違う。年配の方が多いのはやはり染パワーか)
びっしりと当日券の折りたたみ席が置かれた会場の熱気はカーテンコールで最高潮に。
スタンディングオベーションとなりました。
熱心なファンがぱらぱらやっていたのが、カーテンコールの度に会場に広がっていくという感じで。
カーテンコール、1つ不満が。
全員が出てくるカーテンコールの後、染・堤・水野が3人で出てくるんです。
でもでも! 1観客の感想から言わせてもらうなら、話の中での重要度考えたら、染・堤が2人で出てくるかそれとも染・堤・水野・西牟田が4人で出てくるかでしょうー?
まあ、製作側の思惑とかキャストの扱いの問題とかあるんだろうけどさ。
西牟田さんの扱いに関してはあの分厚い2500円もするパンフ内での並びに関しても不満ありなんですけど。
■3時間という長さについて
3時間。長いか短いか──。
これ、ライフの時によく話題になったネタだと思います。
ライフの3時間は長い3時間。
新☆感線に関しては長いという感じはほとんどなかったのは事実。
やっぱり時計は見ちゃうんだけどね、全体の中のどの辺りにあたるのか、とか考えてしまうので。
でも長くて退屈とかそんなこともまったくなく。
しかし、奇しくもパンフでの富野由悠季と中島かずきの対談でそのことについて富野氏がこんなことを言っておりました。
(富野氏はトップランナーでも結構すごいこと言ってたりして視聴者をどきどきさせていましたが、対談は言いたい放題でかなり面白かった。(笑))
「1時間30分ぐらいまでは最初に何をやっていたかを覚えているんです。でも、1時間40分を超えると覚えられなくなっているの。~中略~3時間を超えると完璧にわからなくなるの」
個人的に、これ、本当だな~と思う。
『アテルイ』に長さは感じなかったけど、一幕でのストーリー展開って、二幕を見ている段階でかなり記憶の彼方だったし、もうちょっとエピソードを刈り込んでいった方が伝わりやすいんじゃないかなとも思いました。
特にわたし、キャッシュメモリがない人なんで。2回観ればもうちょっと記憶が確かなんだろうけどねえ。そういう意味で再演およびDVD発売を期待。(笑)
で、1点気になるのが、テーマのブレみたいなもの。
野田秀樹なら1時間半でばしっとアテルイを見せてくれる気がするんだけど、彼ならテーマに沿ったエピソードを必要な分のみ散りばめてお話にしちゃうだろう、多分その場合神殺しがテーマになるだろうという感じがするから。
今回の『アテルイ』でも神殺しとしてのアテルイというテーマは見て取れる。
が、おそらくメインテーマは田村麻呂との男の友情。
だからメロドラマとしてどんどん時間が長くなる。
でも作者としては蝦夷、東北の神、神殺しっていうテーマに心ひかれているのは見てとれて、でもその好奇心が半端に披露されているから、なんだかもったいない。片足じゃなくってどっぷり踏み込めば相当面白いのに。それをやりつつ男の友情やるのは難しいんでしょうが。でも、どっぷりの方が見てみたい。こんなに美味しいネタなのに。
アラハバキのエピソードを見ながらやはり梅原猛『神々の流竄』を思い出しました。
演出/いのうえひでのり
ReviewWriteDate:2002/8/30
LastUpdate:2002/8/30
Cast:
市川染五郎(阿弖流為<あてるい>)/堤真一(坂上田村麻呂利仁)/水野美紀(鈴鹿/釼明丸)
西牟田恵(立烏帽子)/植本潤(紀布留部)
橋本じゅん(佐渡馬黒縄)/栗根まこと(飛連通)/逆木圭一郎(大獄)/右近健一(無碍随鏡)/河野まさと(阿久津高麻呂/覆面男1)/インディ高橋(赤頭)/礒野慎吾(青頭)/村木仁(丸頭)/吉田メタル(大伴糖持/覆面男2)/村木よし子(阿毛斗)/山本カナコ(薊)/中谷さとみ(阿毛留)/保坂エマ(阿毛志)/川原正嗣(翔連通)/前田悟(闇器)
金久美子(御霊御前)/渡辺いっけい(蛮甲)
2002/8/5~28 @新橋演舞場
Date:
2002/8/24 17:00
Note:
劇団☆新感線×松竹
ヒトコトReview:
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いい男そろいぶみ、久々に観たぞ! と実感ありの娯楽大作
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最近チケ取り情報がかなりずさんになっているため、チケットを取っていなかった『アテルイ』。
行きたいなあとは思っていたのだけど根性がないわたしは基本的に当日券というのはやらないタイプで。(家が都心から離れている、そして面倒くさいのが苦手・・・笑)
そんな時、ようこさんよりチケットを譲っていただけることになり、行って参りました新橋演舞場。
新橋演舞場・・・以前新春歌舞伎に連れて行ってもらってみごと3F席で爆睡した記憶のある劇場。
2年ぶりぐらい?
どうしてもロングブーツが欲しい病にかかっていたので先に表参道に寄り、どでかい荷物を持って演舞場前到着。
ロッカーの空きを確保するために開場前にスタンバイ。
ロビー開場後、まっさきにロッカーに向かい、一番どでかいロッカーにブーツの箱を入れる。
普通のロッカーじゃ入らないサイズなんだもの。
それ以外に入れるものがなくもったいない気がするものの、こんなはた迷惑なものを座席に持ち込んで3時間を過ごすなんて考えられないので、しゃーないです。
■いい男・ふたり主役のための舞台!
さて、実は初・劇団☆新感線なわたし。
大変わかりやすくストレートな娯楽劇、大いに楽しみました。
活劇ありの、ややロマンスありの。
ギャグもちゃんと笑えたし。
役者も基本的に皆達者であやういところもない。(んな心配がいるのは某劇団だけか)
しかしまあ、何と言っても市川染五郎+堤真一、このふたりのための舞台でしょう。
染五郎@アテルイはタイトルロールだけど、実質ふたり主役。
わたしは堤さんがよく駆け抜ける方の花道側だったので、どうしても目が堤さんに行く。
ヒーロータイプのキャラとは違うんだけど、しみじみカッコイイ。
台詞に味があるっつーか、なんかこういう人いそうで(でも実際にはいない・・・涙)、無骨なところもありつつ、無邪気で男気があって。
対する染五郎は影のある典型的ヒーロー役。
笑う部分もあるけど、基本的には王道でしょう。
文句なしにカッコイイ。
んで、まあ絶対に染派か堤派かってことになるんだろうけど、すんごいすんごい悩みつつ、うーん。堤派。
是非とも近くにいてほしい人材ってことで。笑
このふたりがたち回りはほんとカッコイイし、
やりとりも敵味方でありながらお互いを尊重し、友情すら感じているっていうので、お話をぐいぐいひっぱっていくわけです。
■惚れたぜ、西牟田恵!
いやあもう、実を言うと男性陣2人よりもわたしが惚れ込んだのが西牟田恵!
染五郎演ずるアテルイとともに蝦夷の里に戻り闘う女性、立烏帽子役。
この立烏帽子こそが一度アテルイが裏切った神・アラハバキそのものであり、アテルイを『神殺し』とさせる存在。
いやあもう、ステキ。
ややハスキーな少年みたいな声もいいし、お芝居もいいし、小柄な身体で柔軟に動き回る立ち回りもいいし、なんてってって存在感がある。
女を感じさせない存在ながら、でも魅力的。
あんま女女したキャラだと女の側から見ると鬱陶しい、うざいキャラになっちゃうところもあるのですが、西牟田さん演じる立烏帽子はそれがない。
自分を救うために罪をおかしたアテルイを探し当て、ともに蝦夷に戻る・・・という筋書きがまたドラマチックで、そんな二人の旅路を勝手にわくわく見る観客。
観客は物語の進行上、アテルイ・染×西牟田・立烏帽子、堤・田村麻呂×水野・鈴鹿の組み合わせで筋を追っていくわけですが、ペアとしては断然染×西牟田に軍配ありなのです。
とうとう西牟田・立烏帽子がアラハバキの神であるとわかり、アテルイと対決する場面なんてもう鳥肌です。(あくまで個人的にですが)
裏切りたくて裏切ったわけではない神・アラハバキを再度自分の意思で殺す、アテルイ。
二度も自分を裏切るのか──とあえぐアラハバキ。
それまでひとつにくくっていた髪をばさあっと空になびかせ、アテルイの前に降臨したアラハバキとしての西牟田さんのカッコイイこと!!!
そのアラハバキを殺し本当の神殺しとなるアテルイ。
いやあもう、素敵っす。惚れました。
■しかしこういう女こそ
モテルんちゃうかしら──て思ったのが、水野美紀演じる鈴鹿。
考えても考えても、鈴鹿のキャラがなまっちょろいためなのか、水野嬢の演技がイケてないのか、判断はつきにくい。感情入っちゃうから。
でもまあ、釼明丸の役になった時もやはりイケていなかったから、感情論抜きで水野嬢にも問題ありってことでいいでしょう。
と言い訳がましく言いたくなるのには多少理由があって
堤田村麻呂の相手役である鈴鹿が、堤さんの隣に立つ、堤さんが惚れている女ってのが納得いかなかったのよー!!
・・・・・・しかしそれは単に美人でなよなよした感じの女に対する女としての敵愾心かもしれん、などと冷静に考えてみたりもするわけで。
しかしその点を抜いても、まあ、やっぱ、だめだったよなあ。
釼明丸役の時は鈴鹿と別人でないといかんのに、やっぱイヤ~な女っぽさは残っていたし、やっぱ下手だったと思うし。
少なくとも見る限りにおいて鍵を握るほどの重要な役を演じているっていう感じがなかったし、でも脚本上ではもっと重要な役だったはずで。
アクション女優云々っていうのがパンフにやたらと書いてあったのですが、言われて見ればそうなのかな? てなぐらい。もちろんアクションは下手じゃなかったけど、オープニングの踊りは学芸会っぽかったし。
まあ、初舞台ってことだし、次以降──なんでしょう・・・・・・。
終始「堤さん、どうしてそんな女がいいのー!?」
みたいに思いつつ観てしまいました。
しかし、実はああいうタイプの女性の方が男性受けはします。
これも真実。
田村麻呂、お前もか・・・・・・。
■その他お気に入りキャラ
ダントツ気に入ったのは植本潤さん。
笑わせるところはビシっと笑わせ締めるとこ締める。
悪役だってわかりつつも一目おいちゃうようなその存在感。うう~ん、いいです。
右近さんは、変な妖怪になってもなお面白い。
■盛り上がりまくったカーテンコール
こんなに盛り上がっている会場を見るのは『エリザベート』の山口バージョン以来かしら。(笑)
楽日も近くなっていたのでリピーターも多かったようで、隣のおばさまたちも幕間にあそこはねっていう話をしていたりする。
(気のせいか、客層がいつものお芝居と違う。年配の方が多いのはやはり染パワーか)
びっしりと当日券の折りたたみ席が置かれた会場の熱気はカーテンコールで最高潮に。
スタンディングオベーションとなりました。
熱心なファンがぱらぱらやっていたのが、カーテンコールの度に会場に広がっていくという感じで。
カーテンコール、1つ不満が。
全員が出てくるカーテンコールの後、染・堤・水野が3人で出てくるんです。
でもでも! 1観客の感想から言わせてもらうなら、話の中での重要度考えたら、染・堤が2人で出てくるかそれとも染・堤・水野・西牟田が4人で出てくるかでしょうー?
