作/アレキサンドル・デュマ
訳/宗 左近
出版社/創元推理文庫
ReviewWriteDate:2000/7/11
LastUpdate:2000/8/15
Note:
アランドロンの同名映画とは別物です。
Story:
風車小屋とチューリップの国オランダ、その片隅で神秘の花、黒いチューリップの創造に没頭する青年コルネリウスは陰謀にまきこまれて、いまは断頭台へひかれて行く運命に在った。彼を救わんとする、けなげな牢番の娘ローザの必至の活躍。神秘の花ひらく運命の時は、刻一刻と迫ってきた。オランダ戦争の史実を背景に、大自然の摂理の妙と地上の血なまぐさい係争を背景に展開する、大デュマ会心の恋と戦乱の雄渾なる一大事叙事詩!
(口絵より)
──ということですが。
ヒトコトReview:
--------------------------------------------------------------------------------
黒いチューリップはまさに現代らしいコメディである!!!
--------------------------------------------------------------------------------
そもそもこの本を読んだ理由というのは今年の夏にある
スタジオライフの公演演目だから。
基本的にわたしは「予習してゆく人」なので・・・
それにしても上↑の解説読んで本買った人だったら、多分怒っているよ。(笑)
ものは言いようというか、まあすごい解説です。
もちろん、おもしろくなかったわけではありません。
ある意味、めちゃめちゃ面白かったです。つっこみの声がとまりません。
これがデュマの罠なのかしら?
それともとんでもない訳文で責めたてる宗氏の陰謀?
(初版が1971年とのこと、それにしても訳が・・・)
■訳文を堪能あれ!
なぜコメディなのか?
オランダの有力者である兄弟が平気で
「お兄さん、お痛みになるんでしょう?」
「きみにあえたんだから、もう痛みはしませんよ、ジャン」
(中略)
「でも、きみがここにいるんだもの、もうなにもかも忘れようね」
とか妙な口調で会話すること事体で、もう訳者の罠にはまっているに違いない。(笑)
いったい原文ではどんな感じなのでしょう?
いたるところがこんな文章でうめ尽くされたこの本、
ページ数は多いですがそういったどうでもいい? 描写にうめ尽くされているだけで
内容だけ追うなら絶対半分のページ数でいいはず。
それでもついつい読んでしまう文。罠かもしれない──
■ヒロイン・ローザこそが救世主──王子と姫の逆転現象
そして一番のコメディ要素は、ヒロインの強さ、ヒーローの情けなさ。
ヒーローであるはずのコルネリウスはチューリップマニア。
かわいい彼女よりチューリップのことばっかり考えています。
途中「チューリップよりローザの方が大切だと気づいた」みたいなくだりがありますが
そうはいいつつも
しかし、ローザはなぜチューリップについて語るのを禁じたのだろうか。
それがローザの持つ重大な欠陥だった。
コルネリウスが溜息をつきながら心に思ったのは、
女性というものは完全でありえないのだということであった。
なんて馬鹿なことを考えているあたり、根っからのチューリップマニアの改心度合いは甘い。
対するローザはチューリップのことばかり考えている彼に嫉妬しつつも
彼のためにチューリップに関する知識を得て彼のかわりに黒いチューリップを栽培します。
途中、黒いチューリップを奪われた後のローザは完全に主人公です。
チューリップを追って国を横断してオレンジ公ウィリアム(うーん、サラディナーサだ)に直訴して
みごと大団円に持ちこむのです。
ヒーロー、コルネリウスは350ページに渡るこの本のほとんどを牢獄で過ごし、
自力で何をなすわけでもなく、嘆くか待っているだけで
途中ちょっとだけ人を殴ってみますが、ストーリー上ちょっと暴れてみたという感じ。
やっていることと言えば女の子を恋しく思ってやつれたり、チューリップを思ってやつれたり(×100回)。
対してヒロインは歴史的な人物相手に渡り合って幸せを勝ち取る。
結局、ヒロインによってヒーローは黒いチューリップの栄光も取り戻せたし、
牢獄からも解放されるのです。
自分で花嫁衣裳着て待ってるんだから、こいつは大物です。(オレンジ公に言われたからって)
ここではまぎれもなく、王子と姫の逆転現象が起こっています。
まさに現代らしい──
お姫様は気が弱くて外に出られないナイーヴな王子様の為に、
いばらを切り抜けて助けてきてくれるわけです。
なんとも情けなくも「いるいるこういうやつ!」というコルネリウスを
どうやって芝居にするつもりなんだろう、スタジオライフ?