まあ、製作側の思惑とかキャストの扱いの問題とかあるんだろうけどさ。
西牟田さんの扱いに関してはあの分厚い2500円もするパンフ内での並びに関しても不満ありなんですけど。
■3時間という長さについて
3時間。長いか短いか──。
これ、ライフの時によく話題になったネタだと思います。
ライフの3時間は長い3時間。
新☆感線に関しては長いという感じはほとんどなかったのは事実。
やっぱり時計は見ちゃうんだけどね、全体の中のどの辺りにあたるのか、とか考えてしまうので。
でも長くて退屈とかそんなこともまったくなく。
しかし、奇しくもパンフでの富野由悠季と中島かずきの対談でそのことについて富野氏がこんなことを言っておりました。
(富野氏はトップランナーでも結構すごいこと言ってたりして視聴者をどきどきさせていましたが、対談は言いたい放題でかなり面白かった。(笑))
「1時間30分ぐらいまでは最初に何をやっていたかを覚えているんです。でも、1時間40分を超えると覚えられなくなっているの。~中略~3時間を超えると完璧にわからなくなるの」
個人的に、これ、本当だな~と思う。
『アテルイ』に長さは感じなかったけど、一幕でのストーリー展開って、二幕を見ている段階でかなり記憶の彼方だったし、もうちょっとエピソードを刈り込んでいった方が伝わりやすいんじゃないかなとも思いました。
特にわたし、キャッシュメモリがない人なんで。2回観ればもうちょっと記憶が確かなんだろうけどねえ。そういう意味で再演およびDVD発売を期待。(笑)
で、1点気になるのが、テーマのブレみたいなもの。
野田秀樹なら1時間半でばしっとアテルイを見せてくれる気がするんだけど、彼ならテーマに沿ったエピソードを必要な分のみ散りばめてお話にしちゃうだろう、多分その場合神殺しがテーマになるだろうという感じがするから。
今回の『アテルイ』でも神殺しとしてのアテルイというテーマは見て取れる。
が、おそらくメインテーマは田村麻呂との男の友情。
だからメロドラマとしてどんどん時間が長くなる。
でも作者としては蝦夷、東北の神、神殺しっていうテーマに心ひかれているのは見てとれて、でもその好奇心が半端に披露されているから、なんだかもったいない。片足じゃなくってどっぷり踏み込めば相当面白いのに。それをやりつつ男の友情やるのは難しいんでしょうが。でも、どっぷりの方が見てみたい。こんなに美味しいネタなのに。
アラハバキのエピソードを見ながらやはり梅原猛『神々の流竄』を思い出しました。
先週、会社の代表電話になんだかすごいクレーマーから電話がかかってきた。
不幸なことに、一発目の電話をとったのがわたしだったのです。。。
詳細は書けないものの、とりあえずヤバ目の人で、3分に1回ぐらいかけてくるし
部署内の何人かが対応していたんだけど、全員パニック。
だいたい、代表とはなんら関係内容なので、単なるクレーマーなだけど。
男の子の後輩君は弁護士呼ぶぞ! 東京行くぞ! と怒鳴られたというけれど
だったら弁護士連れで東京来んさい! ていう感じ。
あと、若い者行かせるぞ! みたいな脅しも言われたらしい。男の子相手だからかな。
実際まあ、そういう系の方らしいのだけど。
しかし、あんな程度の内容で(ていうか、そもそも言いがかりだからこっちに非はないのだが)
お金とかぶんどれると思っているんでしょうか。
世の中には色んな人がいるんですねえ。。。
不幸なことに、一発目の電話をとったのがわたしだったのです。。。
詳細は書けないものの、とりあえずヤバ目の人で、3分に1回ぐらいかけてくるし
部署内の何人かが対応していたんだけど、全員パニック。
だいたい、代表とはなんら関係内容なので、単なるクレーマーなだけど。
男の子の後輩君は弁護士呼ぶぞ! 東京行くぞ! と怒鳴られたというけれど
だったら弁護士連れで東京来んさい! ていう感じ。
あと、若い者行かせるぞ! みたいな脅しも言われたらしい。男の子相手だからかな。
実際まあ、そういう系の方らしいのだけど。
しかし、あんな程度の内容で(ていうか、そもそも言いがかりだからこっちに非はないのだが)
お金とかぶんどれると思っているんでしょうか。
世の中には色んな人がいるんですねえ。。。
お茶の間の方で中国語の話が出たので、
先日、中国語の先生に教えて貰ったよもやま話から。
中国語でチャイナドレスは『旗袍(qi paor)』と言います。
『旗』? 何で旗なんでしょう。
この『旗袍』というのは『旗袍=旗人的袍』の略。
じゃあ『旗人』って?
『旗人=満族(満州族)』のことであって、チャイナドレスはもともと満州族の衣装だったというのです。
満州族は騎馬民族で、それぞれの軍隊を見分けるために旗を立てていたということで、『旗人』。
清朝が明朝を破ったのが 年だから、それ以後に中国の民族衣装が漢民族のものから満州族のものになってし
まったらしい。
ちなみにチャイナドレス原型は、あくまで肌着だったそう。
チャイナドレスと同じように、言葉も変ってしまったそうで。
中国の共通語と言われている普通語は、そもそも満州族の言葉。
今やそれが共通語で、漢民族がしゃべっているのだから、すごい。
元々漢民族がしゃべっていた言葉はどうなったのかと言うと
現在西安や福建省などで話されている言葉がそれに近いらしく、
さらに古い中国語は実はもっと南、広東省が近いとか。
言葉も民族衣装も、だんだんと北の勢力で塗り替えられていったわけです。
国を支配する民族によってこうも大胆に入れ替わるかな、
とそのダイナミックさに感心。
普通の授業よりこういうのばかり目を輝かせて聞くわたし。メモを取るわたし。(笑)
ちなみに瀋陽に訪問したとき、本渓水洞に行きましたが、ここは満州族の地区でした。
先日、中国語の先生に教えて貰ったよもやま話から。
中国語でチャイナドレスは『旗袍(qi paor)』と言います。
『旗』? 何で旗なんでしょう。
この『旗袍』というのは『旗袍=旗人的袍』の略。
じゃあ『旗人』って?
『旗人=満族(満州族)』のことであって、チャイナドレスはもともと満州族の衣装だったというのです。
満州族は騎馬民族で、それぞれの軍隊を見分けるために旗を立てていたということで、『旗人』。
清朝が明朝を破ったのが 年だから、それ以後に中国の民族衣装が漢民族のものから満州族のものになってし
まったらしい。
ちなみにチャイナドレス原型は、あくまで肌着だったそう。
チャイナドレスと同じように、言葉も変ってしまったそうで。
中国の共通語と言われている普通語は、そもそも満州族の言葉。
今やそれが共通語で、漢民族がしゃべっているのだから、すごい。
元々漢民族がしゃべっていた言葉はどうなったのかと言うと
現在西安や福建省などで話されている言葉がそれに近いらしく、
さらに古い中国語は実はもっと南、広東省が近いとか。
言葉も民族衣装も、だんだんと北の勢力で塗り替えられていったわけです。
国を支配する民族によってこうも大胆に入れ替わるかな、
とそのダイナミックさに感心。
普通の授業よりこういうのばかり目を輝かせて聞くわたし。メモを取るわたし。(笑)
ちなみに瀋陽に訪問したとき、本渓水洞に行きましたが、ここは満州族の地区でした。
作/長野まゆみ
出版社/作品社
ReviewWriteDate:2002/5/6
LastUpdate:2002/5/6
Notes:
長野まゆみによる懐かしおもちゃエッセイ。
Stoy:
おもちゃ 古裂(こぎれ)コレクション
愛おしきものたち。幸せの情景。
懐かしさにみちたエッセイ集。
(帯より)
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
思い出す子ども時代、なつかしのおもちゃたち
--------------------------------------------------------------------------------
■記憶の鍵は
──なんなんでしょう。
匂いで過去を思い出すとも言うし、情景なのかもしれない。
ごくごくたまに、頭の引出しの『どっか』からころんと出てくる記憶があって「人間の記憶ってばすごい」と感心してしまうのですが
このエッセイはそのきっかけにあふれています。
■愛しき蒐集物たち
ずいぶん長らくBookReviewをさぼっていたのですが、今回重い腰を上げたのはエッセイ中にあった懐かしの蒐集物たちに驚いたから!
そうそう、集めた集めた!!!!
がががーっと記憶がフラッシュバック。まるで自分が小学生まで戻ったような異様な感覚にとらわれたのです。
以下引用です・・・
a.消しゴム──流行った流行った。わたしの時は爆発的に練り消しが流行りました。
高校の美術でそれ用に買うようなちゃんとした練り消しゴムではなく、色がついていたり匂いがするようなヤツ。
普通の消しゴムを砕いたりカスを集めたりして糊と練って自作練り消し作りも流行っていました。
これは単に親がホイホイ練り消しを買ってくれないために流行った代用品なんで、もちろん鉛筆は消えません。(笑)
b.鉛筆──は、流行ったようないないような。記憶にあまりないです。
c.折り紙──爆発的に流行りました。長野まゆみも書いているように、MDサイズの小さい折り紙。
千代紙系ではなく、いろんな柄物が流行って、トレードしまくっていました。今でも一部残っています。使わないのに集めるんだよねえ。それが楽しくて。
d.千代紙──これはわたしは折り紙の中に入るかな。
e.紙石鹸──懐かしい!!!
今の子は知らないんじゃないかなー? ちゃんと手を洗うような物じゃないんだけど、超薄い石鹸。
サンリオ商品とかであって、誕生日会とかのおかえしにもらった記憶が。
f.紙ナプキン──長野まゆみ曰く「花もようやチェック柄で、使用目的はとくになし。見せ合ったり、交換したりするだけのもの」。
紙ナプキン流行りましたー?
g.花紙──「ポッケットティッシュが登場する以前の懐中品」だそうですが、こいつもわたしは流行った記憶ナシ。
h.メモ帳──「ミシン線入りで一枚の紙が三つくらいに分割できる。実用性はほとんどなく~」なるほど、あった気がする。漫画雑誌の付録とかにあったような。
i.シール──これは今でも流行っているでしょうね。うちらの頃には今ほど立派なもんじゃありませんでしたが。
しっかし、どれもこれも女の子たちは競って蒐集し、交換し、自慢し、親にねだったり買ってもらえなくて悔しい思いをしたり──そういう小学校の教室の匂いがせまってくる、なつかしの品々です。
言われてみれば、わりとちゃんと覚えていたりして、本当に懐かしい。
あと、わたしの学校はふでばこが流行りました。「何面あるか」を競うんですが、ありませんでした?
流行り物って地域限定のものもあるので、友達と小学校時代のことを話すと面白いですよね。
■わたしの記憶は
一年ほど前、打ち所がよかった為に結果なにごともなかった交通事故にあったんですね。わたし。
実はその後、ある一定時期に恐ろしくいろんなことを思い出したのです。
いろんなこと、と言ってもどれもささいな「あ、あの時こんな花が咲いててこうしたっけ」とか「こういう気持ちでこう言ったんだっけ」みたいなささいなことで、どれも小学校時代のどーでもいい記憶でした。
頭打ったからでしょうか?(笑)
人は、ちゃんと、覚えているんですね。記憶──というか、情景そのものの感覚、として。
思い出す時の面白さは、その、感覚でした。事実を思い出すだけじゃなく、感情を伴って思い出すんです。
「なになに、わたしひょっとして死期でも近いの?」と思ったほど、リアルに細かいことを思い出した一時でした。
今は全然、そういう感覚がないので、あの一時、事故後3~4ヶ月後ぐらいの一ヶ月ぐらいでしょうか。
色々過敏になっていたんでしょうね。
あの、泉の底をのぞいていたらふっと蓮の花が浮かんできちゃうような、変に唐突でリアルな感じ。(変な喩えですんません)
あ、って声が出そうなほどふいに現れる感覚。
人間って、面白いな──としみじみ。記憶ってすごいなあ。
と、余談でありました(笑)。
出版社/作品社
ReviewWriteDate:2002/5/6
LastUpdate:2002/5/6
Notes:
長野まゆみによる懐かしおもちゃエッセイ。
Stoy:
おもちゃ 古裂(こぎれ)コレクション
愛おしきものたち。幸せの情景。
懐かしさにみちたエッセイ集。
(帯より)
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
思い出す子ども時代、なつかしのおもちゃたち
--------------------------------------------------------------------------------
■記憶の鍵は
──なんなんでしょう。
匂いで過去を思い出すとも言うし、情景なのかもしれない。
ごくごくたまに、頭の引出しの『どっか』からころんと出てくる記憶があって「人間の記憶ってばすごい」と感心してしまうのですが
このエッセイはそのきっかけにあふれています。
■愛しき蒐集物たち
ずいぶん長らくBookReviewをさぼっていたのですが、今回重い腰を上げたのはエッセイ中にあった懐かしの蒐集物たちに驚いたから!
そうそう、集めた集めた!!!!
がががーっと記憶がフラッシュバック。まるで自分が小学生まで戻ったような異様な感覚にとらわれたのです。
以下引用です・・・
飽きやすい子どものことだから、蒐集する品目は目まぐるしく変わった。記憶をたどって思いだすなら、a.消しゴム b.鉛筆 c.折り紙 d.千代紙 e.紙石鹸 f.紙ナプキン g.花紙 h.メモ帳 i.シールなどである。
a.消しゴム──流行った流行った。わたしの時は爆発的に練り消しが流行りました。
高校の美術でそれ用に買うようなちゃんとした練り消しゴムではなく、色がついていたり匂いがするようなヤツ。
普通の消しゴムを砕いたりカスを集めたりして糊と練って自作練り消し作りも流行っていました。
これは単に親がホイホイ練り消しを買ってくれないために流行った代用品なんで、もちろん鉛筆は消えません。(笑)
b.鉛筆──は、流行ったようないないような。記憶にあまりないです。
c.折り紙──爆発的に流行りました。長野まゆみも書いているように、MDサイズの小さい折り紙。
千代紙系ではなく、いろんな柄物が流行って、トレードしまくっていました。今でも一部残っています。使わないのに集めるんだよねえ。それが楽しくて。
d.千代紙──これはわたしは折り紙の中に入るかな。
e.紙石鹸──懐かしい!!!
今の子は知らないんじゃないかなー? ちゃんと手を洗うような物じゃないんだけど、超薄い石鹸。
サンリオ商品とかであって、誕生日会とかのおかえしにもらった記憶が。
f.紙ナプキン──長野まゆみ曰く「花もようやチェック柄で、使用目的はとくになし。見せ合ったり、交換したりするだけのもの」。
紙ナプキン流行りましたー?
g.花紙──「ポッケットティッシュが登場する以前の懐中品」だそうですが、こいつもわたしは流行った記憶ナシ。
h.メモ帳──「ミシン線入りで一枚の紙が三つくらいに分割できる。実用性はほとんどなく~」なるほど、あった気がする。漫画雑誌の付録とかにあったような。
i.シール──これは今でも流行っているでしょうね。うちらの頃には今ほど立派なもんじゃありませんでしたが。
しっかし、どれもこれも女の子たちは競って蒐集し、交換し、自慢し、親にねだったり買ってもらえなくて悔しい思いをしたり──そういう小学校の教室の匂いがせまってくる、なつかしの品々です。
言われてみれば、わりとちゃんと覚えていたりして、本当に懐かしい。
あと、わたしの学校はふでばこが流行りました。「何面あるか」を競うんですが、ありませんでした?
流行り物って地域限定のものもあるので、友達と小学校時代のことを話すと面白いですよね。
■わたしの記憶は
一年ほど前、打ち所がよかった為に結果なにごともなかった交通事故にあったんですね。わたし。
実はその後、ある一定時期に恐ろしくいろんなことを思い出したのです。
いろんなこと、と言ってもどれもささいな「あ、あの時こんな花が咲いててこうしたっけ」とか「こういう気持ちでこう言ったんだっけ」みたいなささいなことで、どれも小学校時代のどーでもいい記憶でした。
頭打ったからでしょうか?(笑)
人は、ちゃんと、覚えているんですね。記憶──というか、情景そのものの感覚、として。
思い出す時の面白さは、その、感覚でした。事実を思い出すだけじゃなく、感情を伴って思い出すんです。
「なになに、わたしひょっとして死期でも近いの?」と思ったほど、リアルに細かいことを思い出した一時でした。
今は全然、そういう感覚がないので、あの一時、事故後3~4ヶ月後ぐらいの一ヶ月ぐらいでしょうか。
色々過敏になっていたんでしょうね。
あの、泉の底をのぞいていたらふっと蓮の花が浮かんできちゃうような、変に唐突でリアルな感じ。(変な喩えですんません)
あ、って声が出そうなほどふいに現れる感覚。
人間って、面白いな──としみじみ。記憶ってすごいなあ。
と、余談でありました(笑)。
原作/夢枕獏
脚本/桜田信介
演出/松本きょうじ
ReviewWriteDate:2002/3/8
LastUpdate:2002/3/8
Cast:
児玉信夫(安倍晴明)
浦一弘(源博雅)/中村音子(瀧夜叉姫)
大駱駝艦:小林裕子・田村一行・畠山央之・塩谷智司(魑魅魍魎)
桜月流美剣道:松木史雄(右近/秀郷)・石綱寛(左近)・尾川止則(平将門)・佐々木祐一郎・小倉将公・伊藤孔一
小山亜由子(ととき/桔梗)/佐野大樹(義利)
2002/2/8~17 @東京芸術劇場小ホール1
Date:
2002/2/12 19:30
2002/2/16 14:00
2002/2/16 18:00
Note:
KOtoDAMA企画による陰陽師第2弾
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
助太刀2チームに支えられた堂々の第二章
--------------------------------------------------------------------------------
前回は超クソミソにけなしてしまったKOtoDAMA企画の陰陽師。
何をトチ狂ったか8回も行ってしまいましたが、あれは事前にチケット取っちゃったからであって、事前に1回見ていたら半分ぐらいでもよかったような・・・笑
しかしあの何とも低予算な感じが面白いと言ってくれた友達もいたし(失礼)、浦さんの博雅もよかったので、全然ダメってわけでもなかったですが、1本の芝居としてはなんともすっからかんな感じが否めませんでした。
(うわー、レビューではここまで書かなかったのに 笑)
で、陰陽師の第2弾。
今回は友達との兼ね合いで計3回。これでも多いんじゃないかなーと思っていったのですが、思いがけず、今回はちゃんとお芝居になっていました。(ますますヒドイな 笑)
ますます『KOtoDAMA夢枕獏企画』になりつつあるKOtoDAMA企画ですが、さて中身は──。
■存在感たっぷり! の客演陣
と言っても、児玉さん以外はゲストななろうから全員客演か?
正確に言うと『大駱駝艦』と『桜月流美剣道』がすごかった。
この2チームがいなかったら「おもしろいじゃん」って思ったわたしの感想は7割減だったと思う。
『大駱駝艦』は超不気味だし、ほとんど2列目~3列目の席だったわたしは目のやり場に困った。
友達は視界に入らないようにしていたらしい。
わたしはその気持ち悪さが半分心地よかったですが。
一人女性がいましたよね? うーん。
でも自分の家族が『大駱駝艦』に入りたいと言ったら、全力で、止めます。(笑)
『桜月流美剣道』の人たちのうち、右近&左近役の人たちは台詞が早すぎて聞き取るのに疲れた・・・時代背景やら今の設定だの一気にしゃべるのに、早口だなんて。
みんながみんな時代がかた台詞や設定を一回で理解できるわけじゃないでしょうに。
(例えば早口で言われたら「ホクト」=「北斗」みたいな漢字変換も脳内でうまくできなくなってしまうわけです)
鬼になってからは、結構よかったけど、1人入れ替わっているのね?
前回の陰陽師で鬼をやっていた石井さんと同じ動き。振り付けで参加しているので、伝授されたのでしょうか? この鬼の動きは、結構、好き。
将門役の人はわりと好み。
しかし桔梗の兄役はやはり聞き取れず。
■児玉さんお友達軍団
恐らくゲスト2チーム以外はこのカテゴリかな?
前回から引き続き出演の浦さんと佐野くん!
はーやーくーち!!!!
早口です。早すぎてわたしの耳は一切ついてゆけません。
何度もアンケートに書きましたが、直らなかった。楽にはマシになっていたのだろうか?
中村音子さん、『SANCTUARY』に比べてなんて進歩!
今回の主役は音子さんですね。
背が高くてカッコイイし。
今の音子さんとで『SANCTUARY』の再演をして欲しいです。
将門に取り付かれている時、瀧姫の時、といい感じでガラリとかわっていました。
尼さんの時はちゃんと化粧が薄くなっていて、「楽屋で洗顔までしてんのか?」と驚きましたがどうなんでしょう。
桔梗及びととき役の小山亜由子さん。
とときの時の方が可愛いよね、何故?
言われるまで同一人物だとは気付かなかったぐらい顔が違う。
なんつーか、桔梗の時って幸薄そうな感じなんで。衣装が貧相だからだろうか?