これはもう、耽美じゃなくてコメディでつくるしかないでしょ──?
訳/宗 左近
出版社/創元推理文庫
ReviewWriteDate:2000/7/11
LastUpdate:2000/8/15
Note:
アランドロンの同名映画とは別物です。
Story:
風車小屋とチューリップの国オランダ、その片隅で神秘の花、黒いチューリップの創造に没頭する青年コルネリウスは陰謀にまきこまれて、いまは断頭台へひかれて行く運命に在った。彼を救わんとする、けなげな牢番の娘ローザの必至の活躍。神秘の花ひらく運命の時は、刻一刻と迫ってきた。オランダ戦争の史実を背景に、大自然の摂理の妙と地上の血なまぐさい係争を背景に展開する、大デュマ会心の恋と戦乱の雄渾なる一大事叙事詩!
(口絵より)
──ということですが。
ヒトコトReview:
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黒いチューリップはまさに現代らしいコメディである!!!
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そもそもこの本を読んだ理由というのは今年の夏にある
スタジオライフの公演演目だから。
基本的にわたしは「予習してゆく人」なので・・・
それにしても上↑の解説読んで本買った人だったら、多分怒っているよ。(笑)
ものは言いようというか、まあすごい解説です。
もちろん、おもしろくなかったわけではありません。
ある意味、めちゃめちゃ面白かったです。つっこみの声がとまりません。
これがデュマの罠なのかしら?
それともとんでもない訳文で責めたてる宗氏の陰謀?
(初版が1971年とのこと、それにしても訳が・・・)
■訳文を堪能あれ!
なぜコメディなのか?
オランダの有力者である兄弟が平気で
「お兄さん、お痛みになるんでしょう?」
「きみにあえたんだから、もう痛みはしませんよ、ジャン」
(中略)
「でも、きみがここにいるんだもの、もうなにもかも忘れようね」
とか妙な口調で会話すること事体で、もう訳者の罠にはまっているに違いない。(笑)
いったい原文ではどんな感じなのでしょう?
いたるところがこんな文章でうめ尽くされたこの本、
ページ数は多いですがそういったどうでもいい? 描写にうめ尽くされているだけで
内容だけ追うなら絶対半分のページ数でいいはず。
それでもついつい読んでしまう文。罠かもしれない──
■ヒロイン・ローザこそが救世主──王子と姫の逆転現象
そして一番のコメディ要素は、ヒロインの強さ、ヒーローの情けなさ。
ヒーローであるはずのコルネリウスはチューリップマニア。
かわいい彼女よりチューリップのことばっかり考えています。
途中「チューリップよりローザの方が大切だと気づいた」みたいなくだりがありますが
そうはいいつつも
しかし、ローザはなぜチューリップについて語るのを禁じたのだろうか。
それがローザの持つ重大な欠陥だった。
コルネリウスが溜息をつきながら心に思ったのは、
女性というものは完全でありえないのだということであった。
なんて馬鹿なことを考えているあたり、根っからのチューリップマニアの改心度合いは甘い。
対するローザはチューリップのことばかり考えている彼に嫉妬しつつも
彼のためにチューリップに関する知識を得て彼のかわりに黒いチューリップを栽培します。
途中、黒いチューリップを奪われた後のローザは完全に主人公です。
チューリップを追って国を横断してオレンジ公ウィリアム(うーん、サラディナーサだ)に直訴して
みごと大団円に持ちこむのです。
ヒーロー、コルネリウスは350ページに渡るこの本のほとんどを牢獄で過ごし、
自力で何をなすわけでもなく、嘆くか待っているだけで
途中ちょっとだけ人を殴ってみますが、ストーリー上ちょっと暴れてみたという感じ。
やっていることと言えば女の子を恋しく思ってやつれたり、チューリップを思ってやつれたり(×100回)。
対してヒロインは歴史的な人物相手に渡り合って幸せを勝ち取る。
結局、ヒロインによってヒーローは黒いチューリップの栄光も取り戻せたし、
牢獄からも解放されるのです。
自分で花嫁衣裳着て待ってるんだから、こいつは大物です。(オレンジ公に言われたからって)
ここではまぎれもなく、王子と姫の逆転現象が起こっています。
まさに現代らしい──
お姫様は気が弱くて外に出られないナイーヴな王子様の為に、
いばらを切り抜けて助けてきてくれるわけです。
なんとも情けなくも「いるいるこういうやつ!」というコルネリウスを
どうやって芝居にするつもりなんだろう、スタジオライフ?
これはもう、耽美じゃなくてコメディでつくるしかないでしょ──?
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