やはり舞はイマイチ。前回の竹内順子さんが好きだったのでますます。
同じ式神じゃないので仕方ないかもしれませんが。
■最後に児玉晴明と今回のお芝居全体について
で、ここで初めてお芝居全体に振れますが──
前回は1時間半に2本のお話。ショートエッセイ2本読みましたっていう感じだったのが今回は1時間半で1つのお話。なんで、まとまった感はありました。
場面展開も緩急があって、目を引くし(まあ、引くのは大駱駝艦や桜月流美剣道の鬼だったり、音子さんだったりもするのだが)、現在過去未来の移ろいもあまり無理がない。
(これが小説だったら、ちょっとやりすぎ感はありますが、舞台だからよいでしょう)
ストーリーそのものは超オーソドックスな将門モノだったのですが、まあ、丁寧に描いている──という感じかな。
晴明が瀧姫に教えてあげた『狐の窓』というキーワードが、全体にうまく効いていて、忘れた過去もこれから続く未来も、ちゃんと一本の線に見える。
こういうのをエピソードというのであって、ライフの演出家もこういうのを見習ってほしいわ。だらだら原作通りのシーン連ねるんじゃなくって、効果的なエピソードで連ねれば、伝えたいイメージは伝わるのだから──。
しかしまあ、ラストでいきなり不死を全面に出されても(もちろんオープニングでちょこっと尼さんが話すわけではありますが)、いきなり感は拭えないかなあ。
鬼とアクションで責めてきたのに急に情緒性持ち出されてもって感じで。
晴明と瀧姫の恋──ていうんで、ふたりで掛け合い台詞をするんだけど、一夜の契りを──って声を合わせられると、なんだか、恥ずかしい。
20年前でも十分大人だったんだろうけど、万年子供体型な児玉晴明だとちょっと違和感。
あとラストのあの歌たちは──いったい。
いくらなんでも、異邦人とか浜崎あゆみとかは、どうかと思うよ?
さて肝心の児玉晴明ですが、前回のおっそろしげな声の高さは、多分、なかった。
何分もう昔のことなのではっきりあの声を覚えているわけじゃないんだけどね。
今回は晴明の恋、という裏テーマがあるので、じっくりたっぷりって感じ。
呪詛返しを受けてよろめく晴明、うーん、上手い!
やはり安定した技術力(一応誉めている)。
■第一回のビデオ・・・・
実は、ちゃんと予約して買いました。
が、まだ暇がなくて見ていません。愛が足りないからでしょうか。(笑)
すでにビデオを見た好香さんは、あまりの児玉晴明の声の高さに久しぶりに驚いたとかで、とりあえずテープを封印したとか。(笑)
時間を見つけて見るつもりではありますが。
さてビデオを予約すると会場で予約特典と一緒に受け渡しでした。
その予約特典──この、写真の品です。
迷いましたが、食べました。
脚本/桜田信介
演出/松本きょうじ
ReviewWriteDate:2002/3/8
LastUpdate:2002/3/8
Cast:
児玉信夫(安倍晴明)
浦一弘(源博雅)/中村音子(瀧夜叉姫)
大駱駝艦:小林裕子・田村一行・畠山央之・塩谷智司(魑魅魍魎)
桜月流美剣道:松木史雄(右近/秀郷)・石綱寛(左近)・尾川止則(平将門)・佐々木祐一郎・小倉将公・伊藤孔一
小山亜由子(ととき/桔梗)/佐野大樹(義利)
2002/2/8~17 @東京芸術劇場小ホール1
Date:
2002/2/12 19:30
2002/2/16 14:00
2002/2/16 18:00
Note:
KOtoDAMA企画による陰陽師第2弾
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
助太刀2チームに支えられた堂々の第二章
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前回は超クソミソにけなしてしまったKOtoDAMA企画の陰陽師。
何をトチ狂ったか8回も行ってしまいましたが、あれは事前にチケット取っちゃったからであって、事前に1回見ていたら半分ぐらいでもよかったような・・・笑
しかしあの何とも低予算な感じが面白いと言ってくれた友達もいたし(失礼)、浦さんの博雅もよかったので、全然ダメってわけでもなかったですが、1本の芝居としてはなんともすっからかんな感じが否めませんでした。
(うわー、レビューではここまで書かなかったのに 笑)
で、陰陽師の第2弾。
今回は友達との兼ね合いで計3回。これでも多いんじゃないかなーと思っていったのですが、思いがけず、今回はちゃんとお芝居になっていました。(ますますヒドイな 笑)
ますます『KOtoDAMA夢枕獏企画』になりつつあるKOtoDAMA企画ですが、さて中身は──。
■存在感たっぷり! の客演陣
と言っても、児玉さん以外はゲストななろうから全員客演か?
正確に言うと『大駱駝艦』と『桜月流美剣道』がすごかった。
この2チームがいなかったら「おもしろいじゃん」って思ったわたしの感想は7割減だったと思う。
『大駱駝艦』は超不気味だし、ほとんど2列目~3列目の席だったわたしは目のやり場に困った。
友達は視界に入らないようにしていたらしい。
わたしはその気持ち悪さが半分心地よかったですが。
一人女性がいましたよね? うーん。
でも自分の家族が『大駱駝艦』に入りたいと言ったら、全力で、止めます。(笑)
『桜月流美剣道』の人たちのうち、右近&左近役の人たちは台詞が早すぎて聞き取るのに疲れた・・・時代背景やら今の設定だの一気にしゃべるのに、早口だなんて。
みんながみんな時代がかた台詞や設定を一回で理解できるわけじゃないでしょうに。
(例えば早口で言われたら「ホクト」=「北斗」みたいな漢字変換も脳内でうまくできなくなってしまうわけです)
鬼になってからは、結構よかったけど、1人入れ替わっているのね?
前回の陰陽師で鬼をやっていた石井さんと同じ動き。振り付けで参加しているので、伝授されたのでしょうか? この鬼の動きは、結構、好き。
将門役の人はわりと好み。
しかし桔梗の兄役はやはり聞き取れず。
■児玉さんお友達軍団
恐らくゲスト2チーム以外はこのカテゴリかな?
前回から引き続き出演の浦さんと佐野くん!
はーやーくーち!!!!
早口です。早すぎてわたしの耳は一切ついてゆけません。
何度もアンケートに書きましたが、直らなかった。楽にはマシになっていたのだろうか?
中村音子さん、『SANCTUARY』に比べてなんて進歩!
今回の主役は音子さんですね。
背が高くてカッコイイし。
今の音子さんとで『SANCTUARY』の再演をして欲しいです。
将門に取り付かれている時、瀧姫の時、といい感じでガラリとかわっていました。
尼さんの時はちゃんと化粧が薄くなっていて、「楽屋で洗顔までしてんのか?」と驚きましたがどうなんでしょう。
桔梗及びととき役の小山亜由子さん。
とときの時の方が可愛いよね、何故?
言われるまで同一人物だとは気付かなかったぐらい顔が違う。
なんつーか、桔梗の時って幸薄そうな感じなんで。衣装が貧相だからだろうか?
やはり舞はイマイチ。前回の竹内順子さんが好きだったのでますます。
同じ式神じゃないので仕方ないかもしれませんが。
■最後に児玉晴明と今回のお芝居全体について
で、ここで初めてお芝居全体に振れますが──
前回は1時間半に2本のお話。ショートエッセイ2本読みましたっていう感じだったのが今回は1時間半で1つのお話。なんで、まとまった感はありました。
場面展開も緩急があって、目を引くし(まあ、引くのは大駱駝艦や桜月流美剣道の鬼だったり、音子さんだったりもするのだが)、現在過去未来の移ろいもあまり無理がない。
(これが小説だったら、ちょっとやりすぎ感はありますが、舞台だからよいでしょう)
ストーリーそのものは超オーソドックスな将門モノだったのですが、まあ、丁寧に描いている──という感じかな。
晴明が瀧姫に教えてあげた『狐の窓』というキーワードが、全体にうまく効いていて、忘れた過去もこれから続く未来も、ちゃんと一本の線に見える。
こういうのをエピソードというのであって、ライフの演出家もこういうのを見習ってほしいわ。だらだら原作通りのシーン連ねるんじゃなくって、効果的なエピソードで連ねれば、伝えたいイメージは伝わるのだから──。
しかしまあ、ラストでいきなり不死を全面に出されても(もちろんオープニングでちょこっと尼さんが話すわけではありますが)、いきなり感は拭えないかなあ。
鬼とアクションで責めてきたのに急に情緒性持ち出されてもって感じで。
晴明と瀧姫の恋──ていうんで、ふたりで掛け合い台詞をするんだけど、一夜の契りを──って声を合わせられると、なんだか、恥ずかしい。
20年前でも十分大人だったんだろうけど、万年子供体型な児玉晴明だとちょっと違和感。
あとラストのあの歌たちは──いったい。
いくらなんでも、異邦人とか浜崎あゆみとかは、どうかと思うよ?
さて肝心の児玉晴明ですが、前回のおっそろしげな声の高さは、多分、なかった。
何分もう昔のことなのではっきりあの声を覚えているわけじゃないんだけどね。
今回は晴明の恋、という裏テーマがあるので、じっくりたっぷりって感じ。
呪詛返しを受けてよろめく晴明、うーん、上手い!
やはり安定した技術力(一応誉めている)。
■第一回のビデオ・・・・
実は、ちゃんと予約して買いました。
が、まだ暇がなくて見ていません。愛が足りないからでしょうか。(笑)
すでにビデオを見た好香さんは、あまりの児玉晴明の声の高さに久しぶりに驚いたとかで、とりあえずテープを封印したとか。(笑)
時間を見つけて見るつもりではありますが。
さてビデオを予約すると会場で予約特典と一緒に受け渡しでした。
その予約特典──この、写真の品です。
迷いましたが、食べました。
原作/清水玲子
脚本・演出/倉田淳
ReviewWriteDate:2002/2/13
LastUpdate:2002/2/13
Cast:
笠原浩夫(ギル)/石飛幸治(リタ/看護婦)
山崎康一(ティルト(p)/ミラルダ(c))/山本芳樹(ティルト(c))/舟見和利(セツ(p))/林勇輔(セツ(c)/ミラルダ(p))/及川健(ジミー(p))/深山洋貴(ジミー(c))/曽世海児(ショナ(p)/サラ)/高根研一(ショナ(c))/岩崎大(アート)/姜暢雄(ベンジャミン)
野口光雄(パルツァ医師/会長/他/鶴田浩一(ブライアン/他)/小林浩司(ベス/メイド/他)/佐野考治(ホリー/アダムス/他)/前田倫良(守衛/所員/他)/船戸慎士(大柄な男/他)/青木隆敏(ノエラ/他)/奥田勉(宇宙飛行士)/小野健太郎(運転手/秘書/他)/寺岡哲(ウェイター/他)
藤原啓児(グラン・マ)/河内喜一朗(ペトレンコ/他)
2002/2/1~10 @アートスフィア
Date:
2002/2/9 14:00
2002/2/9 17:00
Note:
清水玲子原作漫画の舞台化。
Story:
1985年──地球。宇宙へと巣立っていた人魚族の子孫が産卵の為に集う場所。しかし、数百年を経て故郷へ戻ってきた彼らが目にしたものは激変した環境、そして美しい人魚伝説の裏に隠された惨劇の兆しであった。宇宙船離陸事故や原子力発電所爆発事故など、80年代に現実に起こった事件とリアルにリンクしながらダイナミックかつスリリングに展開されるファンタジー・ロマンの傑作(公演チラシより)
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
いつもの二次元ライフ
--------------------------------------------------------------------------------
清水玲子の『月の子』はわたしが高校時代にリアルタイムで『LaLa』で読んでいた漫画で、当時からとにかく大好きな作品。
そんな作品を、なんと、ライフで・・・。
今まで『トーマの心臓』演られようと『SONS』演られようと一向に気にならなかったのは、作品に対して思い入れがないから。
どうなっちゃうんだろう、なんてドキドキなかったし、『トーマ』なんかは漫画読んでも濃いイメージが残っていたわけではないので、ライフ色にちゃんと染まったイメージができていたという・・・。
しかし、今上のあらすじをチラシ見ながら打ってたんですが、もう、大嘘、ですね。
上のあらすじはあくまで原作のあらすじであって、本公演とは何ら関係ありません。(笑)
■アートスフィアの舞台がああっ・・・
まずはお叱りから。
マチネ、わたしはセンターブロックでした。
わーい、結構見やすそうだぞー! と喜んでいたがしかし、
センターはほっとんど使用されなかった。
芝居のほとんどが、上手下手の約四畳半ぐらいのスペースでちまちまと繰り広げられる。
上手の次は下手、下手の次は上手、下手、上手・・・エンドレス。
観客は首を、右左右左と動かし続ける、で、素通りするセンター!
あのさあ、せっかくアートスフィアなんだよ?
なんでこんな広い空間をシアターサンモールのような使い方するの?
この空間をあの無駄な巨大魚の浮遊のためだけに使用するのって、どうなの?
ワイヤーアクション(いや、アクションじゃないな)したいだけ??
客席の多さだけの話なら、サンモール3週間借りて上演してください。
どうしてもあのなんちゃらフェスティバルに参加したいんだったら、アートスフィアの舞台が泣いてしまわないよう、空間を生かして、舞台を作ってください。
センターブロックの人々は、わたしと同じような切なさを覚えたに違いないのです。
あんまりです、センターなのに涙出てきます。
自分の目の前、つねにすかすかだなんて──。
清水玲子の作品のすごさっていうのは、ファンからしてみると、あの、イメージ立体化術というか──平面の漫画なんだけど三次元にすら感じられるイメージ、ていうのがあると思うんだけど、ライフの作る舞台だと、三次元の人間のはずが、なんか、二次元なんだよね──平べったい。
トーマなんかの、漫画をめくるような面白さっていうのは、今回ないし、あれはトーマならではの舞台空間かな~と思うんだけど。
ちまい、すかすか、平べったい。
これが今回の舞台空間の印象。近くに迫ってくるものが、ない。
前日、大竹しのぶ一人芝居『売り言葉』見ちゃったのもあるんだけど。
狭い空間ではありましたが、一人で縦横無尽。ちょっとしたモノの配置、破壊、変形であらゆるものを表現しちゃう野田演出と比べちゃあ、いかんのだけど。
タイプも違うし。ライフってひたすら写実的。
■メロドラマなライフ
対して、毎回うまいな~と思うのが、『泣かせ』のシーン。
他がどんなに破綻してても、必ずメロドラマ的泣かせシーンは、押さえているのが倉田演出。
今回はやはりショナ&セツのシーンでしょうか。
原作でもこのカップル、大好きなんで。
そしてまた林さんの上手いこと!
ラスト近くにああも大盛り上がりで情感たっぷりに『泣かせ』が入って、泣きの感情にさせられると(いや、わたしは泣きませんが)、それだけでいい芝居だったような錯覚すら覚えるんだからマカ不思議。
まあ、破綻した芝居でもおもしろけりゃいいじゃん、という観客のわたしなので、一つでもちゃんと観客に何か残るなら、必ずしも駄作ではないのだよな、とも思う。
今回は『ドラキュラ』とかみたいな致命的な構成ミスはなかったように思われるので、別に駄作では全然ないのだけど、まあ敢えて言うなら凡作みたいなところはあって(下手すると、うまくまとめただけ、になり得る)、それが感情に残る何かになるかどうかは、やっぱこれら『泣かせ』にかかっている──という気がする。
特に、ライフに関しては。
しかし、個人的にギルの断末魔シーンは長すぎると思うが。
原作読み返したらたしかにあの分量あったけどね。
でもほら、3時間と13巻は必ずしも同じ入れ物サイズじゃないので。
■3者のバランス
で、どうして分量が多く感じてしまったかというと、ティルト&ギルをメインに描くといいながらも、『泣かせ』シーンのためか、観客のハートは主にショナ&セツチームに奪われているから。
そういう風に、作っちゃっているというか。
『月の子』という話は人間の線で分けると、3つに分かれます。
ジミー&アート、セツ&ショナ、ティルト(ギル)×リタの3組。
今回は最初からティルト(つーか、ギル)をメインに描く、と言い切っています。
だからまあ、最初からティルトメインだし、ジミー&アートの描き方は本当にお粗末で、もう思い入れたっぷりにティルトとギルを描きます。
が、なんか途中からセツ&ショナにリキ入った演出・脚本に変ってくる。
多くの人の感想が「セツがよかった」「ショナかっこいい」だったりするのは、そのためだと思われます。
単に演出家がやっているウチにこっちのが気に入ったからかも・・・。
しかしラストにティルトが宙づりで締めるぐらいだから、やっぱティルト&ギルメインだったんだろうし・・・うーん。
なんか、やっぱ変なんだよなあ、分量が。印象を与える度合いが。
3組中2組を変にひいきするから、ジミー&アートなんてかすんじゃってるし、アートが自分を刺すほどに悩むなんてちっとも思えないし、全部唐突だし、一応話の根幹はジミー&アートなわけで、ここに関して手を抜きすぎるとやっぱり物語として変になってしまう。
ティルト&ギルにしたかったんだったら、最後までちゃんと筋通しておくれ。
したら3組中、1組のクローズアップってことで納得いくから。
単にジミー&アートを切って捨てたアンバランスさを感じさせるっていう結果にはならんと思うから。
このあたり、思い入れと構成のバランスが、毎度崩れがちだと思われる演出家。
自分が気に入っていない? キャラクターを道具みたいに使うからだと思うけど。
個人的には、もう最初からセツ&ショナで作っちゃえばいいじゃん、とか思いますが。
しかしやはり笠原さんに花を持たせないといけないから???
■残る疑問・・・
チェルノブイリの事故は起ったのか、起らなかったのか?
あの舞台じゃさっぱりです。すごく深読みしないとわかりません。なんとかしてください。
どうしてジミーはギルがティルトだってわかったの?
あんまりです。あと1シーン入れるだけでいいんだからフォローしてやってください。
お金に困ったと言っていないセツのベッド(つーか、椅子)にお金が・・・ショナが置いていったのか? てのは無理では・・・。
原作ではもう1クッションあるところなので、ちょっと工夫してほしい。
普通いきなり会った人の後にお金あったら、忘れ物だと思いませんか?
プレゼントされたと思うのはいかがなものか?(笑)
■全体に関する感想
わたしの今回のお芝居に関する感想は──端的に言うと「よくまとめましたね、いいシーンもありましたね、でもそれだけかも」といった感じ。
古くからの原作ファンなので、なんとも・・・。
原作のもつ匂いにはほど遠いし、でもまあ同じじゃなくてもいいんだけど、昼メロっぽかったといえば昼メロっぽかった。しかしまあライフらしくもあった。
ひどい破綻が見えるわけでもないし。でもハマルには、ちょっと遠いなあ。
すでに心情的にはライファーでもないし、敢えて言うならやっぱライフウォッチャー(お言葉お借りします、金星さま)に成り下がっているので、ライフ的な部分にもいまいち惹かれない。
悪くないんだけど、なんだろう。夢中で見るほどのパワーが、湧かない。
これは単にわたしのライフ離れなのかもしれんね~。
しかし役者は個別認識できているので、「ああ、今回はこうだな」という見方もできるから、見ている間中退屈したりはしない。この辺りが、ハンパなんだな。
客観的な判断ができにくいところ。
えんぺ一行あたりの感想がどっちにも寄っていないで客観的なんでしょう。
わたしの場合、ちゃんとやるんだ! て怒るような気力もなければ、素敵~とドリーム入るわけでもない。見てよかったという感慨があるわけでもないし。多分ダブルキャストじゃなかったら1回で十分でした。
ものの見方は人それぞれなので、この芝居でライフはまる原作ファンもいるでしょう。
こうやってライフは、萩尾ファンの階層、三原ファンの階層、清水ファンの階層──と地層が(笑)分かれ、降り積もってゆくのでしょう。
これに、特撮ファンがさらに増えるのか・・・(笑)。
■各キャストについて
扱いがお粗末で可哀想だったアート(本当は主役級)、岩崎大。
アートって22歳だったのね、とちょっとショック。昔はお兄さんのつもりで読んでたのに・・・。
今回、結構よかったと思う。やっぱ、普通の男の子役のがいいよね、岩崎君は。
ちょっとハシャギ過ぎな感はありましたが、ま、よかったと思う。
わたしが岩崎君苦手なのって、多分岩崎君の女役、なんだと気付きました。
思い返せば、『桜の園』から苦手だった。
無理に女やろうとすると変だったし、ボロも多かったので。
でもまあ、女役なんてライフぐらいのことだし、外の世界に出れば(笑)女役が上手くなくても十分生きて行けるさ。
こちらもぞんざいな扱いだったと思う、ジミー役の二人、及川さん深山くん。
特に普段と変らず。
ポスターにアップで写っている及川さん、肌荒れが・・・。
そろそろ少年役も厳しくなっているんだろうか、とか思いました。演じて手も声がな~、もう少年たりえないところもあると思うんだけど。
しかしまあ、今回はまるでアートとの交流が描かれなかったので、なんかよくわからないキャラになってしまってちょっと可哀想だった。
最近、少年キャラ、少女キャラを二人でダブルで演じるのがあまりに定番になりすぎて、少々つまらない。
ショナ役は曽世さんと高根さん。
ま、正直どっちも原作のショナとは全然違う。(笑)
ショナは間違っても革パンなんて履かないしね。
完璧に別物として見ていました。
こちらも、特にいつもと違いがないな~と思った。
確かに高根さんは昔から比べたら上手くなったよね。でも好みじゃないんだな、わたしは。(笑)
しかしなあ、あからさまにそのシーンだけ端からベッドが出てきて・・・ていいうのは、なんつーか、恥ずかしかった。
セツ役、林さんは実は初見。
声、キレイ~。演技うまい~。
女性化した自分をベンジャミンと間違えるショナに対して、ごめんなさい、というところなんて絶品。かわいい~。
しかしどうだろう。あと2点だけ御願いをしてよろしいでしょうか?
その1:前髪伸ばしてください。おでこが光るのが気になって仕方ありませんでした。
その2:ドーランでもなんでもいいので、もう少し不健康そうな、白い肌にしてください。あまりに健康的なお肌、地グロなのかもしれんが・・・病弱に見えないんです。
金髪のカツラをつけると金髪のが白く見えるので顔がなお黒く見えます。お化粧でなんとかなる話なんで、ちょっと工夫していただくわけにはいかないでしょうか?
この2点がクリアできれば(個人的には)完璧です。
大阪の観客を大満足させるためにも、ビジュアル改造、御願いします。なんか、もったいないんだよ。
本当に女じゃないんだから女になりきる必要はないんだけど
演劇って目で見るものだから、演技だけじゃなくてフォローできるわけだし。
対して舟見くんは評判悪かったようですが──まあ、ダブルが林さんだから特に言われちゃったのではないでしょうか? 確かに少々荷が重い役でしたが、それなりに頑張ってはいたと思います。わたしは弟のようで彼を見捨てられないのだ。(笑)
ティルトはやまさきさんと、山本さん。
芳樹さん、今回の衣装は頭大きく見えなかったのでよかった。
彼はこういう暗い役のが似合うね。根暗そうな役。
やまさきさんは、もう何やらせても心配なし。他の役者さんとはやっぱ一段レベルが違うんでしょう。
でも3つ子という意味では少々ビジュアルバランスが悪かったかも。
深山・林・山本のが3つ子っぽかった。
ギル役、プリンス笠原。
笠原さんって、何演じても同じだよね。何演じても笠原浩夫だよね。
視線、口調、立ち位置、走り方──全部。
宝塚のトップスターみたいなイメージ。(わたしは宝塚に明るくないので、あくまで、イメージ)
悪くはない、上手い、技巧的、だが、ちょっと飽きたかな。(笑)
対して毎回ちゃんと違う役になって登場、石飛さん演じるリタ。
見た目のせいもあるんだけど(笑)リタ、はまっていました。
やまさきさんと石飛さんって、何やらせてもちゃんとその役になるし、レベル違うなあ。
石飛さんってライフ外だとどうなんだろう?
是非外部出演してもっと広い場所へも行ってみてもらいたいものです。
ライフだけに埋もれるには、惜しい。しかしキューブ側のプッシュがないと外部出演できんのだろうか? そういう意味ではキューブには気に入られていないような気もする。
おめでとう、テレビデビュー予定のベンジャミン姜くん。
あーもう、あれにOKを出した演出家の問題かもしれん。
ダミ声でしゃべる設定のベンジャミンの演技は、見てるこっちがハラハラするような演技でした。
スタイルもいいし顔もいいし、さっさと自分に適した分野に行った方がいいでしょう。
多分テレビとかだったら、他のライフの役者なんかより数倍合っているし、売れる可能性を秘めていると思う。もう、無理せんでいいよ。
彼の衣装は気になった。一番気になったのがピンクのスニーカー。誰が決めたか知らないが、コーディネート悪すぎよ。
その他・・・みんなチョイ役だったのであんま覚えていない。
しかしまあ、ジュニ3とかでまだチョイ役ばっかりで、それでもライフにすがり続ける意味があるのだろうか? 他に商売やってて片手間な趣味ならわかるけど。
人生とは、仕事とは、夢とは──ヒトゴトながら勝手に心配してしまうわたしである。
あ、佐野さんはすっかり女役上手くなったよね。今回は珍しく声が潰れていなかった。
そうそう、藤原さんを忘れていました。もう、いい加減ああいう役はお腹いっぱいです。
脚本・演出/倉田淳
ReviewWriteDate:2002/2/13
LastUpdate:2002/2/13
Cast:
笠原浩夫(ギル)/石飛幸治(リタ/看護婦)
山崎康一(ティルト(p)/ミラルダ(c))/山本芳樹(ティルト(c))/舟見和利(セツ(p))/林勇輔(セツ(c)/ミラルダ(p))/及川健(ジミー(p))/深山洋貴(ジミー(c))/曽世海児(ショナ(p)/サラ)/高根研一(ショナ(c))/岩崎大(アート)/姜暢雄(ベンジャミン)
野口光雄(パルツァ医師/会長/他/鶴田浩一(ブライアン/他)/小林浩司(ベス/メイド/他)/佐野考治(ホリー/アダムス/他)/前田倫良(守衛/所員/他)/船戸慎士(大柄な男/他)/青木隆敏(ノエラ/他)/奥田勉(宇宙飛行士)/小野健太郎(運転手/秘書/他)/寺岡哲(ウェイター/他)
藤原啓児(グラン・マ)/河内喜一朗(ペトレンコ/他)
2002/2/1~10 @アートスフィア
Date:
2002/2/9 14:00
2002/2/9 17:00
Note:
清水玲子原作漫画の舞台化。
Story:
1985年──地球。宇宙へと巣立っていた人魚族の子孫が産卵の為に集う場所。しかし、数百年を経て故郷へ戻ってきた彼らが目にしたものは激変した環境、そして美しい人魚伝説の裏に隠された惨劇の兆しであった。宇宙船離陸事故や原子力発電所爆発事故など、80年代に現実に起こった事件とリアルにリンクしながらダイナミックかつスリリングに展開されるファンタジー・ロマンの傑作(公演チラシより)
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
いつもの二次元ライフ
--------------------------------------------------------------------------------
清水玲子の『月の子』はわたしが高校時代にリアルタイムで『LaLa』で読んでいた漫画で、当時からとにかく大好きな作品。
そんな作品を、なんと、ライフで・・・。
今まで『トーマの心臓』演られようと『SONS』演られようと一向に気にならなかったのは、作品に対して思い入れがないから。
どうなっちゃうんだろう、なんてドキドキなかったし、『トーマ』なんかは漫画読んでも濃いイメージが残っていたわけではないので、ライフ色にちゃんと染まったイメージができていたという・・・。
しかし、今上のあらすじをチラシ見ながら打ってたんですが、もう、大嘘、ですね。
上のあらすじはあくまで原作のあらすじであって、本公演とは何ら関係ありません。(笑)
■アートスフィアの舞台がああっ・・・
まずはお叱りから。
マチネ、わたしはセンターブロックでした。
わーい、結構見やすそうだぞー! と喜んでいたがしかし、
センターはほっとんど使用されなかった。
芝居のほとんどが、上手下手の約四畳半ぐらいのスペースでちまちまと繰り広げられる。
上手の次は下手、下手の次は上手、下手、上手・・・エンドレス。
観客は首を、右左右左と動かし続ける、で、素通りするセンター!
あのさあ、せっかくアートスフィアなんだよ?
なんでこんな広い空間をシアターサンモールのような使い方するの?
この空間をあの無駄な巨大魚の浮遊のためだけに使用するのって、どうなの?
ワイヤーアクション(いや、アクションじゃないな)したいだけ??
客席の多さだけの話なら、サンモール3週間借りて上演してください。
どうしてもあのなんちゃらフェスティバルに参加したいんだったら、アートスフィアの舞台が泣いてしまわないよう、空間を生かして、舞台を作ってください。
センターブロックの人々は、わたしと同じような切なさを覚えたに違いないのです。
あんまりです、センターなのに涙出てきます。
自分の目の前、つねにすかすかだなんて──。
清水玲子の作品のすごさっていうのは、ファンからしてみると、あの、イメージ立体化術というか──平面の漫画なんだけど三次元にすら感じられるイメージ、ていうのがあると思うんだけど、ライフの作る舞台だと、三次元の人間のはずが、なんか、二次元なんだよね──平べったい。
トーマなんかの、漫画をめくるような面白さっていうのは、今回ないし、あれはトーマならではの舞台空間かな~と思うんだけど。
ちまい、すかすか、平べったい。
これが今回の舞台空間の印象。近くに迫ってくるものが、ない。
前日、大竹しのぶ一人芝居『売り言葉』見ちゃったのもあるんだけど。
狭い空間ではありましたが、一人で縦横無尽。ちょっとしたモノの配置、破壊、変形であらゆるものを表現しちゃう野田演出と比べちゃあ、いかんのだけど。
タイプも違うし。ライフってひたすら写実的。
■メロドラマなライフ
対して、毎回うまいな~と思うのが、『泣かせ』のシーン。
他がどんなに破綻してても、必ずメロドラマ的泣かせシーンは、押さえているのが倉田演出。
今回はやはりショナ&セツのシーンでしょうか。
原作でもこのカップル、大好きなんで。
そしてまた林さんの上手いこと!
ラスト近くにああも大盛り上がりで情感たっぷりに『泣かせ』が入って、泣きの感情にさせられると(いや、わたしは泣きませんが)、それだけでいい芝居だったような錯覚すら覚えるんだからマカ不思議。
まあ、破綻した芝居でもおもしろけりゃいいじゃん、という観客のわたしなので、一つでもちゃんと観客に何か残るなら、必ずしも駄作ではないのだよな、とも思う。
今回は『ドラキュラ』とかみたいな致命的な構成ミスはなかったように思われるので、別に駄作では全然ないのだけど、まあ敢えて言うなら凡作みたいなところはあって(下手すると、うまくまとめただけ、になり得る)、それが感情に残る何かになるかどうかは、やっぱこれら『泣かせ』にかかっている──という気がする。
特に、ライフに関しては。
しかし、個人的にギルの断末魔シーンは長すぎると思うが。
原作読み返したらたしかにあの分量あったけどね。
でもほら、3時間と13巻は必ずしも同じ入れ物サイズじゃないので。
■3者のバランス
で、どうして分量が多く感じてしまったかというと、ティルト&ギルをメインに描くといいながらも、『泣かせ』シーンのためか、観客のハートは主にショナ&セツチームに奪われているから。
そういう風に、作っちゃっているというか。
『月の子』という話は人間の線で分けると、3つに分かれます。
ジミー&アート、セツ&ショナ、ティルト(ギル)×リタの3組。
今回は最初からティルト(つーか、ギル)をメインに描く、と言い切っています。
だからまあ、最初からティルトメインだし、ジミー&アートの描き方は本当にお粗末で、もう思い入れたっぷりにティルトとギルを描きます。
が、なんか途中からセツ&ショナにリキ入った演出・脚本に変ってくる。
多くの人の感想が「セツがよかった」「ショナかっこいい」だったりするのは、そのためだと思われます。
単に演出家がやっているウチにこっちのが気に入ったからかも・・・。
しかしラストにティルトが宙づりで締めるぐらいだから、やっぱティルト&ギルメインだったんだろうし・・・うーん。
なんか、やっぱ変なんだよなあ、分量が。印象を与える度合いが。
3組中2組を変にひいきするから、ジミー&アートなんてかすんじゃってるし、アートが自分を刺すほどに悩むなんてちっとも思えないし、全部唐突だし、一応話の根幹はジミー&アートなわけで、ここに関して手を抜きすぎるとやっぱり物語として変になってしまう。
ティルト&ギルにしたかったんだったら、最後までちゃんと筋通しておくれ。
したら3組中、1組のクローズアップってことで納得いくから。
単にジミー&アートを切って捨てたアンバランスさを感じさせるっていう結果にはならんと思うから。
このあたり、思い入れと構成のバランスが、毎度崩れがちだと思われる演出家。
自分が気に入っていない? キャラクターを道具みたいに使うからだと思うけど。
個人的には、もう最初からセツ&ショナで作っちゃえばいいじゃん、とか思いますが。
しかしやはり笠原さんに花を持たせないといけないから???
■残る疑問・・・
チェルノブイリの事故は起ったのか、起らなかったのか?
あの舞台じゃさっぱりです。すごく深読みしないとわかりません。なんとかしてください。
どうしてジミーはギルがティルトだってわかったの?
あんまりです。あと1シーン入れるだけでいいんだからフォローしてやってください。
お金に困ったと言っていないセツのベッド(つーか、椅子)にお金が・・・ショナが置いていったのか? てのは無理では・・・。
原作ではもう1クッションあるところなので、ちょっと工夫してほしい。
普通いきなり会った人の後にお金あったら、忘れ物だと思いませんか?
プレゼントされたと思うのはいかがなものか?(笑)
■全体に関する感想
わたしの今回のお芝居に関する感想は──端的に言うと「よくまとめましたね、いいシーンもありましたね、でもそれだけかも」といった感じ。
古くからの原作ファンなので、なんとも・・・。
原作のもつ匂いにはほど遠いし、でもまあ同じじゃなくてもいいんだけど、昼メロっぽかったといえば昼メロっぽかった。しかしまあライフらしくもあった。
ひどい破綻が見えるわけでもないし。でもハマルには、ちょっと遠いなあ。
すでに心情的にはライファーでもないし、敢えて言うならやっぱライフウォッチャー(お言葉お借りします、金星さま)に成り下がっているので、ライフ的な部分にもいまいち惹かれない。
悪くないんだけど、なんだろう。夢中で見るほどのパワーが、湧かない。
これは単にわたしのライフ離れなのかもしれんね~。
しかし役者は個別認識できているので、「ああ、今回はこうだな」という見方もできるから、見ている間中退屈したりはしない。この辺りが、ハンパなんだな。
客観的な判断ができにくいところ。
えんぺ一行あたりの感想がどっちにも寄っていないで客観的なんでしょう。
わたしの場合、ちゃんとやるんだ! て怒るような気力もなければ、素敵~とドリーム入るわけでもない。見てよかったという感慨があるわけでもないし。多分ダブルキャストじゃなかったら1回で十分でした。
ものの見方は人それぞれなので、この芝居でライフはまる原作ファンもいるでしょう。
こうやってライフは、萩尾ファンの階層、三原ファンの階層、清水ファンの階層──と地層が(笑)分かれ、降り積もってゆくのでしょう。
これに、特撮ファンがさらに増えるのか・・・(笑)。
■各キャストについて
扱いがお粗末で可哀想だったアート(本当は主役級)、岩崎大。
アートって22歳だったのね、とちょっとショック。昔はお兄さんのつもりで読んでたのに・・・。
今回、結構よかったと思う。やっぱ、普通の男の子役のがいいよね、岩崎君は。
ちょっとハシャギ過ぎな感はありましたが、ま、よかったと思う。
わたしが岩崎君苦手なのって、多分岩崎君の女役、なんだと気付きました。
思い返せば、『桜の園』から苦手だった。
無理に女やろうとすると変だったし、ボロも多かったので。
でもまあ、女役なんてライフぐらいのことだし、外の世界に出れば(笑)女役が上手くなくても十分生きて行けるさ。
こちらもぞんざいな扱いだったと思う、ジミー役の二人、及川さん深山くん。
特に普段と変らず。
ポスターにアップで写っている及川さん、肌荒れが・・・。
そろそろ少年役も厳しくなっているんだろうか、とか思いました。演じて手も声がな~、もう少年たりえないところもあると思うんだけど。
しかしまあ、今回はまるでアートとの交流が描かれなかったので、なんかよくわからないキャラになってしまってちょっと可哀想だった。
最近、少年キャラ、少女キャラを二人でダブルで演じるのがあまりに定番になりすぎて、少々つまらない。
ショナ役は曽世さんと高根さん。
ま、正直どっちも原作のショナとは全然違う。(笑)
ショナは間違っても革パンなんて履かないしね。
完璧に別物として見ていました。
こちらも、特にいつもと違いがないな~と思った。
確かに高根さんは昔から比べたら上手くなったよね。でも好みじゃないんだな、わたしは。(笑)
しかしなあ、あからさまにそのシーンだけ端からベッドが出てきて・・・ていいうのは、なんつーか、恥ずかしかった。
セツ役、林さんは実は初見。
声、キレイ~。演技うまい~。
女性化した自分をベンジャミンと間違えるショナに対して、ごめんなさい、というところなんて絶品。かわいい~。
しかしどうだろう。あと2点だけ御願いをしてよろしいでしょうか?
その1:前髪伸ばしてください。おでこが光るのが気になって仕方ありませんでした。
その2:ドーランでもなんでもいいので、もう少し不健康そうな、白い肌にしてください。あまりに健康的なお肌、地グロなのかもしれんが・・・病弱に見えないんです。
金髪のカツラをつけると金髪のが白く見えるので顔がなお黒く見えます。お化粧でなんとかなる話なんで、ちょっと工夫していただくわけにはいかないでしょうか?
この2点がクリアできれば(個人的には)完璧です。
大阪の観客を大満足させるためにも、ビジュアル改造、御願いします。なんか、もったいないんだよ。
本当に女じゃないんだから女になりきる必要はないんだけど
演劇って目で見るものだから、演技だけじゃなくてフォローできるわけだし。
対して舟見くんは評判悪かったようですが──まあ、ダブルが林さんだから特に言われちゃったのではないでしょうか? 確かに少々荷が重い役でしたが、それなりに頑張ってはいたと思います。わたしは弟のようで彼を見捨てられないのだ。(笑)
ティルトはやまさきさんと、山本さん。
芳樹さん、今回の衣装は頭大きく見えなかったのでよかった。
彼はこういう暗い役のが似合うね。根暗そうな役。
やまさきさんは、もう何やらせても心配なし。他の役者さんとはやっぱ一段レベルが違うんでしょう。
でも3つ子という意味では少々ビジュアルバランスが悪かったかも。
深山・林・山本のが3つ子っぽかった。
ギル役、プリンス笠原。
笠原さんって、何演じても同じだよね。何演じても笠原浩夫だよね。
視線、口調、立ち位置、走り方──全部。
宝塚のトップスターみたいなイメージ。(わたしは宝塚に明るくないので、あくまで、イメージ)
悪くはない、上手い、技巧的、だが、ちょっと飽きたかな。(笑)
対して毎回ちゃんと違う役になって登場、石飛さん演じるリタ。
見た目のせいもあるんだけど(笑)リタ、はまっていました。
やまさきさんと石飛さんって、何やらせてもちゃんとその役になるし、レベル違うなあ。
石飛さんってライフ外だとどうなんだろう?
是非外部出演してもっと広い場所へも行ってみてもらいたいものです。
ライフだけに埋もれるには、惜しい。しかしキューブ側のプッシュがないと外部出演できんのだろうか? そういう意味ではキューブには気に入られていないような気もする。
おめでとう、テレビデビュー予定のベンジャミン姜くん。
あーもう、あれにOKを出した演出家の問題かもしれん。
ダミ声でしゃべる設定のベンジャミンの演技は、見てるこっちがハラハラするような演技でした。
スタイルもいいし顔もいいし、さっさと自分に適した分野に行った方がいいでしょう。
多分テレビとかだったら、他のライフの役者なんかより数倍合っているし、売れる可能性を秘めていると思う。もう、無理せんでいいよ。
彼の衣装は気になった。一番気になったのがピンクのスニーカー。誰が決めたか知らないが、コーディネート悪すぎよ。
その他・・・みんなチョイ役だったのであんま覚えていない。
しかしまあ、ジュニ3とかでまだチョイ役ばっかりで、それでもライフにすがり続ける意味があるのだろうか? 他に商売やってて片手間な趣味ならわかるけど。
人生とは、仕事とは、夢とは──ヒトゴトながら勝手に心配してしまうわたしである。
あ、佐野さんはすっかり女役上手くなったよね。今回は珍しく声が潰れていなかった。
そうそう、藤原さんを忘れていました。もう、いい加減ああいう役はお腹いっぱいです。
作・演出/野田秀樹
ReviewWriteDate:2002/2/13
LastUpdate:2002/2/13
Cast:
大竹しのぶ
2002/2/2~20 @スパイラルホール
Date:
2002/2/8 19:00
Note:
野田版、智恵子抄
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
必見でした 野田版・智恵子抄
--------------------------------------------------------------------------------
最近シアターガイドも買っていないので、実は存在すら知らなかった(笑)大竹しのぶひとり芝居。
運良く友達より権利を譲ってもらい、行ってきましたスパイラルホール!
実は評判を聞くまでどういう演目なのかも知らなかったんですが。
演目は、野田版・智恵子抄、となります。
■あだたらやまに・・・
個人的な思い出で申し訳ないのですが
小中学校で林間学校、スキー学校に行ったのが福島県は安達太良山。
単に市の施設があったからなんだけど、どーもそのイメージが強い。
山上ったり、スキーしたり。
そのイメージと、智恵子抄というのが何故か結びついて記憶となっているわけ。
智恵子抄、と聞いて高村光太郎、じゃなくて、智恵子抄と聞いてスキー、なんだな。(笑)
■芸術家の妻とは
怖いね~。まじで。
純愛詩集? をひっくり返してこういう解釈を作ってしまう野田秀樹って怖い。
わたしはさして文学少女でもないので智恵子抄自体、教科書とかの知識なので
知恵子が『芸術家』であることは、知らなかった、もしくは、忘れていた。
今回の野田芝居はかなりストレートで史実に基づいているのだろうから、
智恵子は色盲だったのかしら?
何はともあれ、芸術家の妻、芸術家の夫ていうのは、難しい。
才能は才能を妬むし、その限界をまざまざと見せつける。
私的には、たとえばアーティストとかの妻って、その人が大成することだけを願ってただそれだけで応援できるタイプの女じゃなきゃダメだと思うんですよね。
自分自身も何かすごく誇りをもってやってたりすると、旦那が『本物』であったときに自分がそのレベルに追いつけていられなければ、容易にプライドを傷つけられるし、
なんも感じないぐらいの方が幸せ・・・。
多少愚鈍なまでに尽くすタイプの方がよいかと。
まあ、旦那が結局同じような才能のある人と逃げちゃうことも多々あるわけですが(笑)
それまではこういうタイプのが妻に向いていると思うのさ。
でも自分も同じ『芸術家』であると思っていたら──。
■『智恵子』を形作るもの
智恵子は幸太郎の詩とう言葉に、縛られてゆきます。
光太郎の詠う『智恵子』という女に、自分が相応しくあろう、同じ女であろう、と必死で頑張るようになる。
最初は「いやなんです、あなたが行ってしまうのは」という熱烈な詩で愛を訴えられ光太郎ひとすじで生きてきても
自分がいつの間にか、光太郎によって体内化され、自分の自分としての価値をもぐように奪われてゆくと、それはひどく辛い。
自分が自分である、ということよりも他人の評価で自分が作られてゆくのだから。
芸術家を自称する、自分の中の才能をどこかで結局信じている人間にとって
これはもう、キツイでしょ?
自分がない。自分を他人が作る。それが自分になる。
(そうか、これは『呪』ね・・・笑)
言葉、詩で形作られてゆく『智恵子』という人格。
智恵子は『智恵子』であろうとして、自分の心を、身体を『智恵子』にしてゆく。
ぎりぎり、痛いようなそれなのに、言葉であって、紙、なんですね。
今回の野田氏のお気に入りモチーフはパンドラ~と同じく恐らく『紙』だったと思われます。
セットも紙で出来ていて、ラストシーンに狂った智恵子が散らすのも色とりどりの和紙。
詩が書きつけられる、紙。それは何故か本当の紙ではなく、鋼。
ごつくて、端っこに手をかけたら血でも出そうな、『紙』。
だんだんと、光太郎の詩で言葉でがんじがらめになってゆく智恵子は秀逸。やっぱ大竹しのぶってすごいわ。
女学校前の少女から狂気の女まで、姿形を変えるわけでもなく演じちゃうし。
■光太郎から智恵子への言葉たち
はっきり言って、「をんなが、付属品をだんだん棄てると、どうしてこんなに きれいになるのか」て言われたら、「わたしは好きで棄ててるんじゃない!」とどやしたくなる気持ちは相当わかる。
「あなたは私の為めに生れたのだ」て言われたら最初は嬉しいだろうが、わたしは怒るね。(笑 いかん、これじゃ智恵子とは関係ないな、わたしの怒りだ)
純愛詩集だったはずの智恵子抄が、まんまと逆転してしまう。
野田演出と大竹しのぶはの演技は、智恵子抄に対して斜めな感情すらなかったわたしに、
見ているうちに「光太郎、なんつー、男だ!」という怒りを覚えさせるほど、すばらしいんですねえ。
「わたしは口をむすんで粘土をいじる。ー智恵子はトンカラ機を織る」て読まれたら、「ちくしょう、お前も働けえ!!!」て、思うもの、わたしは。(笑)
■『芸術家』智恵子の苦悩
光太郎の薦めで自分の絵を展覧会に出品する智恵子。
通るはずないわ、と言いながらも特選から結果を探す智恵子の姿。でも入選すらしていない。
ああもう、こういう気持ちはすごくよくわかる。
わたしも似てるよな~。
光太郎には笑顔を作って傷ついた自分のプライドなど見せたりしない。
光太郎は智恵子がちゃんと自分のスピードに着いてゆけると思っている。
智恵子はそれがさらにプレッシャーになる──。
どんどん、どんどん、逃げ場がなくなってきて、実家も破産して「わたしがなんとかする。わたしがなんとかする」とつぶやく智恵子に狂気が見え隠れしてくる。
『芸術家』であるつもりが芸術家たりえない自分と、光太郎、光太郎の言葉、詩、プライド、全部がぐしゃぐしゃに混ざった結果、物語の最初から傍観者として語っていたはずの『智恵子の女中』が『智恵子』と同化してきて、いつの間にかその本質となってゆく。
そして、死。その死すらも光太郎によって『詠われる』智恵子。
うまいな~。何故か智恵子の狂気がわかるもの。
野田氏自身なんで狂ったのかなんてわかんないしと言っているけれども、観客にそうなのかも、て思わせるパワーはすごい。
■天才なふたり
しかしまあ、本当にすごいって思ったのは、お互い天才でありながら相手を潰すことなく、こんなお芝居作っちゃえる野田秀樹と大竹しのぶではないでしょうか?
久々に「来てよかったわ~」と満足できるお芝居でした。(笑)
ReviewWriteDate:2002/2/13
LastUpdate:2002/2/13
Cast:
大竹しのぶ
2002/2/2~20 @スパイラルホール
Date:
2002/2/8 19:00
Note:
野田版、智恵子抄
ヒトコトReview:
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必見でした 野田版・智恵子抄
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最近シアターガイドも買っていないので、実は存在すら知らなかった(笑)大竹しのぶひとり芝居。
運良く友達より権利を譲ってもらい、行ってきましたスパイラルホール!
実は評判を聞くまでどういう演目なのかも知らなかったんですが。
演目は、野田版・智恵子抄、となります。
■あだたらやまに・・・
個人的な思い出で申し訳ないのですが
小中学校で林間学校、スキー学校に行ったのが福島県は安達太良山。
単に市の施設があったからなんだけど、どーもそのイメージが強い。
山上ったり、スキーしたり。
そのイメージと、智恵子抄というのが何故か結びついて記憶となっているわけ。
智恵子抄、と聞いて高村光太郎、じゃなくて、智恵子抄と聞いてスキー、なんだな。(笑)
■芸術家の妻とは
怖いね~。まじで。
純愛詩集? をひっくり返してこういう解釈を作ってしまう野田秀樹って怖い。
わたしはさして文学少女でもないので智恵子抄自体、教科書とかの知識なので
知恵子が『芸術家』であることは、知らなかった、もしくは、忘れていた。
今回の野田芝居はかなりストレートで史実に基づいているのだろうから、
智恵子は色盲だったのかしら?
何はともあれ、芸術家の妻、芸術家の夫ていうのは、難しい。
才能は才能を妬むし、その限界をまざまざと見せつける。
私的には、たとえばアーティストとかの妻って、その人が大成することだけを願ってただそれだけで応援できるタイプの女じゃなきゃダメだと思うんですよね。
自分自身も何かすごく誇りをもってやってたりすると、旦那が『本物』であったときに自分がそのレベルに追いつけていられなければ、容易にプライドを傷つけられるし、
なんも感じないぐらいの方が幸せ・・・。
多少愚鈍なまでに尽くすタイプの方がよいかと。
まあ、旦那が結局同じような才能のある人と逃げちゃうことも多々あるわけですが(笑)
それまではこういうタイプのが妻に向いていると思うのさ。
でも自分も同じ『芸術家』であると思っていたら──。
■『智恵子』を形作るもの
智恵子は幸太郎の詩とう言葉に、縛られてゆきます。
光太郎の詠う『智恵子』という女に、自分が相応しくあろう、同じ女であろう、と必死で頑張るようになる。
最初は「いやなんです、あなたが行ってしまうのは」という熱烈な詩で愛を訴えられ光太郎ひとすじで生きてきても
自分がいつの間にか、光太郎によって体内化され、自分の自分としての価値をもぐように奪われてゆくと、それはひどく辛い。
自分が自分である、ということよりも他人の評価で自分が作られてゆくのだから。
芸術家を自称する、自分の中の才能をどこかで結局信じている人間にとって
これはもう、キツイでしょ?
自分がない。自分を他人が作る。それが自分になる。
(そうか、これは『呪』ね・・・笑)
言葉、詩で形作られてゆく『智恵子』という人格。
智恵子は『智恵子』であろうとして、自分の心を、身体を『智恵子』にしてゆく。
ぎりぎり、痛いようなそれなのに、言葉であって、紙、なんですね。
今回の野田氏のお気に入りモチーフはパンドラ~と同じく恐らく『紙』だったと思われます。
セットも紙で出来ていて、ラストシーンに狂った智恵子が散らすのも色とりどりの和紙。
詩が書きつけられる、紙。それは何故か本当の紙ではなく、鋼。
ごつくて、端っこに手をかけたら血でも出そうな、『紙』。
だんだんと、光太郎の詩で言葉でがんじがらめになってゆく智恵子は秀逸。やっぱ大竹しのぶってすごいわ。
女学校前の少女から狂気の女まで、姿形を変えるわけでもなく演じちゃうし。
■光太郎から智恵子への言葉たち
はっきり言って、「をんなが、付属品をだんだん棄てると、どうしてこんなに きれいになるのか」て言われたら、「わたしは好きで棄ててるんじゃない!」とどやしたくなる気持ちは相当わかる。
「あなたは私の為めに生れたのだ」て言われたら最初は嬉しいだろうが、わたしは怒るね。(笑 いかん、これじゃ智恵子とは関係ないな、わたしの怒りだ)
純愛詩集だったはずの智恵子抄が、まんまと逆転してしまう。
野田演出と大竹しのぶはの演技は、智恵子抄に対して斜めな感情すらなかったわたしに、
見ているうちに「光太郎、なんつー、男だ!」という怒りを覚えさせるほど、すばらしいんですねえ。
「わたしは口をむすんで粘土をいじる。ー智恵子はトンカラ機を織る」て読まれたら、「ちくしょう、お前も働けえ!!!」て、思うもの、わたしは。(笑)
■『芸術家』智恵子の苦悩
光太郎の薦めで自分の絵を展覧会に出品する智恵子。
通るはずないわ、と言いながらも特選から結果を探す智恵子の姿。でも入選すらしていない。
ああもう、こういう気持ちはすごくよくわかる。
わたしも似てるよな~。
光太郎には笑顔を作って傷ついた自分のプライドなど見せたりしない。
光太郎は智恵子がちゃんと自分のスピードに着いてゆけると思っている。
智恵子はそれがさらにプレッシャーになる──。
どんどん、どんどん、逃げ場がなくなってきて、実家も破産して「わたしがなんとかする。わたしがなんとかする」とつぶやく智恵子に狂気が見え隠れしてくる。
『芸術家』であるつもりが芸術家たりえない自分と、光太郎、光太郎の言葉、詩、プライド、全部がぐしゃぐしゃに混ざった結果、物語の最初から傍観者として語っていたはずの『智恵子の女中』が『智恵子』と同化してきて、いつの間にかその本質となってゆく。
そして、死。その死すらも光太郎によって『詠われる』智恵子。
うまいな~。何故か智恵子の狂気がわかるもの。
野田氏自身なんで狂ったのかなんてわかんないしと言っているけれども、観客にそうなのかも、て思わせるパワーはすごい。
■天才なふたり
しかしまあ、本当にすごいって思ったのは、お互い天才でありながら相手を潰すことなく、こんなお芝居作っちゃえる野田秀樹と大竹しのぶではないでしょうか?
久々に「来てよかったわ~」と満足できるお芝居でした。(笑)
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